井水とは|井戸水との違いと、施設の井水設備・処理・水質検査まで

井水とは|井戸水との違いと、施設の井水設備・処理・水質検査まで

井水とは、井戸からくみ上げた水のことで、井戸水と同じ水を、設備や配管の上で呼ぶときによく使われる言葉です。

この記事では、井水の読みと意味、井戸水・地下水との違い、全国でどれだけ使われているか、施設での用途、井水設備の構成と点検、水質の問題と処理の方法、建物と用途で変わる検査を、法令と国・自治体の資料で整理します。最後に、施設で井水を飲料水にする当社の仕組みを書きます。

この記事でわかること

  • 井水と井戸水は同じ水:国語辞典は井水を「せいすい」と読み、「井戸の水」と説明しています。国の文書では「井水管」のように配管の名前に使われます。
  • 地下水は年に約99億m³使われている:国土交通省によると2023年の値で、工業用水の約3割が地下水です。
  • 井水の設備は、井戸・井水ポンプ・処理・受水槽で組む:井水の配管は、水道の給水管に直接つないではいけません。
  • 水質の問題は鉄・マンガン・硬度と、汚染の3つの原因:鉄はくみ上げた直後は透明でも含まれていることがあり、処理の組み方は原水の検査で決めます。
  • 検査は建物と用途で変わる:業務用の飲用井戸は毎年1回以上、特定建築物で飲料水にするなら給水を始める前に52項目すべてを調べます。
目次

井水とは|井戸からくみ上げた水を、設備や配管の上で呼ぶ言葉

井水は井戸の水を指す言葉で、井戸水と同じ水を、設備の系統や配管の名前として呼ぶときに使われます。

読みと辞書の意味

国語辞典は井水を「せいすい」と読み、意味を「井戸の水」と説明しています。

デジタル大辞泉と精選版 日本国語大辞典はどちらも「せいすい」の見出しで、日本国語大辞典は同じ意味の言い方として「いどみず」「いみず」も挙げています。建築設備の用語集には「井水(いすい)」と読ませ、良質なものは上水として、質の低いものは雑用水として使うと説明するものがあります。読みは2つありますが、指している水は同じです。

井戸水・地下水・伏流水との違い

地下水は地中にある水そのもので、井水と井戸水は、その地下水を井戸でくみ上げた水を指します。

デジタル大辞泉は、地下水を地中の土砂や岩石のすきま・割れ目にある水と説明し、井戸水を井戸からくみ上げた水としています。日本水道協会は水道の水源としての地下水を、伏流水・井戸水・湧水の3つに分けています。水道の水源のうち井戸水は18.9%、伏流水は3.3%です(令和4年度の水道統計)。

呼び方何を指すか使われる場面
地下水地中のすきまや割れ目にある水そのもの法令・統計・水資源の計画
井戸水井戸からくみ上げた水辞書・自治体の案内・統計(製造業の水源の区分)
井水(せいすい・いすい)井戸の水。井戸水と同じ水配管・設備の系統の名前、自治体の要綱、業界団体の指針
伏流水川の底や周りの地中を流れる地下水水道の水源の区分
湧水地表にわき出た地下水水道の水源の区分、自治体の要綱(井水等に含める例)

デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典(コトバンク)、日本水道協会「水道の水源とは?」、札幌市給水設備の構造及び維持管理等に関する指導要綱をもとに作成

法令は「地下水」と書き、国と自治体の文書に「井水」が出る

建築物衛生法施行規則や水質基準の省令に「井水」という語は無く、法令は「地下水」「井戸等」と書いています。

一方、国土交通省の「給水装置標準計画・施工方法」は、水道の給水装置につないではいけない配管の例として「井戸水、工業用水、再生利用水の配管」を挙げ、同じ節で「給水管に工業用水管、井水管等を直結して切替使用を図ったもの」を書いています。札幌市の指導要綱は「井水等(湧水、沢水等を含む。)」と定義し、事務所・病院・工場などに井水等で飲料水を配る施設を「業務用飲用井戸等施設」としています。

