建物の水道設備とは|所有者が管理する範囲と、点検の義務・頻度まで

建物の水道設備とは|所有者が管理する範囲と、点検の義務・頻度まで

建物の水道設備とは、水道管から分かれた給水管から蛇口までの、建物に水を届ける管・水槽・ポンプの一式です。

この記事では、水道局と所有者の境目、点検と清掃の義務がどの法律から来るか、水槽・ポンプ・配管を見る頻度を、法令と国・自治体の資料で整理します。最後に、地下水を水源に加えた建物の管理の分担を書きます。

この記事でわかること

  • 水道局の持ち物は、ほぼ水道メーターだけ:東京都水道局は、配水管の分岐部から蛇口までをお客さまの財産とし、メーターだけを局の資産としています。
  • 受水槽から先は、建物の所有者が管理する:横浜市と神戸市は、受水槽から蛇口までは所有者・管理者の責任だと案内しています。
  • 義務は規模と用途で4通りに分かれる:受水槽が10m³を超えると水道法、10m³以下は自治体の条例、延べ3,000m²以上の事務所などは建築物衛生法、構造は建築基準法がかかります。
  • 清掃と法定検査は年1回、日常の点検は「定期に」:国の告示は点検の月数を決めていません。自治体の手引きには月1回以上とするものがあります。
  • 井戸水を受水槽に加えると区分が変わる:簡易専用水道から外れ、規模によって専用水道になり、検査の中身が変わります。
目次

建物の水道設備とは|水道管の分岐から蛇口までの、水を届ける設備

建物の水道設備は、道路の配水管から分かれた給水管、メーター、受水槽、ポンプ、建物内の配管、蛇口までをまとめた呼び名です。

法律に「水道設備」という定義語はありません。日本大百科全書は、給排水設備を「おもに建物の給水・給湯・排水設備、給排水の浄化装置および消火用水の配管設備」と説明しています。この記事では、そのうち飲み水を届ける給水の設備を中心に扱います。

法律では「給水装置」と、受水槽から先の設備に分かれる

水道法は、配水管から分かれて蛇口まで直接つながる管と器具を「給水装置」とし、受水槽で受けた先はこれに含めません。

水道法3条9項の定義は「水道事業者の施設した配水管から分岐して設けられた給水管及びこれに直結する給水用具」です。受水槽でいったん水を受けると、その先の管とポンプは配水管に「直結」しないので給水装置から外れます。建築物衛生法施行令2条と建築基準法施行令129条の2の4も、給水装置を除いた給水の設備を対象にしています。

給水方式で、建物にある設備の顔ぶれが変わる

配水管の水圧で直接届ける建物にはメーターと配管しかなく、受水槽で受ける建物には水槽とポンプが加わります。

横浜市水道局は、戸建住宅は直結直圧式、中高層は増圧ポンプを使う直結増圧式、水をいったん水槽にためる受水槽式があると説明しています。方式ごとの点検の違いは、下の「給水方式ごとに、点検する設備が違う」の節で書きます。

給湯・排水・消火の設備は、別の決まりで管理する

お湯・排水・消火用水の設備は、給水と同じ建物の中にあっても、管理の基準を決める法律や条文が別です。

特定建築物の排水設備の掃除は建築物衛生法施行規則が6月以内ごとと定め、消火栓の水源の水量は消防法施行令が決めています。

部位役割誰の持ち物か(東京都水道局の例)主にかかる決まり
配水管道路の下を通る水道局の管水道局水道法(水道事業者)
給水管(分岐部〜建物)配水管から分かれて敷地に入る管建物の所有者水道法の給水装置・水道局の規程
水道メーター使った量を量る水道局計量法・水道局の規程
受水槽・高置水槽水をためて建物へ送る建物の所有者水道法(10m³超)・条例・建築物衛生法・建築基準法
給水ポンプ水に圧力をかけて上の階へ送る建物の所有者建築物衛生法の告示・建築基準法12条(地域で違う)
建物内の配管・蛇口各階・各室へ届ける建物の所有者給水装置か、受水槽より先かで変わる

