中水道とは|雨水利用・排水再利用・再生水の比較と、水質基準・設置義務まで

中水道とは|雨水利用・排水再利用・再生水の比較と、水質基準・設置義務まで

中水道とは、一度使った水や雨水を処理して、トイレの洗浄や散水など飲み水ほどの水質が要らない用途に回す仕組みです。

この記事では、中水道の定義と4つの方式、全国でどれだけ使われているか、雨水利用・排水再利用・下水の再生水の違い、雑用水の水質基準、設置の義務、導入前に確かめることを、法令と国・自治体の資料で整理します。最後に、施設の水道代を減らす手として、水を使い回す方法と水源を足す方法の違いを書きます。

この記事でわかること

  • 「中水道」は法律の用語ではない:法令で決まっているのは建築物衛生法施行規則の「雑用水」で、飲用・炊事・浴用など生活の用以外の水を指します。
  • 雨水利用は全国4,563施設:国土交通省によると令和6年度末の数で、用途は水洗トイレと散水が多くなっています。
  • 雑用水にも水質基準がある:特定建築物では、pH・臭気・外観・大腸菌・濁度と残留塩素を、7日以内ごと・2月以内ごとに検査します。
  • 設置の義務は自治体で違う:国の法律は努力義務ですが、福岡市は延べ面積5,000m²以上の建物でトイレの洗浄水を雑用水道にするよう条例で定めています。
  • 使い回せるのはトイレや散水の分だけ:飲み水・厨房・浴用の水は減らせません。トイレに使った雨水にも下水道料金がかかる地域があります。
目次

中水道とは|飲み水ほどの水質が要らない用途へ、使った水や雨水を回す仕組み

中水道は、上水道と下水道の間に置かれる水の通り道で、処理した排水や雨水を飲用以外の用途に配ります。

デジタル大辞泉は中水道を、下水を殺菌・消毒して再び給水するもので「上水道と下水道の中間的意味をもち」、工業用水・水洗便所用水などにあてると説明しています。改訂新版 世界大百科事典の「雑用水道」の項目は、1棟のビルでは水需要の30〜80%が水洗便所用水と冷却用水で、飲み水ほどの水質が要らない水が多いことを、中水道が考えられた理由として挙げています。

法律に「中水道」の定義は無く、「雑用水」で決まる

現行の法令に「中水道」という語の定義は無く、建物の中で使う水の決まりは建築物衛生法の「雑用水」で書かれています。

1998年に参議院へ「中水道の整備の促進に関する法律案」が出され、中水道を定義していましたが、審議未了で成立していません。建築物衛生法施行規則は、人の飲用、炊事用、浴用その他人の生活の用(旅館の浴用を除く)以外の目的の水を「雑用水」とし、4条の2で雑用水を供給するときの措置を定めています。この記事では、一般に中水・中水道と呼ばれるものを、法令の言葉に合わせて雑用水として説明します。

国土交通省が分ける4つの方式

国土交通省は雑用水の利用を、水をどこから集めて誰が使うかで、個別循環・地区循環・広域循環・雨水利用の4方式に分けています。

「令和7年版 日本の水資源の現況」は、雨水・再生水利用を、雨水や一度使った水道水、下水処理水を再処理した水を、水洗トイレ、散水、冷却用水など人の飲用以外の用途に使うことと説明しています。

方式水をどこから集めるか誰が使うか
個別循環方式その建物の排水事務所ビルなど、その建物の中
地区循環方式地区の複数の建物の排水大規模な集合住宅や再開発地区の建物が共同で
広域循環方式下水処理場で処理した下水再生水供給区域の中の建物
雨水利用方式屋根などに降った雨水だけその建物の中

国土交通省「令和7年版 日本の水資源の現況」第3章をもとに作成

雑用水の4つの方式(どこから水を集め、誰が使うか)個別循環方式1棟の中で回す地区循環方式地区の建物で共同広域循環方式下水処理場から受ける雨水利用方式屋根の雨をためる建物の排水手洗い・厨房など建物内の処理設備トイレの洗浄水その建物で使う複数の建物の排水再開発地区など地区の処理施設地区の建物へ配るトイレ・散水下水処理場高度に処理再生水の配管供給区域の中だけ区域内の建物トイレなど屋根に降った雨集水面積で量が決まる貯留槽ろ過・消毒トイレ・散水足りない分は水道どの方式も、使えるのは飲用・炊事・浴用以外の雑用水の用途。配管は飲料水と別の系統にする