浅い井戸と深い井戸

同じ井水でも、浅い井戸と深い井戸では、地表の汚れの入りやすさが違います。

大田区や目黒区は、区内の井戸は比較的浅く地表の影響を受けやすいとして、飲み水には水道水を使うよう案内しています。井戸の深さと地層の考え方は地下水とはで詳しく書いています。

井水はどれだけ使われているか|地下水は年に約99億m³

日本の地下水の使用量は、2023年に全体で約99億m³と推計され、工業用水・農業用水・生活用水がそれぞれ約3割を占めています。

国土交通省「令和8年版 日本の水資源の現況」の数字です。

用途別の使用量

用途別では、工業用水が29.5億m³、農業用水が28.7億m³、生活用水が27.7億m³で、この3つで全体の約87%を占めます。

用途地下水の使用量(2023年・億m³/年)全体に占める割合
工業用水29.529.8%
農業用水28.728.9%
生活用水27.728.0%
養魚用水7.77.8%
消・流雪用水3.93.9%
建築物用等1.61.6%
合計99.0100.0%

国土交通省「令和8年版 日本の水資源の現況」参考3-1-17(2023年の値。建築物用等は19都道府県の届出等の合計で、2021年度の値)をもとに作成

工業用水の約3割は地下水

工業用水として新たに取る淡水のうち、約3割が地下水で、地下水の工業用の使用量は減る傾向にあります。

同じ白書によると、2023年の工業用水の淡水補給量98.9億m³のうち、地下水は29.5億m³(29.9%)でした。この数字には、上水道から工業用に配られた水も含まれます。白書は、生活用水の地下水はほぼ横ばい、工業用水の地下水は減少傾向と書いています。工業用水そのものの仕組みは工業用水とはで説明しています。

業種で井戸水の割合が違う

製造業の事業所の統計では、用水の24.0%が井戸水で、食料品や飲料の工場では井戸水の割合が高くなっています。

経済構造実態調査(2022年の実績、従業者30人以上の事業所)では、製造業の1日の用水量2,391.6万m³のうち、井戸水は573.4万m³でした。業種別では、食料品が48.9%、飲料・たばこ・飼料が64.4%で、鉄鋼は6.0%です。この調査は事業所が水を取った先で数え、上水道と工業用水道を別に集計するので、白書の29.9%とは数え方が違い、2つの数字は比べられません。

温度が年間を通じてほぼ一定

地下水は年間を通じて温度がほぼ一定で、夏と冬で水温の変わり方が小さいことが、冷却などに使われる理由の1つです。

国土交通省の白書は、地下水を「年間を通じて温度が一定で低廉」な水資源と説明しています。環境省は、深さ10mくらいの地中の温度はその土地の年平均気温にほぼ等しく、東京・大阪で17℃程度と説明しています。

井水利用|施設で井水を使う5つの用途

施設の井水の使い道は、飲料水、トイレや散水の雑用水、製造用水や冷却水、消雪、災害時の水源の5つです。

用途によって、求められる水質とかかる決まりが変わります。

飲料水として使う

井水を飲料水に使うには、水道の水質基準52項目に合うことを検査で確かめ、必要な処理と消毒をします。

飲み水・手洗い・厨房・浴用に使う水は、水道と同じ水質基準に合わせます。どの決まりがかかるかは、配る人数と量、建物の種類で決まります(この記事の後半で比べます)。国の工事の標準仕様書も、井戸の水質試験は、飲料水に使う場合は水質基準に関する省令、雑用水に使う場合は建築物衛生法の基準によると定めています。

トイレや散水の雑用水に使う

井水をトイレの洗浄水や散水だけに使う場合も、特定建築物なら建築物衛生法施行規則の雑用水の基準がかかります。

施行規則4条の2は、水道や専用水道から受けた水だけを水源にする場合を除いて、雑用水にpH・臭気・外観・大腸菌・濁度の基準と、遊離残留塩素0.1mg/L以上を求めています。井水は「水道から受けた水だけ」に当たらないので、この基準と検査の対象です。雑用水の考え方は中水道とはで詳しく書いています。

製造用水・冷却水・ボイラーの水に使う

工場では、井水を製造用水や冷却水、ボイラーの水にも使い、用途ごとに見る水質の項目が違います。

全国さく井協会の指針は、ボイラーや冷却水、温水に使う場合は、カルシウム硬度やランゲリア指数(水が管に炭酸カルシウムを付けやすいか、管を溶かしやすいかの目安)などが求められると書いています。