水道法、建築物衛生法、建築基準法と、東京都水道局・横浜市の案内(2026年10月20日に確認)をもとに作成。持ち物の区分は水道局ごとに違うことがある

水道局と所有者の境目|どこまでが自分の管理か

水道局が持つのは配水管とメーターまでで、敷地に入る給水管から蛇口までは建物の所有者が管理します。

境目は、水道局の財産の区分と、受水槽があるかどうかの2つで決まります。下の図は、受水槽のある建物での分かれ方を単純にしたものです。

水道局建物の所有者の財産・管理配水管道路の下給水管分岐部から敷地へメーター水道局の資産受水槽ポンプ直送圧力で各階へ高置水槽揚水ポンプで屋上へ蛇口各階・各室給水装置(水道法3条9項):分岐部から受水槽の入口まで受水槽から先:設置者が水質を含めて管理する直結の建物には受水槽が無く、蛇口まで給水装置が続く。道路の下の修繕の受け持ちは水道局ごとに違う

水道法3条9項、東京都水道局・横浜市・神戸市の案内をもとに作成した模式図

分岐部から蛇口までは所有者の財産、メーターは水道局

東京都水道局は、配水管の分岐部から蛇口までをお客さまの財産とし、水道メーターだけを局の固定資産としています。

同局の案内は、この範囲の設置と維持管理は建物の所有者が行うとしています。東京都の言い方は「メーターから先」ではなく「分岐部から」で、メーターより道路側の給水管も所有者の財産です。道路の下の修繕の受け持ちは、所在地の水道局の規程で確かめます。

受水槽から先は、設置者が責任を持って管理する

受水槽から蛇口までの設備は、水道局ではなく、建物の所有者や管理者が水質を含めて管理します。

横浜市は「受水槽から利用者の蛇口までは、建物の所有者が責任を持って管理する必要があります」と案内し、神戸市も同じ趣旨を書いています。水道法14条は、水道局の供給規程で、水道局と受水槽の設置者の責任を明確に定めるよう求めています。水道局の責任は、受水槽に入るところの水質までです。

給水装置の工事は、指定された業者が行う

給水装置の新設や修理の工事は、水道局が指定した指定給水装置工事事業者に頼むのが原則です。

水道法16条の2は、水道局が指定給水装置工事事業者を指定できるとし、指定は5年ごとの更新制です。事業所ごとに国家資格の給水装置工事主任技術者を置きます。受水槽から先の設備はこの制度の外で、設備業者やメーカーに頼みます。

水道の所管は2024年4月に国土交通省へ移った

水道法の整備・管理の行政は2024年4月1日に厚生労働省から国土交通省へ、水質・衛生は環境省へ移りました。

いまの水道法では、簡易専用水道の管理の基準は国土交通省令、検査機関は国土交通大臣と環境大臣の登録です。建築物衛生法は今も厚生労働省の所管です。古い資料の「厚生労働大臣」は移管前の表記です。

給水方式ごとに、点検する設備が違う

直結の建物は配管とメーターを、受水槽式の建物はそれに加えて水槽とポンプを点検します。

方式は階数と使う量、水道局の基準で決まります。竣工図か、受水槽とポンプの有無で確かめます。

直結直圧式:受水槽もポンプも無い

直結直圧式は、配水管の水圧だけで蛇口まで届けるので、点検する設備は給水管・メーター・蛇口に限られます。

鹿児島市は、条件を満たす4階建てか5階建てなら、ポンプなしで直結直圧にできる特例を設けています。水をためないので、配水管が止まると建物の水もすぐに止まります。

直結増圧式:増圧ポンプの点検が加わる

直結増圧式は、給水管に増圧ポンプを直接つなぐ方式で、受水槽が無い代わりにポンプの点検と逆流防止の確認が要ります。

東京都水道局は、直結増圧の増圧ポンプと逆流防止装置の点検を年1回求めています。ポンプの方式の違いは給水ポンプの記事で詳しく扱っています。

受水槽式:水槽・ポンプ・高置水槽が加わる

受水槽式の建物は水槽とポンプを持つので、容量と自治体に応じて、直結には無い水槽の清掃と検査の決まりがかかります。

横浜市は、受水槽式は断水のときに一時的に水を確保できる一方、停電やポンプの故障では給水できないと説明しています。屋上の水槽の点検と撤去の判断は高架水槽の記事にまとめています。

