水処理メーカーの選び方|工場の排水処理・用水処理を頼む会社の種類と比べる点、大手3社、排水基準と届出まで

水処理メーカーの選び方|工場の排水処理・用水処理を頼む会社の種類と比べる点、大手3社、排水基準と届出まで

水処理メーカーとは、工場で使う前の水と流す前の水をきれいにする装置をつくり、据え付けて保守まで受け持つ会社です。

比較サイト(2026年11月3日に確認したMetoree・ミズサポ・ミズレボ)には25〜37社の社名が並びますが、社名だけでは、自社の水の悩みをどの会社に頼めばよいかは決まりません。この記事では、水処理メーカーの種類と頼める範囲、上場している大手3社の売上、選ぶときに比べる点と見積の前に用意するものを先に書きます。後半では、選ぶときに要る分だけ、工場排水処理の決まり(水質汚濁防止法・下水道法)と処理の方法、工場の用水処理を、法令と国の資料、各社の公式の開示で整理します。

この記事でわかること

  • 水処理は用水処理と排水処理の2つ:工場で使う前の水を整える処理と、流す前の水を基準まで処理する処理です。
  • 当社の整理では、頼める範囲で会社は4つに分けられる:設計から維持管理までまとめる会社、排水処理装置の専門メーカー、膜や薬品のメーカー、維持管理や分析の会社です。
  • 大手3社の売上は1,776億〜4,028億円:栗田工業・オルガノ・メタウォーターの2026年3月期の決算短信(実績)の連結売上高です。
  • 見積の前に、排水量と水質の分析値をそろえる:水質汚濁防止法の届出には、汚水等の処理の方法と、排出水の汚染状態及び量を書きます。
  • 排水基準に合わない排出には直罰がある:違反した者は6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金で、都道府県はより厳しい基準を条例で定められます。
目次

水処理メーカーとは|工場で使う前の水と流す前の水を処理する装置をつくり、据え付ける会社

水処理メーカーは、工場の用水処理と排水処理の装置を設計・製造し、据え付けから運転の支えまでを受け持つ会社です。

工場の水の処理は、使う前と流す前の2か所に分かれます。工程で使う前に、使う目的に合わせて水を整えるのが用水処理、工程で汚れた水を、法令の基準に合わせてから流すのが排水処理です。次の図は、工場の水の流れを当社で整理したものです。

工場の水の流れ水源工業用水・上水道・井戸用水処理使う目的の水質に工程・生活製造・冷却・洗浄・飲み水排水処理排水基準に合わせる川・海水質汚濁防止法下水道下水道法・条例汚泥処理して処分する用水処理と排水処理の2つが、水処理メーカーに頼める範囲。処理した排水を工程に戻して使い直すこともある

図1 工場の水の流れ(当社の整理)。栗田工業「水処理装置」、水質汚濁防止法、下水道法をもとに作成

用水処理と排水処理

水処理の装置は、使う前の水を整える用水処理装置と、流す前の水を処理する排水処理装置の2つに分かれます。

栗田工業の「水処理装置」のページも、水処理装置を用水処理装置と排水処理装置に分けて説明しています。用水処理は製品と工程の品質を守るための処理で、排水処理は川や海、下水道へ流すための処理です。工場排水処理と工場水処理を調べるときは、どちらの悩みかを先に分けると、頼む会社の種類が絞れます。

装置・薬品・維持管理まで受け持つ範囲

水処理メーカーが受け持つ範囲は、装置をつくるだけの会社から、薬品の供給と運転の管理まで続ける会社まで幅があります。

水処理は、装置を据え付けたあとも、薬品を足し、汚泥を引き取り、水質を測りながら運転を続けます。比較サイトの1つも、選ぶ観点に、設計から維持管理まで対応できるかを挙げています。見積を取るときは、どこからどこまでを頼むのかを先に決めておくと、各社の金額を同じ土台で比べられます。