道路や敷地の消雪に使う

雪の多い地域では、道路の消雪パイプに流す水の約8割に地下水が使われています。

国土交通省の白書によると、2023年度の消雪パイプの使用水量は約444百万m³で、消雪には水温の高い水が適しているため、その約79%を地下水に頼っています。

災害時の水源にする

施設の深井戸は、水道が止まったときに、施設が自分で水を確保する手段になります。

厚生労働省が掲載した、能登半島地震で被災した病院の報告資料によると、この病院は受水槽4か所のうち1か所に、深さ95mの深井戸の井水を入れていました。地域の水道の復旧は4月4日までかかりましたが、免震構造の本館では、飲み水もトイレも発災の直後から使えたと報告されています。国は2025年3月に「災害時地下水利用ガイドライン」をまとめています。災害用の井戸は防災井戸とはで説明しています。

井水設備|井戸・井水ポンプ・処理・受水槽

施設の井水設備は、深井戸、井水ポンプ、原水槽、処理設備、受水槽の順につながり、水道とは別の配管で受水槽に入ります。

井水設備の全体と、水道の配管と直結しない決まり

井水は処理したあと受水槽に入れ、水道の給水管には直接つながないのが決まりです。

全国さく井協会の指針は、揚水設備を、水中・陸上ポンプ、揚水管、水位測定管、井戸元の配管、流量計、水位計、圧力計、制御盤までとしています。その先に、原水をためる原水槽、水質に合わせた処理設備、消毒、受水槽が続きます。水道法施行令は、給水装置を他の水管に直接つなぐことを禁じており、国土交通省の文書は「給水管に工業用水管、井水管等を直結して切替使用を図ったもの」を、つないではいけない例に挙げています。

施設の井水設備の流れ(井戸から受水槽まで)深井戸井水ポンプ(水中)原水槽処理設備除鉄・除マンガン活性炭軟水化膜ろ過・紫外線消毒塩素の注入受水槽施設の給水飲み水・厨房など水道(水道局)別の配管で受水槽へ井水の配管は、水道の給水管に直接つながない(受水槽で分ける)処理設備の組み合わせは、原水の検査の結果と使い道で決まる

全国さく井協会「さく井工事施工指針」の揚水設備の範囲、水道施設の技術的基準を定める省令、国土交通省「給水装置標準計画・施工方法」をもとに作成した模式図

井水ポンプは、深井戸用の水中モーターポンプ

施設の深井戸で使う井水ポンプは、井戸の中に沈める深井戸用水中モーターポンプで、国の工事の標準仕様書に定めがあります。

国土交通省の公共建築工事標準仕様書(令和7年版)は、深井戸用水中モーターポンプはJIS B 8324「深井戸用水中モータポンプ」によるとし、ポンプの上部に逆止弁、吸込部にステンレス製のストレーナを設けると定めています。据え付けでは、ポンプと揚水管をつないで垂直に井戸の中へおろし、水中ケーブルの被覆を傷めないように取り付けます。ポンプの点検の全般は給水ポンプの点検と交換の目安で書いています。

ポンプの点検は6か月ごと

国の保全の仕様書は、深井戸ポンプの揚水量・圧力と、電動機の絶縁抵抗を6か月ごとに点検するとしています。

国土交通省の建築保全業務共通仕様書(令和5年版)の深井戸ポンプの項目では、締切圧力と吐出し圧力が許容範囲にあるか、単位時間の揚水量、電動機の絶縁抵抗と運転電流を6か月ごとに、ケーブルの損傷と圧力計を1年ごとに確かめます。深井戸用水中ポンプの取り替えの周期について、公的な目安は見つかりませんでした。日本産業機械工業会の取替周期の表に載っているのは汚水・雑排水用などの水中ポンプで、深井戸用は載っていません。