方式を変えると、点検の顔ぶれが変わる

受水槽式から直結増圧式に切り替えると水槽の清掃と検査はなくなりますが、増圧ポンプの点検は残ります。

国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインは、性能を上げる工事の例に直結増圧への変更を挙げています。ただし水槽をなくすと、断水時にためておける水もなくなります。

点検と管理の義務はどの法律から来るか|規模と用途で4通り

建物の水道設備の点検義務は、受水槽の容量、建物の用途と延べ面積、建物の構造の3つで、かかる法律が決まります。

受水槽が20m³ある延べ5,000m²の事務所ビルのように、両方がかかる建物もあります。

建物の条件法律・制度清掃検査・点検水質・記録
受水槽の有効容量の合計が10m³を超え、水道水だけを使う水道法(簡易専用水道)毎年1回以上登録検査機関の検査を毎年1回以上異常があれば水質検査
受水槽が10m³以下自治体の条例・要綱(小規模貯水槽水道)東京都・横浜市は年1回以上東京都は年1回以上の点検と報告(5m³超など)自治体による
延べ3,000m²以上の事務所・店舗・旅館など(学校は8,000m²以上)建築物衛生法(特定建築物)貯水槽を1年以内ごと残留塩素を7日以内ごと水質検査を6月以内ごと・帳簿5年
建物の構造建築基準法―水槽は外から6面を点検できる構造/12条の定期報告は特定行政庁の指定しだい―
井戸水を水源の全部か一部に使う水道法(専用水道など)・建築物衛生法区分による区分による給水開始前に全項目など

水道法・同施行令・同施行規則、建築物衛生法・同施行令・同施行規則、建築基準法施行令と告示1597号、東京都・横浜市の案内(2026年10月20日に確認)をもとに作成

受水槽が10m³を超える建物:水道法の簡易専用水道

水道水だけを受水槽に受け、その有効容量の合計が10m³を超える建物は簡易専用水道で、清掃と検査が年1回以上の義務になります。

水道法施行令2条が10m³の線を決めています。施行規則55条は「水槽の掃除を毎年一回以上定期に行うこと」、56条は登録検査機関の検査を毎年1回以上としています。高置水槽の容量は数えません。届出や検査の中身は簡易専用水道の記事で詳しく書いています。

10m³以下の建物:自治体の条例と要綱しだい

受水槽が10m³以下の小規模貯水槽水道には水道法の検査義務が無く、管理の決まりは自治体の条例や要綱で変わります。

東京都は、学校・病院などに給水するものか5m³を超えるものに条例で義務を課し、清掃と点検をそれぞれ年1回以上としています。横浜市は清掃と定期検査を毎年1回以上とし、8m³以下のピット式・床上式は自己点検と報告で代えます。

延べ3,000m²以上の事務所・店舗など:建築物衛生法の特定建築物

店舗・事務所・旅館などで延べ3,000m²以上の建物は、建築物衛生法の特定建築物として給水の管理基準がかかります。

学校教育法1条の学校は8,000m²以上です(施行令1条)。政令の用途に病院・工場・共同住宅は無いので、病院やマンションは特定建築物に当たりません。特定建築物の数は全国で48,608か所です(2024年度末・厚生労働省)。管理の頻度は、残留塩素の検査が7日以内ごと、貯水槽の清掃が1年以内ごと、水質検査が6月以内ごとに1回です。

建築基準法:水槽の構造と、12条の定期報告

建築基準法は、受水槽を外から6面とも点検できるように置くことなど構造を決め、定期報告の対象かどうかは地域で変わります。

昭和50年建設省告示1597号は、建物の中や屋上に置く給水タンクを、外部から天井・底・周壁を点検できるように設けるとし、マンホールは「直径六十センチメートル以上の円が内接」する大きさとしています。建築基準法12条の定期報告で全国一律に決まっている設備は昇降機と防火設備で、給排水設備は特定行政庁が指定したときだけ対象です。群馬県は平成28年度から給排水を対象外にしています。