「メーカー」と「エンジニアリング会社」

水処理メーカーと水処理エンジニアリング会社は、呼び方の違いで、法令で分けた言葉ではありません。

装置をつくる会社を「メーカー」、設計・施工・運転までまとめて請け負う会社を「エンジニアリング会社」と呼び分けることがありますが、比較サイトや企業一覧は両方を同じ一覧に並べています。頼む側から見ると、呼び方よりも、自社の水の悩みのどこまでを1社で受けられるかが大事です。

水処理メーカーの種類|頼める範囲で4つに分かれる

水処理の会社は、頼める範囲で、総合エンジニアリング、排水処理装置の専門、膜・薬品・部材、維持管理・分析の4つに分けられます。

公的な分類は無いため、次の表は、比較サイトが挙げる観点と各社の公式の説明をもとに当社で整理したものです。

種類主に頼めること向いている相談
総合水処理エンジニアリング会社用水と排水の両方の設計・施工・運転、薬品、維持管理新しい工場の水まわりを一式で任せたい、用水と排水をまとめて見直したい
排水処理装置の専門メーカー排水処理装置の設計・製造・据え付け、更新排水基準に合わない、排水の量が増える、古い装置を入れ替えたい
膜・薬品・部材のメーカー膜、ろ過材、凝集剤などの薬品、ポンプや槽などの部材今の装置の性能を上げたい、薬品の量や種類を見直したい
維持管理・水質分析の会社装置の点検と運転の管理、汚泥の引き取りの手配、水質の分析今の装置を安定して動かしたい、分析値を定期的に取りたい

表1 水処理の会社の種類(当社の整理)。比較サイトが挙げる選び方の観点と、栗田工業「水処理装置」の説明をもとに作成。1社が複数の種類にまたがることもある

総合水処理エンジニアリング会社

総合水処理エンジニアリング会社は、用水処理と排水処理の両方を、設計から施工、運転、維持管理までまとめて受ける会社です。

工場を新しく建てるときや、用水と排水をまとめて見直すときの相談先になります。当社の整理では、1社にまとめると窓口が1つで済む一方、装置ごとに他社と比べる機会は減ります。見積の段階で装置の中身を書き出してもらうと比べやすくなります。

排水処理装置の専門メーカー

排水処理装置の専門メーカーは、工場排水処理の装置を中心に、設計・製造・据え付けを受ける会社です。

特定の業種の排水や処理方法を得意にする会社もあり、同じ種類の排水を処理した実績があるかが選ぶときの手がかりになります。比較サイトの1つは、排水量で小規模(1日50m³未満)・中規模・大規模(1日1,000m³以上)に分けて相談先を紹介しています。

膜・薬品・部材のメーカー

膜・薬品・部材のメーカーは、水処理の装置に組み込む膜やろ過材、凝集剤などの薬品、ポンプや槽をつくる会社です。

装置の一式ではなく、今ある装置の性能を上げたいときや、薬品の量を見直したいときの相談先になります。膜の種類と止められるものの違いは膜ろ過の解説で書いています。

維持管理・水質分析の会社

維持管理・水質分析の会社は、据え付けた装置を点検し、運転を見守り、排水や用水の水質を測る会社です。

排水基準に合っているかは、分析値で確かめるしかありません。点検や分析は、装置を入れた会社とは別の会社に頼むこともできます。水質を測る項目と頻度の考え方は水質検査の項目と頻度で書いています。

水処理の大手|上場3社の売上と比べ方

水処理の上場大手3社は栗田工業・オルガノ・メタウォーターで、2026年3月期の売上は1,776億〜4,028億円です。

次の表は、3社がそれぞれ公表した2026年3月期の決算短信(連結)の実績値です。予想ではなく、終わった期の数字です。

会社(証券コード)2026年3月期の売上高前期比会計基準決算短信の公表日
栗田工業(6370)4,028億8,900万円3.6%増IFRS(国際会計基準)2026年5月14日
メタウォーター(9551)2,098億4,400万円17.2%増日本基準2026年4月24日
オルガノ(6368)1,776億5,400万円8.8%増日本基準2026年5月13日