国土交通省「令和7年版 日本の水資源の現況」の4方式の説明をもとに作成した模式図

上水道・工業用水道との違い

上水道は飲み水の水質基準を満たす水を配る施設で、中水道は飲用以外に限った水を、建物や地区の中で配る点が違います。

水道法の水道は、水質基準に関する省令の52項目を満たす水を配ります。工業用水道は工場向けに水を配る施設で、世界大百科事典は、日本で都市規模の雑用水道と呼べるものは数十地域の工業用水道しかないと説明しています。中水道は、ビルや地区の単位で、飲料水とは別の配管で雑用水を配る仕組みです。工業用水との違いは工業用水の記事で詳しく書いています。

中水道はどれだけ使われているか|雨水利用は全国4,563施設

雨水を利用する施設は、令和6年度末に全国で少なくとも4,563施設あり、年に約1,278万m³を使っています。

国土交通省の「雨水利用の普及状況」の数字です。

令和6年度の1年間で新たに131件が加わりました。地域別では関東臨海地域が全国の施設数の約39%を占め、東京都に集まっています。国土交通省の白書は、FAO(国連食糧農業機関)の公表データから日本の年降水量を約1,668mm、世界を約814mmとし、約2倍としていますが、雨水を建物で使う施設はまだ限られています。

雨水は何に使われているか

雨水の用途は水洗トイレと散水が多く、2024年3月末の4,300施設では水洗トイレが2,673施設、散水が2,336施設でした。

用途(複数回答)施設数
水洗トイレ2,673
散水2,336
その他670
洗車など621
消防用水468
冷却・冷房用水320
修景用水318

国土交通省「令和7年版 日本の水資源の現況」p.39(2024年3月末の4,300施設、1つの施設が複数の用途に使うため合計は施設数と一致しない)をもとに作成。最新の施設数(令和6年度末の4,563施設)の用途内訳は公表されていない

下水処理水のうち、トイレに使われるのは再利用量の2.7%

下水処理場で処理した水の再利用は2022年度に約2.4億m³で、そのうち水洗トイレ用水は2.7%にとどまります。

国土交通省によると、2022年度に全国の約2,200の下水処理場から約145.8億m³の処理水が出て、299処理場が2億3,771万m³を再利用しました。再利用量の内訳は河川維持用水が41.4%、修景用水が19.8%、融雪用水が17.5%で、水洗トイレ用水(中水道・雑用水道等)は646万m³、再利用量のうち2.7%(36処理場)でした。処理水の発生量に対しては約0.04%です。

東京都の循環利用は、上水道使用量の約3.5%

東京都では令和6年度末に循環利用の施設が864件、雨水利用の施設が1,947件あり、循環利用の水量は上水道使用量の約3.5%です。

東京都都市整備局の資料(2026年3月、令和6年度末の数字)によると、循環利用864件の内訳は個別循環476件、地区循環183件(54地区)、広域循環205件(7地区)です。都内の雑用水利用施設は年々増えていると都は説明しています。全国の個別循環・地区循環の施設数は、国の集計が2008年度末で止まっており、最新の数はありません。

雨水利用・排水再利用・再生水の比較|水源と処理の場所が違う

3つの方法の違いは、水をどこから集め、どこで処理するかで、どれも使えるのは雑用水の用途です。

「水リサイクル」は一度使った水を処理してもう一度使うことを広く指す言葉で、ブリタニカ国際大百科事典は、1度使った水をもう1度使うことを下水処理水の再生利用とし、建物の中で使う中水道(雑用水道)、下水処理場の処理水を配る方法など3つを挙げています。建物の水リサイクルは、雨水利用を加えた次の3つが主な方法です。

雨水利用|降った分しか使えず、足りない分は水道で補う

雨水利用は屋根などの雨水を貯留槽にため、ろ過と消毒をして使う方法で、水量は雨の降り方と集水面積で決まります。

国の白書が載せる空港ターミナルの例では、処理は沈殿・ろ過・消毒で、集水面積3,700m²・貯留量500m³の施設が年に7,239m³をトイレ洗浄と消火用水に使っています。雨が続かない時期は貯留槽が空になるので、水道からの補給が要ります。雨水の利用の推進に関する法律は、ためた雨水を災害時に使うために確保しておくことも「雨水の利用」に含めています。