井戸の能力は、使ううちに落ちていく

井戸は、くみ上げを続けると水位の低下や揚水量の減少が起きるので、記録を取って洗浄や改修の時期を決めます。

全国さく井協会の指針が挙げる管理の項目は、自然水位、揚水量、運転水位、運転圧力、電流値、揚砂量、水質、水温です。目安として、適正な揚水量での比湧出量(水位が1m下がるあたりの揚水量)が完成時の80%以下になったら、井戸の洗浄が望ましいとしています。井戸の掘り方と費用は井戸工事の種類と費用で説明しています。

井水の水質|鉄・マンガン・硬度と、汚染の3つの原因

井水の水質で問題になりやすいのは、地層から溶け出す鉄・マンガン・硬度と、肥料や工場の排水などによる汚染です。

どの項目が問題になるかは井戸ごとに違うので、くみ上げた原水を検査して確かめます。

項目水質基準(2026年4月1日施行)井水で起きること主な原因
鉄0.3mg/L以下くみ上げた直後は透明でも、空気に触れて赤く濁る。洗濯物や便器にしみが付く地層
マンガン0.05mg/L以下配管の中に黒い沈殿がたまり、黒い水が出る地層
硬度300mg/L以下石けんが泡立ちにくい。配管や機器にスケールが付く地層
硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素10mg/L以下乳児が多く飲むと、血液が酸素を運べなくなる病気の原因になる肥料・家畜のふん尿・生活排水
ヒ素・ふっ素0.01mg/L以下・0.8mg/L以下健康への影響があり、見た目では分からない主に自然
テトラクロロエチレン・トリクロロエチレン各0.01mg/L以下健康への影響があり、見た目では分からない工場・事業場の排水や廃液

水質基準に関する省令(2026年4月1日施行)、環境省「令和6年度地下水質測定結果」、環境省の水質基準の見直しの検討概要(鉄・マンガン・硬度)をもとに作成

鉄は、くみ上げた直後は見えない

酸素の少ない地下水は、くみ上げた直後は色も濁りもなくても、鉄を数mg/L以上含んでいることがあります。

環境省の資料によると、鉄が0.3mg/L以上になると洗濯物や便器にしみが付き、水質基準は味と洗濯物への着色の観点から0.3mg/L以下と決められています。見た目が透明でも鉄が多い井水があるので、色で判断せずに原水を検査します。

マンガンは黒い水の原因になる

マンガンは主に地層から溶け出し、配管の中に黒い膜や沈殿を作って、黒い水の原因になります。

環境省の資料は、0.02mg/L程度でも配管の中に黒い沈殿が付いた例があるとし、黒い水を防ぐ観点から水質基準を0.05mg/L以下、除マンガンの設備をきちんと管理すれば届く目標として0.01mg/L以下を示しています。

硬度は、スケールと石けんに影響する

硬度はカルシウムとマグネシウムの量で、高いと石けんが泡立ちにくくなり、配管や機器にスケールが付きます。

水質基準は石けんの泡立ちの観点から300mg/L以下で、おいしい水の目安として10〜100mg/Lが別に示されています。環境省の資料は、硬度は通常の浄水の方法では取り除けないと書いています。

硝酸性窒素・ヒ素・ふっ素と有機溶剤

環境省の調査では、全国の井戸の5.6%で、地下水の環境基準を超える項目が見つかっています。

「令和6年度地下水質測定結果」の概況調査では、2,721本の井戸のうち153本で基準を超えていました。項目別では、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素が2.5%、砒素が2.0%、ふっ素が1.1%です。環境省は、硝酸性窒素の原因は主に肥料のやりすぎ・家畜のふん尿・生活排水、砒素とふっ素は主に自然、テトラクロロエチレンなどの有機溶剤は主に工場・事業場の排水や廃液としています。

PFOS・PFOAは2026年4月から水質基準に

PFOSとPFOAは2026年4月1日から水道の水質基準に入り、合わせて0.00005mg/L(50ng/L)以下になりました。

環境省は2025年6月30日に省令を改正し、水道事業者などに、おおむね3か月に1回以上の検査と基準を守ることを求めています。この改正で、水質基準は52項目になりました。岐阜県が2026年2月に公表した調査では、各務原市の井戸45地点のうち17地点で、国の暫定目標値を超えていました。