井戸水を使う建物は、区分そのものが変わる

井戸水を一部でも受水槽に入れる建物は、水道水だけという条件を満たさなくなるので、簡易専用水道には当たりません。

代わりに、100人を超える人に居住に必要な水を配るか、1日最大給水量が20m³を超えると専用水道になります(水道法3条6項・施行令1条)。特定建築物では、地下水を水源の全部か一部にすると、給水を始める前に水質基準の全項目を検査し、その後も3年以内ごとの検査などが加わります。区分の判定は水道法の記事で詳しく扱っています。

この建物の水源に、地下水を加えられるか

当社は、上水道の使用量と受水槽の状況から、地下水を施設の水源に加えられるかどうかと、導入後に施設側が担う管理を判定します。ご相談の段階で区分が変わる点も一緒に確かめます。

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ご相談の段階で費用は発生しません。

水槽の管理と点検|清掃・法定検査・ふだんの点検

受水槽と高置水槽の管理は清掃・法定検査・ふだんの点検の3つで、義務かどうかは容量と自治体で決まります。

10m³を超える簡易専用水道は清掃と法定検査が毎年1回以上の義務で、10m³以下は条例しだいです。ただ、汚れと異物の入口になる場所は容量によらず同じです。清掃の順序と確かめる値を知っておくと、業者の報告書を読めます。

清掃は受水槽が先、消毒は2回以上

国の告示は、受水槽の清掃の後に高置水槽を清掃し、塩素剤で2回以上消毒してから水を張るよう定めています。

平成15年厚生労働省告示119号(特定建築物の技術上の基準)は、水を張った後に給水栓で残留塩素0.2mg/L以上、色度5度以下、濁度2度以下などを確かめるとしています。特定建築物では、貯水槽の清掃を都道府県知事の登録業者に頼むこともでき、厚生労働省の資料で2024年度の登録営業所数は6,435です。

法定検査の受検率は78.0%、小規模は3.5%

2022年度の国の集計で、簡易専用水道の受検率は78.0%、10m³以下の小規模貯水槽水道は3.5%でした。

国土交通省の調査では、簡易専用水道206,856施設のうち受検は161,356施設で、受検率は5年続けて78%前後です。小規模貯水槽水道は788,542施設のうち27,555施設でした。受検した161,356施設のうち22.4%が何らかの指摘を受けました。

指摘が多いのは、マンホールと書類

2022年度に指摘を受けた36,102施設のうち、マンホールの指摘は20.8%、書類の整備と保存は26.6%でした。

同じ集計で、受水槽の本体は14.5%、高置水槽の通気管は12.4%です。衛生上の問題が大きいとして行政に報告された1,268施設のうち、3.1%は水槽の中に動物などの死骸がありました。改善命令は15件です。マンホールの施錠と記録の保存は、点検の手順で防げる指摘です。

ふだんの点検で見る場所と、頻度の決まり方

水槽のふだんの点検は、国の告示では「定期に」とだけ書かれ、月数は決まっていません。頻度は自治体の手引きか、管理者の計画で決めます。

告示119号は、水漏れや外壁の損傷・さび・腐食、マンホールの密閉、防虫網、ボールタップや満減水警報装置などを「定期に点検」するよう求めています。倉敷市の簡易専用水道の手引きは、日常の点検を原則1か月に1回以上とし、地震・凍結・大雨の後は臨時に点検するとしています。建築物環境衛生維持管理要領も、地震などの後は速やかに点検するよう書いています。

点検する場所見ること根拠
マンホールふたが密閉され、施錠されているか。周りに水がたまっていないか告示119号・法定検査の指摘の最多
水槽の本体水漏れ、ひび割れ、さび、腐食告示119号
通気管・オーバーフロー管防虫網が破れていないか。排水口との間にすき間があるか告示119号・建築物環境衛生維持管理要領
ボールタップ・満減水警報装置水位の調整と警報が働くか告示119号
水槽の周りものが置かれていないか。汚水槽や排水管が上を通っていないか告示1597号・札幌市の事故例
水の状態色・濁り・におい・味。蛇口で残留塩素水道法施行規則55条・建築物衛生法施行規則

平成15年厚生労働省告示119号、昭和50年建設省告示1597号、建築物環境衛生維持管理要領、国土交通省の簡易専用水道の集計(2022年度)、札幌市の発表をもとに作成