排水再利用(個別循環)|建物の排水を処理して戻す

排水再利用は、手洗いや厨房などの排水を建物の中で処理してトイレの洗浄水に戻す方法で、水量は建物の使用量に応じて安定します。

排水を原水にするので、建物の中に処理設備を置き、原水にし尿を含むかどうかで使える用途が変わります。東京都の水の有効利用促進要綱は、し尿を含む原水を使う場合、用途を原則として水洗便所の洗浄水に限るとしています。建築物衛生法施行規則も、散水・修景・清掃に使う雑用水は、し尿を含む水を原水にしてはならないと定めています。

下水再生水(広域循環)と地区循環|供給区域の中で受ける

下水再生水は、下水処理場で高度に処理した水を配管で受ける方法で、建物側に処理設備は要りませんが、供給区域の中でしか使えません。

国土交通省の「下水処理水の再利用水質基準等マニュアル」(2005年)は、法令ではなく国の技術的な指針で、水洗用水・散水用水・親水用水で大腸菌が検出されないこと、砂ろ過以上の施設を設けることなどを目安として示しています。マニュアルは2026年2月から改訂の検討が始まっています。地区循環は、再開発地区などの複数の建物の排水を地区の処理施設でまとめて処理し、地区の建物で使う方法です。

3つの方法の比べ方

施設で選ぶときは、使える水量・処理と管理の重さ・使える場所の3点で比べます。

比べる点雨水利用排水再利用(個別循環)下水再生水(広域循環)
水源屋根などに降った雨その建物の排水下水処理場の処理水
水量の安定雨の降り方で変わり、水道の補給が要る建物の使用量に応じて安定供給元から受けるので安定
建物側の処理沈殿・ろ過・消毒の例がある排水の処理設備が要る処理設備は要らない
使える場所屋根と貯留槽を置ける建物処理設備を置ける建物供給区域の中だけ
使える用途雑用水(トイレ・散水など)雑用水(し尿を含む原水はトイレ洗浄が原則)雑用水(水洗・散水・修景・親水)
災害時ためた分を使える排水が止まると水が減る供給元と配管が動いていれば使える

雨水の利用の推進に関する法律、建築物衛生法施行規則4条の2、東京都 水の有効利用促進要綱、国土交通省「令和7年版 日本の水資源の現況」と「下水処理水の再利用水質基準等マニュアル」をもとに作成。費用は建物と方式で大きく違い、公的な相場は無い

雑用水の水質基準|建築物衛生法の5項目と検査の頻度

特定建築物で雑用水を供給するときは、建築物衛生法施行規則4条の2で、5つの項目の基準と残留塩素、検査の頻度が決まっています。

この規定は2003年4月に追加されました。特定建築物は、店舗・事務所などで延べ面積3,000m²以上、学校で8,000m²以上の建物で、厚生労働省によると令和6年度末に全国で48,608か所あります。

散水・修景・清掃用と、水洗便所用で項目が違う

散水・修景・清掃に使う雑用水は5項目、水洗便所に使う雑用水は濁度を除く4項目の基準を満たします。

項目基準検査の頻度散水・修景・清掃用水洗便所用
pH値5.8以上8.6以下7日以内ごとに1回対象対象
臭気異常でないこと7日以内ごとに1回対象対象
外観ほぼ無色透明7日以内ごとに1回対象対象
大腸菌検出されないこと2月以内ごとに1回対象対象
濁度2度以下2月以内ごとに1回対象対象外
遊離残留塩素0.1ppm以上(結合残留塩素なら0.4ppm以上)7日以内ごとに1回対象対象

建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則4条の2をもとに作成。汚染のおそれがあるときの残留塩素は遊離0.2ppm以上(結合1.5ppm以上)

残留塩素と、健康を害するおそれがあるときの供給停止

雑用水も給水栓で残留塩素を保ち、健康を害するおそれを知ったときは、直ちに供給を止めて利用者に知らせます。

施行規則4条の2は、給水栓での遊離残留塩素を0.1ppm以上に保つこと、雑用水の水槽を点検して汚染を防ぐことを求めています。供給する水が人の健康を害するおそれがあると知ったときは、直ちに供給を停止し、その水を使うのが危険であることを使用者や利用者に知らせます。残留塩素の測り方は残留塩素の記事にまとめています。