表2 水処理の上場3社の売上高(2026年3月期・連結・実績)。各社の決算短信(日本取引所グループの適時開示)から作成。栗田工業は当期からペンタゴン・テクノロジーズの事業を非継続事業に分けている。並びは売上高の順で、良し悪しの順ではない

売上高は会社全体の連結の数字

表の売上高は、各社のグループ全体の連結の売上高で、工場向けの水処理だけの数字ではありません。

栗田工業はIFRS、オルガノとメタウォーターは日本基準で、会計基準が違うため、数字を横に並べて細かく比べることはできません。3社の規模の目安として読み、どの事業でどれだけ売っているかは、各社の決算短信と有価証券報告書の事業ごとの数字で確かめます。

大手に頼む場合と、中小の会社に頼む場合

大手に頼むか中小の会社に頼むかに決まった答えは無く、排水量・排水の種類・社内の体制で向く相手が変わります。

たとえば栗田工業は、用水処理装置と排水処理装置の両方を公式に案内しています。一方で、比較サイトの1つは、排水量で小規模・中規模・大規模に分けて相談先を紹介していて、排水の規模から相談先を探す見方もあります。規模で処理の良し悪しは決まらないため、次の章の比べる点で、同じ条件の見積を並べて判断します。

比較サイトの社数と順位の読み方

比較サイトが並べる社数や順位は、各サイトが独自の基準で選んだもので、公的な順位ではありません。

2026年11月3日に確認した上位の比較サイトでは、Metoreeが25社、ミズサポが30社、ミズレボが37社を並べ、順位を付けたページもあります。並べ方の基準はサイトごとに違います。社名の一覧は候補を広げるために使い、決めるときは自社の排水と条件で各社に聞いた答えを比べます。

水処理メーカーの選び方|比べる点と、見積の前に用意するもの

水処理メーカーを選ぶときは、同じ分析値と条件で見積を頼み、実績・処理試験・維持管理・総費用を並べて比べます。

次の表は、比較サイトが挙げる選び方の観点を、確かめ方と合わせて当社で整理したものです。

比べる点確かめ方
同じ業種・同じ種類の排水の実績処理した排水の種類と量、処理後の水質の例を聞く
水質分析と処理試験をするか自社の排水で試験をしてから設計するかを聞く
排水基準と自治体の規制の知識自社の地域の上乗せ基準と、届出の書類の作り方を聞く
設計から維持管理までの範囲据え付けのあとの点検・薬品・運転の管理をどこまで受けるかを聞く
総費用装置の費用に、薬品・電気・汚泥の処分・点検の費用を足した額で比べる
今ある設備を使えるか今の槽や配管を活かした案を出せるかを聞く
緊急時の体制装置が止まったときの駆け付けと、代わりの処理の手配を聞く

表3 水処理メーカーを比べる点と確かめ方(当社の整理)。比較サイトが挙げる7つの観点と、水質汚濁防止法第5条の届出事項をもとに作成

排水量と水質の分析値を先にそろえる

見積を頼む前に、1日の排水量と、排水の水質の分析値を自社でそろえておくと、各社の答えを同じ土台で比べられます。

水質汚濁防止法第5条は、特定施設を置く工場に、都道府県知事への届出を求め、届出の事項に「汚水等の処理の方法」と「排出水の汚染状態及び量」を挙げています。つまり、装置を決める前に、どんな汚れの水がどれだけ出るかを数字で示す必要があります。最低限、1日の平均と最大の排水量、排水の性質(何の工程から出るか)、主な項目の分析値をまとめておきます。