ポンプ・配管・蛇口の点検|水道設備点検の中身

水槽以外の水道設備点検は、ポンプが動いているか、配管が漏れていないか、蛇口の水に塩素が残っているかの3つを見ます。

ポンプと配管には、水槽の「年1回」のような全国一律の頻度がありません。告示の「定期に」とメーカーの点検基準、更新の目安を組み合わせて計画します。

給水ポンプに、頻度の決まった全国一律の法定点検は無い

給水ポンプだけを対象にした頻度の決まった法定点検は無く、特定建築物には告示が定期の点検を求め、12条は地域の指定しだいです。

告示119号は「給水ポンプの揚水量及び作動状況を定期に点検すること」と定めています。建築基準法12条の定期検査は、特定行政庁が給排水設備を指定した地域だけです。官庁施設の点検の標準は6か月か1年ごとで、交換の目安とあわせて給水ポンプの記事で整理しています。

漏水と誤接合は、メーターの数字の変化で気づける

配管の漏れや、井戸水など別の配管との誤接合は、メーターの使用量の急な変化から見つかった例が国と自治体の発表にあります。

岡山市では2025年2月、届出なしに井戸水のろ過水の配管と水道の給水管をつないだ事業所から、7日間で約250m³のろ過水が水道本管に押し出され、検針の使用量の急増で気づいています。国土交通省が2025年度にまとめた水質事故の集計でも、井水配管との誤接合が水道メーターの数値の異常で見つかった例が載っています。建築基準法施行令は、飲み水の配管をほかの配管と直接つながないよう定めています。給水管の漏水の見つけ方と更新は給水管の記事で扱っています。

蛇口で残留塩素を確かめる

蛇口の水に塩素が残っているかは、受水槽から先の設備で水が汚れていないかを確かめるいちばん手軽な点検です。

建築物衛生法施行規則は、給水栓の遊離残留塩素を0.1mg/L以上に保つよう定め、特定建築物では7日以内ごとに測ります。横浜市では2025年6月、法定検査を受けていない受水槽のある建物で、蛇口の残留塩素が0.06mg/Lしかなく、湯沸かし器の水の逆流が原因でした。測り方と、塩素が下がる原因は残留塩素の記事で詳しく書いています。

更新の目安は、税の耐用年数ではない

給排水設備の税の耐用年数は15年ですが、国の修繕計画の目安では、受水槽の取替は26〜30年目、給水管の取替は30〜40年です。

同じガイドライン(2024年6月改訂)は給水ポンプの取替を14〜18年としています。15年は減価償却のための年数で、壊れる年ではありません。

水道設備の管理|誰が、いつ、何をするかを決めて記録する

水道設備の管理とは、頻度の違う点検と清掃を1年の計画にまとめ、担当を決め、結果を記録として残すことです。

下の表は、受水槽式で特定建築物にも当たる建物を例にした頻度の一覧です。

頻度すること根拠
毎日水の色・濁り・におい、設備の異音や水漏れを見る(専用水道は色・濁り・残留塩素の検査が義務)水道法施行規則(専用水道)・管理者の計画
7日以内ごと蛇口で遊離残留塩素を測る建築物衛生法施行規則4条(特定建築物)
1か月ごと(目安)水槽・マンホール・防虫網・警報装置を見る告示119号は「定期に」。倉敷市の手引きは月1回以上
6月以内ごと水質検査(所定の項目)、排水設備の掃除建築物衛生法施行規則4条・4条の3
1年以内ごと受水槽・高置水槽の清掃、簡易専用水道の法定検査水道法施行規則55条・56条、建築物衛生法施行規則4条
地震・大雨・凍結の後臨時の点検建築物環境衛生維持管理要領・倉敷市の手引き

水道法・建築物衛生法の施行規則、平成15年厚生労働省告示119号、建築物環境衛生維持管理要領、倉敷市の手引きをもとに作成。建物にかかる区分で、要らない行と増える行がある