水道水だけが原水なら対象外

雑用水の原水が水道事業の水道か専用水道の水だけなら、4条の2の措置はかかりません。

施行規則4条の2のただし書は、雑用水を、水道事業の水道か専用水道から受けた水のみを水源として供給する場合を外しています。雨水・排水・下水再生水・地下水を原水にする雑用水は、どれも4条の2の基準と検査の対象になります。特定建築物に当たらない建物でも、自治体の要綱が同じ程度の管理を求めることがあります。

設置の義務|国は努力義務、条例で義務にする市もある

中水道の設置を全国一律で義務づける法律は無く、国の雨水利用推進法は努力義務で、義務にしているのは一部の自治体です。

雨水利用推進法と国の基本方針

雨水利用推進法は事業者に雨水の利用に努めるよう求め、国の建物には原則として設置を求めています。

法律は2014年5月に施行されました。

法律5条は、事業者と国民は自らの雨水の利用に努めると定めています。15条は、地方公共団体が雨水の貯留施設の整備に助成するよう努めるとし、国土交通省によると全国のおよそ300の地方公共団体が雨水タンクなどへの助成制度を設けています。2015年3月の基本方針は、国と独立行政法人等が建物を新築するとき、床下などに貯留できる空間があれば原則として雨水利用施設を設置するとしています。一方で、病院等で清浄な水を必要とする建物は、雨水の利用が不適当な例として挙げています。

自治体の義務と要綱を比べる

自治体の決まりは、条例で義務にするものと、要綱で協力を求めるものに分かれ、対象の延べ面積も違います。

自治体決まりの種類対象求めていること
福岡市節水推進条例(2003年施行)延べ面積5,000m²以上(促進区域は3,000m²以上)の新築・増築など(判定の細部は条例2条)。専ら共同住宅・寄宿舎・倉庫・駐車場の建物は除く水洗便所の洗浄用を雑用水道にしなければならない。違反すると勧告・公表
東京都水の有効利用促進要綱延べ床面積10,000m²以上の建築物。地区循環・個別循環は30,000m²以上か雑用水量1日100m³以上雑用水利用の協力のお願い。都は「法律、条例に基づくものではありません」と書いている
香川県雑用水利用促進指導要綱延べ面積10,000m²以上の建築物(共同住宅などを除く)雑用水利用施設を設置するものとする
高松市節水・循環型水利用の推進に関する要綱延べ面積2,000m²以上の大規模建築物計画書の提出。水洗トイレ用水に原則として雨水利用・再生水利用・排水再利用のいずれか

福岡市節水推進条例、東京都 水の有効利用促進要綱、香川県雑用水利用促進指導要綱、高松市 節水・循環型水利用の推進に関する要綱(いずれも2026年10月22日に確認)をもとに作成。要綱は法律・条例ではなく、自治体が協力を求める行政指導の決まり

福岡市は条例で個別循環型の雑用水道に補助金を出せるとし、東京都は雑用水利用の施設に容積率の緩和の制度があると案内しています。所在地の決まりは、設計の前に自治体の担当課で確かめます。

この施設の水道代を、どこまで下げられるか

当社は、上水道の使用量と給水の配管、敷地の条件から、地下水を飲料水として使える施設かどうかと、置き換えられる水の割合を判定します。雑用水の配管が分かれている施設かどうかも、ご相談の段階で一緒に確かめます。

導入できるか診断する

ご相談の段階で費用は発生しません。

導入前に確かめること|配管・下水道料金・施設の用途

中水道を入れる前に確かめるのは、飲み水の配管と分けられるか、下水道料金がどうなるか、施設の用途に合うかの3つです。

飲み水の配管と直結しない

建築基準法施行令は、飲料水の配管とその他の配管を直接つなぐことを禁じており、雑用水の配管は飲料水と別の系統にします。

建築基準法施行令129条の2の4第2項1号は、飲料水の配管設備とその他の配管設備を「直接連結させないこと」と定めています。水道法施行令6条も、給水装置がほかの水管に直接つながっていないことを構造の基準にしています。排水再利用の配管について建設省告示1597号は、ほかの配管と兼用しない、表示や色で見分けられるようにする、洗面器や手洗器など誤って飲むおそれのある器具につながない、水栓に表示する、塩素消毒をする、の5つを求めています。

誤接合の事故と、国の通知

配管を取り違えると、雑用水が飲料水の配管に入ります。厚生労働省は2017年10月27日に誤接合の防止を求める通知を出しました。

通知のきっかけは、東京都の下水道施設で、下水の三次処理水が配水管に逆流し、周りの住宅の給水栓から臭気のある水が出た事故です。通知によると、指定給水装置工事事業者でない者が、三次処理水の配管を給水管に直結していました。増改築や配管の更新のたびに、系統の表示と図面を確かめる必要があります。