処理試験と、同じ種類の排水の実績

同じ業種の排水でも工場ごとに水質が違うため、自社の排水で処理試験をしてから設計する会社かどうかを確かめます。

比較サイトの1つは、選ぶ観点に、同じ業界・同じ種類の排水の実績と、水質分析と処理試験を挙げています。試験の結果は、処理方法と装置の大きさを決める根拠になります。実績を聞くときは、社名の数よりも、自社と同じ種類の排水を、どの水質まで処理したかを聞きます。

維持管理と汚泥の費用まで含めて比べる

水処理の費用は装置の代金だけでなく、毎月の薬品・電気・汚泥の処分・点検の費用が続くため、総費用で比べます。

排水処理では、汚れを取り除いた分だけ汚泥が出て、その処理にも費用がかかります。装置が安くても、薬品や汚泥が多い方式なら、運転の費用は高くつきます。工場の水の費用を、取る・使う・捨てるに分けて見る考え方は工場のユーティリティコストで書いています。

相談から稼働までの流れ

相談から稼働までは、水質の分析、処理試験、設計と見積、届出、工事、試運転、維持管理の順に進みます。

特定施設を新しく置く場合は、水質汚濁防止法第9条により、届出が受理された日から60日を過ぎるまで設置できません(都道府県知事は短くできます)。工事の日程は、この期間を入れて組みます。この流れのうち法令の手続きは届出で、ほかは当社が整理した実務の工程です。

相談から稼働までの流れ(一般の例)水質の分析排水量と分析値処理試験自社の排水で設計・見積同じ条件で比べる届出受理から60日工事据え付け試運転水質を確かめる維持管理薬品・汚泥・点検法令の手続きは届出だけで、ほかは実務の工程。届出は特定施設を置いて川や海へ流す場合など(水質汚濁防止法第5条・第9条)下水道へ流す場合は、自治体の下水道の窓口で基準と手続きを確かめる

図2 相談から稼働までの流れ(当社の整理・一般の例)。水質汚濁防止法と、比較サイトが挙げる選び方の観点をもとに作成

工場排水処理の決まり|水質汚濁防止法と排水基準

工場排水処理は、水質汚濁防止法の届出と排水基準、下水道に流す場合は下水道法の基準と、自治体の条例に合わせて設計します。

水処理メーカーを選ぶときに、決まりを細かく覚える必要はありませんが、自社の排水にどの決まりがかかるかを知っておくと、各社の提案が決まりに合っているかを確かめられます。ここでは、選ぶときに要る分だけを書きます。

特定施設の届出と、60日の制限

特定施設を置いて川や海へ水を流す工場は、設置の前に都道府県知事へ届け出て、受理から60日を過ぎるまで設置できません。

水質汚濁防止法第2条は、有害物質を含むか、生活環境に被害を生ずるおそれがある汚水や廃液を出す施設で、政令で定めるものを「特定施設」としています。第5条は、公共用水域に水を排出する者が特定施設を置こうとするときの届出を求めています。地下に浸透させる場合や、有害物質を貯蔵する施設を置く場合にも、同じ条に別の届出の決まりがあります。第9条は、受理された日から60日を経過した後でなければ、設置や、構造・処理の方法などの変更をしてはならないとし、都道府県知事はこの期間を短くできるとしています。

排水基準と直罰

特定事業場の排水口で排水基準に合わない水を流すと、命令を待たずに罰せられます。

水質汚濁防止法第12条は、排水口で排水基準に適合しない排出水の排出を禁じています。第31条は、これに違反した者を6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に、過失の場合も3月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金に処すとしています。国の一般排水基準の主な項目は次のとおりです。