井水処理・井水ろ過|水質に合わせて方式を組む

井水の処理は、原水の検査で分かった問題に合わせて、除鉄・除マンガン、軟水化、膜ろ過、消毒などを組み合わせます。

水道施設の技術的基準を定める省令は、地下水を原水とする浄水施設は、規模と原水の水質に応じて、消毒処理、緩速ろ過、急速ろ過、膜ろ過、粉末活性炭処理、粒状活性炭処理、オゾン処理、生物処理その他の方法で、必要な水質を得るものと定めています。

処理主に取り除くもの方法の例
除鉄・除マンガン鉄・マンガン塩素などで酸化してからろ過、マンガン接触ろ過
活性炭におい・有機物粉末活性炭・粒状活性炭
軟水化硬度(カルシウム・マグネシウム)イオン交換、膜ろ過
膜ろ過濁り・細菌・クリプトスポリジウムなどの病原生物MF膜・UF膜・RO膜
紫外線処理クリプトスポリジウムなどの病原生物(不活化)紫外線処理設備(地表水以外の原水で認められる)
消毒細菌・ウイルス塩素の注入。蛇口で残留塩素を保つ

水道施設の技術的基準を定める省令、環境省の水質基準の見直しの検討概要(鉄・マンガン・硬度)、水道におけるクリプトスポリジウム等対策指針をもとに作成。組み合わせは原水の検査の結果で決まる

除鉄・除マンガンろ過

鉄とマンガンは、塩素などで酸化して粒にし、ろ過で取り除くのが基本の処理です。

環境省の資料によると、鉄はろ過、ナノろ過・限外ろ過、塩素やオゾンによる酸化、生物処理、マンガン接触で取り除けます。マンガンは塩素による酸化、マンガン接触ろ過、膜ろ過で取り除けます。どちらも、ろ過材の目詰まりを防ぐために、定期的に逆洗(ろ過材を逆向きの水で洗うこと)をします。

軟水化

硬度は通常の浄水の方法では取り除けないので、下げる必要があるときは、イオン交換や膜ろ過の装置を足します。

環境省の資料は、硬度はイオン交換、石灰軟化、膜ろ過で取り除けるとの報告があるとしています。

膜ろ過・紫外線と、クリプトスポリジウム

国の対策指針は、原水から指標菌が出た井戸には、ろ過で濁度を0.1度以下に保つか、紫外線処理の設備を置くよう求めています。

国の対策指針は、地表の水が混ざらない被圧地下水だけを原水にして指標菌(大腸菌と嫌気性芽胞菌)が出ていない施設をレベル1、被圧地下水以外で指標菌が出ていない施設をレベル2、指標菌が出た施設をレベル3としています。レベル3では、ろ過池などの出口の濁度を0.1度以下に保てるろ過設備か、クリプトスポリジウムを99.9%以上不活化できる紫外線処理設備が要ります。

消毒と残留塩素

建築物衛生法施行規則は、特定建築物の飲料水について、蛇口の水の遊離残留塩素を0.1mg/L以上に保つよう定めています。

残留塩素の測り方と基準は残留塩素の基準と測定方法で書いています。

この施設の井水を、飲料水として使えるか

当社は、所在地の規制、上水道の使用量、給水の配管と受水槽の状況から、地下水を浄水して飲料水として使える施設かどうかを判定します。処理の組み方は、掘削のときの原水の検査で決めます。

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井水検査|建物と用途で、項目と頻度が変わる

井水の検査は、業務用の飲用井戸、特定建築物、専用水道のどれに当たるか、飲み水か雑用水かで、項目と頻度が変わります。

区分当たる施設検査の項目と頻度根拠
業務用の飲用井戸水道法・建築物衛生法がかからない事業所の井戸給水を始める前は水道法に準じた検査。その後は毎年1回以上、一般細菌・大腸菌など11項目、有機溶剤、PFOS・PFOA、周りの水質から必要な項目飲用井戸等衛生対策要領(法令ではなく国の通知。2025年6月改正)
特定建築物で飲料水に使う延べ面積3,000m²以上の事務所・店舗など給水を始める前に52項目すべて。16項目を6月以内ごと、12項目を毎年1回、有機溶剤など7項目を3年以内ごと。遊離残留塩素は7日以内ごと建築物衛生法施行規則4条1項
専用水道100人を超える人に配る、または飲用などの1日最大給水量が20m³を超える自家用の水道色・濁り・残留塩素を1日1回以上。一般細菌・大腸菌などをおおむね1か月に1回以上、ほかの項目をおおむね3か月に1回以上水道法、水道法施行規則15条
特定建築物で雑用水だけに使う井水をトイレ・散水などに使う特定建築物pH・臭気・外観と遊離残留塩素を7日以内ごと。散水などは大腸菌・濁度を2月以内ごと(トイレ用は濁度を除く)建築物衛生法施行規則4条の2