トイレに使った雨水にも下水道料金がかかる

雨水をトイレの洗浄に使うと、その排水は汚水として下水道に流れるので、下水道料金がかかる地域があります。

東京都下水道局は、雨水を貯留しトイレの洗浄等に利用した場合、その排水は汚水となり料金徴収の対象になると案内しています。名古屋市も、井戸水などを下水道に流す場合は汚水の量を認定して下水道使用料を請求するとしています。水道料金は減っても下水道料金は残るので、下がる額は上水道の単価分だけで見積もります。

病院では雨水の利用が不適当な例とされている

国の基本方針は、病院等の衛生上の管理が特に重要な建物では、雨水の利用施設の設置に特に十分な検討が要るとしています。

基本方針は、処理した雨水の水質は通常、飲用や清浄な水を必要とする用途には適さないとし、利用者の健康面への影響を検討するよう求めています。病院のように手洗いや医療に使う水が多い施設では、雑用水に回せる用途が限られます。

災害時にためた雨水を使う

雨水の貯留槽は、断水したときにトイレの洗浄などに使う水の備えにもなります。

雨水の利用の推進に関する法律は、消火や災害時の使用に備えて雨水を確保しておくことも「雨水の利用」に含めています。東京都墨田区の手引きは、敷地500m²以上の建物の雨水貯留槽について、非常時3日分の生活用水を最低の容量の目安とし、店舗などでは収容人員1人あたり0.15m³(1日0.05m³の3日分)で計算するよう定めています。ためた雨水は飲み水には使えないので、飲み水の備えは別に要ります。

使い回せるのは水使用の一部

雑用水に回せるのはトイレや散水の分で、飲み水・厨房・浴用の水はこれまでどおり上水道を使います。

東京都水道局の令和3年度の調査では、一般家庭の水の使い方は風呂43%、トイレ20%、洗濯16%、炊事15%でした。ビルではトイレと冷却の割合が大きくなりますが、用途ごとの割合を全国で集計した公的な資料はありません。雑用水で減らせる量は、自分の施設の用途別の使用量で見積もります。

地下水を雑用水に使う・飲み水に使う

地下水も雑用水の原水になり、浄水処理をして水質基準を満たせば、飲料水の水源にもなります。

地下水も雑用水の原水になる

自治体の案内や要綱は、雨水と並べて地下水を雑用水の原水に挙げています。

名古屋市は、トイレの洗浄や植栽の散水に使う雑用水は、地下水や雨水、これらの混合水などを原水とすると案内しています。高松市の要綱も、地下水その他の水道水以外の水を雑用水に使う方法を挙げ、地盤沈下や塩水化に配慮するよう求めています。地下水を雑用水に使う場合も、特定建築物なら4条の2の基準と検査がかかります。

飲み水に使うなら、水道法の水質基準と検査がかかる

地下水を飲み水に使うときは、雑用水の5項目ではなく、水道法の水質基準52項目を満たす必要があります。

使う人数と水量によって、水道法の専用水道や、国の飲用井戸等衛生対策要領、建築物衛生法の検査がかかります。区分と検査の頻度は地下水を飲料水にする条件の記事に、水道法の区分は水道法の記事にまとめています。

くみ上げる量の規制と地盤沈下

地下水をくみ上げる量は、国の2つの法律の指定地域と自治体の条例・要綱で制限されており、井戸を掘る前に所在地の規制を確かめます。

環境省によると、工業用水法の指定地域は10都府県17地域、建築物用地下水の採取の規制に関する法律(ビル用水法)の指定地域は4都府県4地域で、どちらも揚水機の吐出口の断面積が6cm²を超える井戸が対象です。地下水の採取を規制する条例・要綱等は、2025年3月時点で都道府県31件、市区町村370件あります。環境省は、一度沈下した地盤は元に戻らないと説明しています。

水を使い回すか、水源を足すか|当社の考え方

中水道は使った水をもう一度使って上水道の量を減らす方法で、当社の地下水飲料化は、飲み水にも使える水源をもう1本足す方法です。

使い回しで減るのは、雑用水の系統の分

中水道や雨水利用で減るのは、トイレ・散水などの雑用水の系統に流れる上水道の分です。

雑用水の配管が飲料水と分かれている建物なら、その系統の水を雨水や処理水に置き換えられます。雑用水の配管が無い建物では、配管を分ける工事から要ります。飲み水・厨房・浴用の水は減らないので、水道代の多くを占める用途がどれかを先に見ます。