区分項目許容限度
有害物質カドミウム及びその化合物0.03mg/L
有害物質シアン化合物1mg/L
有害物質鉛及びその化合物0.1mg/L
有害物質六価クロム化合物0.2mg/L
有害物質砒素及びその化合物0.1mg/L
有害物質1,4-ジオキサン0.5mg/L
その他の項目水素イオン濃度(pH)5.8〜8.6(海域以外)、5.0〜9.0(海域)
その他の項目BOD(生物化学的酸素要求量)160mg/L(日間平均120mg/L)。海域・湖沼以外に適用
その他の項目COD(化学的酸素要求量)160mg/L(日間平均120mg/L)。海域・湖沼に適用
その他の項目SS(浮遊物質量)200mg/L(日間平均150mg/L)
その他の項目ノルマルヘキサン抽出物質鉱油類5mg/L、動植物油脂類30mg/L

表4 一般排水基準の主な項目(抜粋)。環境省「一般排水基準」をもとに作成。その他の項目は1日の平均的な排水量が50m³以上の工場・事業場に適用。全項目と備考は環境省のページで確かめる

1日50m³の線と有害物質

pHやBOD、SSなどのその他の項目は、1日の平均的な排水量が50m³以上の工場・事業場に適用されます。

環境省の一般排水基準では、この50m³の条件はその他の項目の表にだけ付いていて、有害物質の表には排水量の条件が付いていません。排水量が少ない工場でも、有害物質を扱う工程があれば、基準を前提に処理を考えます。

都道府県の上乗せ基準

都道府県は、条例で国の排水基準より厳しい基準を定められるため、同じ排水でも工場の場所でかかる基準が変わります。

水質汚濁防止法第3条第3項は、都道府県が、国の排水基準で定める許容限度より厳しい許容限度の排水基準を条例で定められるとしています。これを上乗せ基準と呼びます。水処理メーカーに相談するときは、工場のある都道府県の基準で設計しているかを確かめます。

下水道に流す場合と除害施設

公共下水道に流す工場は、下水道法の基準に合わせ、条例で求められれば除害施設を設けます。

下水道法第12条の2は、特定事業場から下水を流して、終末処理場のある公共下水道を使う者に、政令で定める場合を除き、排出口で政令の基準に合わない下水を流してはならないとしています。第12条の11は、継続して基準に合わない下水を流して公共下水道を使う者に対し、公共下水道の管理者が、条例で除害施設を設けることなどを求められるとしています。どの基準と手続きがかかるかは、工場のある自治体の下水道の窓口で確かめます。

工場排水処理の方法|分離と分解、汚泥の処理

工場排水処理の方法は、汚れを分ける「分離」と、別の物質に変える「分解」に分けられ、出る汚泥の扱いも考えます。

処理方法の分け方は会社の解説で違い、アイオンは分離と分解の2種類に、セイスイ工業は物理・化学・生物の3つのアプローチに分けて説明しています。水処理メーカーの提案を読むときは、どの汚れをどの方法で取るかの組み合わせを見ます。

物理・化学・生物の処理

排水処理は、沈める・こすなどの物理的な処理、薬品を使う化学的な処理、微生物を使う生物的な処理を組み合わせて行います。

物理的な処理は、沈殿やろ過、浮上で、水より重いもの、粒の大きいもの、水より軽い油などを分けます。化学的な処理は、pHを整える中和や、細かい汚れを薬品で固める凝集です。生物的な処理は、微生物に水に溶けた有機物を分解させる方法です。膜でこす方法もあり、膜の種類は膜ろ過の解説で書いています。

業種で変わる排水の性質

排水の性質は使う原料と工程で変わるため、同じ排水量でも、問題になる項目と向く処理方法は業種で違います。

セイスイ工業の解説も、業種ごとに排水の性質が違うとしています。排水基準の項目に当てはめると、有機物を含む排水はBODやCOD、金属を含む排水は有害物質の項目、油を含む排水はノルマルヘキサン抽出物質の値を見ることになります(当社の整理)。自社の排水がどの項目で基準に近いかを分析値で示すと、各社の提案が具体的になります。