飲用井戸等衛生対策要領、建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則、水道法、水道法施行規則をもとに作成。1つの施設が複数の区分に当たることがあり、どれに当たるかは所管の保健所で確かめる

井水を使う施設にかかる検査の決まりの見分け方井水を飲み水に使うか手洗い・厨房・浴用を含むいいえトイレ・散水だけに使う特定建築物なら施行規則4条の2はい100人を超える人に配るか飲用などの1日最大給水量が20m³超かはい専用水道水道法・毎日/月1回/3か月いいえ特定建築物か延べ3,000m²以上の事務所・店舗などはい特定建築物の飲料水施行規則4条1項・6月ごとなどいいえ業務用の飲用井戸国の通知(要領)・毎年1回以上1つの施設が複数の区分に当たることがある。どれに当たるかは所管の保健所で確かめる特定建築物で井水を飲み水と雑用水の両方に使う場合は、両方の基準がかかる

水道法、建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則、飲用井戸等衛生対策要領をもとに単純化した模式図

業務用の飲用井戸

水道法や建築物衛生法がかからない工場・病院・店舗などの井戸は、国の要領で、毎年1回以上の水質検査が求められています。

飲用井戸等衛生対策要領は、法令ではなく国から都道府県などへの通知で、官公庁・学校・病院・店舗・工場などに飲み水を配る井戸を「業務用飲用井戸」としています。2025年6月30日の改正(2026年4月1日施行)で、定期の検査はPFOS・PFOAを加えて毎年1回以上になりました。汚染が分かったら、設置者は直ちに給水を止めて保健所に連絡します。

特定建築物で飲料水に使う

特定建築物で地下水を飲料水の水源にすると、水道水だけの建物より検査が増え、有機溶剤など7項目の検査が3年以内ごとに加わります。

建築物衛生法施行規則4条1項4号は、地下水を水源の全部または一部にする場合、給水を始める前に水質基準の全項目、その後は16項目を6月以内ごと、消毒副生成物など12項目を毎年1回、四塩化炭素・テトラクロロエチレンなど7項目を3年以内ごとに検査すると定めています。

専用水道になる場合

100人を超える人に飲み水を配るか、飲用などに使う1日の最大給水量が20m³を超える自家用の水道は、専用水道になります。

専用水道の設置者は、水道法にもとづいて水道技術管理者を置き、色・濁り・残留塩素の毎日の検査と、定期の水質検査を行います。専用水道の決まりは水道法とはで、水質検査の全般は水質検査とはで書いています。

雑用水だけに使う場合

井水をトイレや散水だけに使う場合でも、特定建築物なら雑用水の基準と検査がかかります。

散水・修景・清掃用の水は、pH5.8〜8.6、臭気と外観に異常が無いこと、大腸菌が検出されないこと、濁度2度以下が基準です。トイレの洗浄水は濁度を除く4項目です。

施設で井水を飲料水にする|当社の仕組みと分担

当社は、施設の敷地に深井戸を掘って井水を浄水し、水道と併用して飲料水として給水します。

水道を残して、井水を足す

当社は水道の契約を残したまま井水を足し、井水の側に異常があれば水道に自動で切り替わる二元給水にします。

当社の案内では、受水槽に入る水のうち井水の割合は50〜90%が目安で、施設の使用量と給水の配管の系統で変わります。当社の仕組みでは水道を解約しないので、水道局の基本料金は残ります。