当社は、飲料水の系統にも地下水を入れる

当社は敷地の地下水を浄水して受水槽に入れるので、飲料水の系統にも、配管によっては雑用水の系統にも地下水が使われます。

当社の案内では、受水槽に入る水のうち井戸水の割合は50〜90%が目安で、施設の使用量と配管の系統で変わります。水道の契約は残し、井戸側に異常があれば自動で水道に切り替わります。

施設の給水の2つの系統と、それぞれに入る水飲料水の系統(水質基準52項目)水道(水道局)契約は残す浄水した地下水当社が維持管理受水槽飲み水・厨房・浴用異常時は水道へ自動で切り替え2つの系統の配管は直接つながない(建築基準法施行令129条の2の4)雑用水の系統(建築物衛生法の5項目)雨水貯留槽から排水再利用建物内で処理下水再生水供給区域で雑用水槽トイレ・散水

施設の給水の考え方を単純化した模式図。どの水がどの系統に入るかは建物の配管で決まり、配管が1系統の施設では雑用水の水を入れられない

配管と単価で、下がり方が変わる

どちらの方法も、下がる額は置き換えられる水の量と単価の差で決まり、条件によっては下がらないこともあります。

当社の従量料金の単価は、水道局の従量単価より約1割安く設定していますが、これは単価の水準で、水道代の総額が1割下がるという意味ではありません。水道局の基本料金は残ります。置き換えられる割合は給水の配管で決まり、飲料水と雑用水の配管が分かれている施設と、同じ配管の施設とでは範囲が違います。単価の安い地域や使用量の少ない施設では、下がらないこともあります。詳しくは水道コストの削減と地下水飲料化とはで説明しています。

この施設に、地下水の水源を足せるか

当社は、所在地の規制、上水道の使用量、給水の配管と受水槽の状況から、地下水を飲料水として使える施設かどうかを判定します。井戸の掘削も浄水設備の維持管理も当社の負担で、ご相談の段階で費用は発生しません。

導入できるか診断する

ご相談の段階で費用は発生しません。

中水道についてのよくある質問

中水道の飲用、井戸水の使い方、補助金、対象の建物、費用についての疑問に答えます。

Q. 中水は飲めますか

A. 飲めません。中水にあたる雑用水は、建築物衛生法施行規則で飲用・炊事用・浴用など生活の用以外の目的の水とされ、基準も水道の水質基準52項目ではなく5項目です。なお、旅館の浴用の水は、施行規則で生活の用の水からも雑用水からも外され、この2つの区分の外に置かれています。手洗いも誤って飲むおそれがあるので、国の告示は排水再利用の配管を洗面器や手洗器につながないよう求めています。

Q. 雨水利用に補助金はありますか

A. 多くの自治体に助成制度があります。国土交通省によると、全国のおよそ300の地方公共団体が雨水タンクや雨水浸透ますの設置に助成しており、国土交通省のサイトに制度の一覧があります。事業所が対象になるかは、自治体ごとに確かめます。

Q. 井戸水をトイレだけに使う場合も、検査や届出は要りますか

A. 要ることがあります。特定建築物なら、井戸水を原水にした雑用水にも建築物衛生法施行規則4条の2の基準と検査がかかります。下水道に流す水には、名古屋市のように汚水の量を認定して下水道使用料を請求する自治体があり、くみ上げる井戸そのものも自治体の条例で届出や規制の対象になることがあります。

Q. 小さな建物にも雑用水の基準はかかりますか

A. 建築物衛生法施行規則4条の2の基準は特定建築物にかかり、店舗・事務所などでは延べ面積3,000m²以上の建物が対象です。それより小さな建物には4条の2はかかりませんが、自治体の要綱が計画書の提出や管理を求めることがあり、高松市は延べ面積2,000m²以上を対象にしています。

Q. 中水道の導入費用はどのくらいですか

A. 公的な相場はありません。費用は、方式(雨水・排水再利用・下水再生水)、ためる量、処理の設備、飲料水と分けて引く配管の長さで大きく変わります。下水道料金は残るので、下がるのは上水道の単価の分だけと考え、施設の用途別の使用量から見積もります。

参考情報

この記事は、次の法令と国・自治体の資料をもとに作成しました(2026年10月22日に確認)。

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