汚泥の処理と処分

排水処理で取り除いた汚れは汚泥としてたまるため、汚泥の処理と処分も、排水処理の一部として計画します。

アイオンの解説は、排水処理で出る汚泥(スラリー)の処理が別に要るとしています。汚泥の量は処理方法と排水の汚れの量で変わり、処分を外部に頼む場合は、その費用が運転のあいだ続きます。見積では、汚泥の出る量の見込みと、処分の方法を聞いて比べます。

処理した水の再利用

排水を処理した水は、処理の水準しだいで、冷却や洗浄、トイレなどに使い直せます。

使い直す用途によって、求められる水質が違います。トイレや散水などの雑用水に使う決まりと方式は中水道の解説で書いています。再利用まで考えるなら、排水処理の装置を選ぶ段階で、処理後の水をどこに使うかを水処理メーカーに伝えておきます。

工場の用水処理|工業用水・上水道・井戸水と、使う目的の水質

工場の用水処理は、受け入れる水源の水質と、工程で使う目的の水質の差を埋める処理です。

工場の水源は、主に工業用水道、上水道、敷地の井戸水です。水源によって受け入れる水の水質が違い、工程で求める水質も違うため、用水処理の中身は工場ごとに変わります。

水源受け入れる水用水処理で考えること
工業用水道工業用に配る水。飲み水として配る水ではない工程に合わせたろ過や軟水化、純水づくり。飲み水には別の系統が要る
上水道水道法の水質基準(52項目)に合わせて配られる水工程によっては、さらにイオンや塩素を取る処理
敷地の井戸水井戸ごとに水質が違う地下水鉄・マンガン・硬度などの処理。飲み水に使うなら水道法の基準と検査

表5 工場の水源と用水処理(当社の整理)。水道法、水質基準に関する省令、工業用水と井水の既存記事の取材をもとに作成

水源で変わる用水処理

用水処理で何をするかは、受け入れる水が工業用水道か、上水道か、井戸水かで変わります。

工業用水道の水は、飲み水として配る水ではないため、工程で使う水質に合わせて工場側で処理します。工業用水の仕組みと上水道との違いは工業用水の解説で、井戸水の処理の方式は井水の処理と設備で書いています。

工程に合わせる水質

用水処理は、ボイラー、冷却、洗浄、製品の原料など、水を使う工程が求める水質に合わせて組みます。

森永エンジニアリングの解説は、工場用水は上水道と処理方法が違い、用水処理では使う目的の水質に合わせるとしています。たとえば、硬度の高い水は配管や機器に水あかを残すため軟水化し、電子部品の洗浄などでは不純物を取り除いた純水を使います。どの水質が要るかは、工程の機器の仕様で決まります。

飲み水は水道法の基準

工場で働く人の飲み水は、工程の水とは別に、水道法の水質基準に合う水を用意します。

水道法の水質基準は、2026年4月1日から52項目です。上水道の水は、水道事業者が水質基準に合わせて配る水です。敷地の井戸水を飲み水に使うなら、処理して基準に合うことを検査で確かめます。

工場の飲み水と雑用水を、敷地の地下水でまかなえるか

当社は、工場の水道の使用量と敷地の条件から、深井戸の地下水を浄水して工場の水源に加えられるかを判定します。導入できない工場には、その旨をはっきりお伝えします。

導入できるか診断する

ご相談の段階で費用は発生しません。

工場の飲み水を地下水でまかなう|当社の地下水飲料化

当社(株式会社豊)は、水処理メーカーではなく、施設の深井戸の地下水を浄水して使う地下水飲料化システムの代理店です。

このシステムは、上場企業である供給事業者が事業として運営していて、当社サイトの「事業者とシステム」のページのとおり、この供給事業者のシステムが2025年4月現在、全国66地点で稼働しています。当社は排水処理や用水処理の装置を請け負う立場ではなく、代理店として、導入のご相談から現地の確認、契約の調整、運用中のご連絡までの窓口を受け持ちます。仕組みの全体は地下水飲料化とはと事業者とシステムで書いています。