深井戸から受水槽まで

当社の設備は、不透水層の2〜3層下、深さ約100mの深井戸から井水をくみ、水質に合わせた処理を通して受水槽に入れます。

当社の処理は、除鉄・除マンガンろ過、活性炭ろ過、軟水器、膜ろ過(MF膜・UF膜・RO膜)から、原水の検査の結果と利用目的に合うものを組み合わせます。当社の設備では、膜ろ過が、塩素消毒では死なないクリプトスポリジウムやウイルスなどの除去を受け持ちます。当社は、濁度・pH・残留塩素と設備の稼働状況を、遠方監視装置で24時間監視しています。設備の構成はシステムで、仕組みの全体は地下水飲料化とはで説明しています。

施設に残る仕事

当社の仕組みでは施設が専用水道の設置者になり、水道技術管理者の選任と、毎日の色・濁り・残留塩素の検査は施設が受け持ちます。

井戸と浄水設備は当社が負担して持ち、設備の維持管理、消耗品の交換、24時間の監視、異常時の対応は当社が行います。専用水道の届出などの手続きは、当社が代行します。

採算は、使用量と単価で決まる

井水の採算は、施設の使用量と水道の単価で決まり、使用量の少ない施設や単価の安い地域では下がらないことがあります。

吹田市の審議会資料(2024年3月)によると、市内では商業施設・工場・病院・大学の7者が、膜ろ過した地下水と市の水道水を混ぜて使っています。市の試算では、口径250mmの設置者の損益分岐は年6.6万m³でした。これは吹田市の料金と、その設置者の条件での試算で、ほかの地域や施設には当てはまりません。当社の従量料金の単価は水道局の従量単価より約1割安く設定していますが、これは単価の水準で、水道代の総額が1割下がるという意味ではありません。詳しくは水道コストの削減で説明しています。

この施設で、井水を使うと水道代が下がるか

当社は、上水道の使用量と単価、給水の配管と受水槽の状況から、井水で置き換えられる水の割合と、水道代が下がるかどうかを判定します。井戸の掘削も浄水設備の維持管理も当社の負担で、ご相談の段階で費用は発生しません。

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井水についてのよくある質問

井水を使う前には、届出や許可、飲用の条件、下水道料金を確かめます。ここでは、その3つとポンプの寿命、水温の疑問に答えます。

Q. 井水をくみ上げるのに、届出や許可は要りますか

A. 地域によって要ります。環境省によると、工業用水法の指定地域は10都府県17地域、ビル用水法の指定地域は4都府県4地域で、どちらも揚水機の吐出口の断面積が6cm²を超える井戸が対象です。地下水の採取を規制する条例・要綱等も、2025年3月時点で都道府県31件、市区町村370件あります。所在地の自治体で確かめます。

Q. 井水はそのまま飲めますか

A. 検査で確かめるまでは飲めるとは言えません。飲み水にするには、水道の水質基準52項目に合うことを検査で確かめ、必要な処理と消毒をします。札幌市の指導要綱は、有機溶剤の汚染で環境基準を超えている地域では飲料水に水道水を使うよう努めるとしつつ、衛生上の安全が確かめられた井水等の使用は制限しないと定めています。

Q. 井水を使っても下水道料金はかかりますか

A. 下水道に流せばかかります。井水は水道のメーターを通らないので、名古屋市のように、井戸水の使用量から汚水の量を認定して下水道使用料を請求する自治体があります。届出の方法は自治体の下水道の窓口で確かめます。

Q. 井水ポンプの寿命はどのくらいですか

A. 深井戸用水中ポンプの取り替えの周期に、公的な目安はありません。国の保全の仕様書は、揚水量・圧力と電動機の絶縁抵抗を6か月ごとに点検するとしており、その記録の変わり方から、修理や取り替えの時期を判断します。日本産業機械工業会の資料は、ポンプの定期点検で電動機の絶縁抵抗が1MΩ以上あることを確かめるとしています。

Q. 井水の水温はどのくらいですか

A. 年間を通じてほぼ一定です。国土交通省は地下水を年間を通じて温度が一定の水資源と説明し、環境省は、深さ10mくらいの地中の温度はその土地の年平均気温にほぼ等しく、東京・大阪で17℃程度としています。深くなるほど地中の温度は上がり、環境省は深さ100m程度で2〜4℃程度の上昇としています。

参考情報

この記事は、次の法令と国・自治体の資料をもとに作成しました(2026年10月23日に確認)。

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