処理は、井戸の水質に合わせて組み合わせる

供給事業者のこのシステムでは、除鉄・除マンガン、活性炭、膜ろ過、軟水器を、井戸の水質と使い道に合わせて組み合わせます。

水質と設備の稼働の状況は、供給事業者の体制として、遠方監視装置で24時間続けて監視されています。当社はこの仕組みを設計・運営する立場ではなく、代理店として窓口を受け持ちます。工場の排水処理は、このシステムの対象ではありません。

雑用水側だけを地下水にする設計

飲料水と雑用水で配管が分かれている工場では、雑用水側だけを地下水にする設計もあります。

当社サイトの工場向けの案内のとおり、どこまで地下水に置き換えられるかは、給水配管の系統と使用量から判断します。工程の用水に使う場合は、工程が求める水質に合うかも合わせて確かめます。

検討するときに確かめること

工場で地下水飲料化を置けるかは、水道の使用量、敷地に井戸を掘る場所、井戸の水質、地下水の採取の規制で決まります。

まず、工場の毎月の水道の使用量と、敷地に井戸を掘る場所があるかを確かめます。次に、飲み水に使う場合に専用水道に当たるか、地下水のくみ上げに自治体の規制がかからないかを確かめます。これらがそろえば、原水の検査結果をもとに処理の組み合わせを決めていきます。

水道の使用量から、工場に地下水飲料化を置けるか確かめる

当社は、検針票の数字と敷地の条件から、供給事業者のシステム(2025年4月現在、全国66地点で稼働)を工場に置けるかを判定します。当てはまらない工場には、その旨をはっきりお伝えします。

導入できるか診断する

ご相談の段階で費用は発生しません。

水処理メーカーについてのよくある質問

水処理メーカーは、用水処理と排水処理の装置と運転の支えを受け持つ会社で、選ぶときは同じ条件の見積で比べます。

Q. 今ある排水処理の装置を入れ替えるときも、届出は要りますか

A. 要る場合があります。水質汚濁防止法第7条は、届出をした特定施設の構造・設備・使用の方法や、汚水等の処理の方法などを変えるときに、都道府県知事への変更の届出を求めています。第9条により、変更も受理から60日を過ぎるまでできません(知事は短くできます)。入れ替えの日程は、この期間を入れて水処理メーカーと組みます。

Q. 排水量が少ない工場でも、排水基準はかかりますか

A. かかる場合があります。環境省の一般排水基準では、pHやBODなどのその他の項目は1日の平均的な排水量が50m³以上の工場・事業場に適用されますが、有害物質の表には排水量の条件が付いていません。都道府県の条例で、より厳しい上乗せの基準が定められていることもあるため、工場のある都道府県の基準で確かめます。

Q. 水質汚濁防止法の「公共用水域」に、下水道は入りますか

A. 終末処理場のある公共下水道と流域下水道は入りません。同法第2条は、公共用水域を、河川・湖沼・港湾・沿岸海域などの公共の水域と、これにつながる公共の水路とし、終末処理場を設置している公共下水道と流域下水道を除いています。そうした下水道に流す工場には、下水道法の基準がかかります。

Q. 見積は何社に頼めばよいですか

A. 社数の公的な決まりはありません。大事なのは、どの会社にも同じ排水量と水質の分析値、同じ範囲(装置だけか、維持管理までか)で頼むことです。条件をそろえると、装置の費用だけでなく、薬品や汚泥の処分を含めた総費用で比べられます。

Q. 排水基準の「日間平均」とは何ですか

A. 1日の排出水の平均的な汚染状態について定めた許容限度です。環境省の一般排水基準は、BODなどの項目に、日間平均とは別の許容限度(BODなら160mg/L)と、日間平均の許容限度(BODなら120mg/L)を定めています。水処理メーカーに相談するときは、両方の値に合う設計かを確かめます。

参考情報

法令と国の資料、各社の公式の開示は2026年11月3日に確認しました。

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