担い手は設置者、管理技術者、検査機関、登録業者

管理の責任を負うのは建物の所有者や管理者で、検査や清掃は外部の検査機関や業者に頼むことができます。

特定建築物では、建築物環境衛生管理技術者の選任が義務で、使用を始めて1か月以内に都道府県知事などへ届け出ます。簡易専用水道の検査は、国土交通大臣と環境大臣の登録を受けた検査機関だけが行えます。飲料水の水質検査業の登録営業所数は、同じ資料で2024年度に495です。

記録の保存期間は、特定建築物で5年

特定建築物では、給水の管理と点検の帳簿書類を5年間保存する義務があります。

建築物衛生法施行規則20条が定めています。簡易専用水道には保存年数の条文は無く、自治体の手引きが年数を示しています。大和市の資料は清掃と点検の記録を3年間保存するとしています。法定検査の指摘で書類の整備と保存が26.6%と最も多いので、点検の結果は日付と担当者を入れて残します。

受水槽の不具合から起きた事故

受水槽のひび割れやすき間から汚水が入ったとみられる食中毒が、2024年と2025年に続けて発表されています。

札幌市では2024年12月、雑居ビルの地下の受水槽に、同じ部屋の汚水槽などからあふれた汚水が上部のすき間やひび割れから入り、ノロウイルスの食中毒が起きました。市は水道法36条3項にもとづいてビルの所有者に改善を指示しています。国土交通省の集計では2025年11月、テナントビルの受水槽のひび割れから汚水が入った可能性があり、45人に健康被害が出ました。

特定建築物でも、残留塩素の不適合は残る

2017年度の全国集計では、特定建築物45,679施設の1.5%で遊離残留塩素の含有率が基準に合わず、学校では2.7%でした。

厚生労働科学研究の報告は、学校の不適合を夜間や休日の滞水によるものと見ています。環境省の資料にも、学校の貯水槽が大きすぎて残留塩素が出なくなった例が2022〜2023年度に3件あります。

地下水を水源に加えると、管理の範囲はこう変わる

受水槽に浄水した地下水を加えると、建物は簡易専用水道から外れて専用水道などになり、施設側の仕事に毎日の検査が加わります。

当社が扱う地下水飲料化システムは、敷地の深井戸から汲んだ地下水を浄水し、水道法の51項目の水質基準を満たした水を受水槽へ入れて、今の給水配管のまま施設で使う仕組みです。水道の契約は残し、当社の案内では受水槽に入る水のうち井戸水が50〜90%、水道水が50〜10%が目安で、施設の使用量と給水配管の系統で変わります。

地下水を加えた後の、管理の分担当社が管理(費用も当社)施設が管理(今までどおり)敷地の深井戸約100m浄水設備24時間遠隔監視水道(水道局)契約は残す切替バルブ異常時は水道へ自動受水槽ポンプ・配管蛇口専用水道の届出(設置者は施設)水道技術管理者の選任毎日の検査(色・濁り・残留塩素)受水槽から先の清掃と点検受水槽に入る水は井戸水が50〜90%、水道水が50〜10%が目安。施設の使用量と配管の系統で変わる

当社が扱う地下水飲料化システムの管理の分担を単純化した模式図。区分と義務は施設の規模・用途と自治体の判断で変わる

簡易専用水道から、専用水道になる

水道水だけという条件が外れて簡易専用水道ではなくなり、100人超か1日最大20m³超の条件に当たれば専用水道になります。

当社の保守・サポートのページのとおり、当社の仕組みでは導入企業が専用水道の設置者になり、届出をします。専用水道になると、簡易専用水道の年1回の登録検査機関の検査ではなく、水道事業と同じ水準の水質検査の体系になります。特定建築物でもある施設は、地下水を使う場合の検査が建築物衛生法の側でも加わります。

施設に加わるのは、技術管理者の選任と毎日の検査

当社の仕組みで施設に新しくお願いするのは、水道技術管理者の選任、色・濁り・残留塩素の毎日の検査、設置スペースの提供です。

受水槽から先の清掃と点検は、これとは別に今までどおり施設に残ります。専用水道の毎日の検査は、色と濁りを見て残留塩素を測る3項目で、設備の操作や薬品の取り扱いは含みません。特定建築物で7日以内ごとに残留塩素を測っている施設なら、その頻度を毎日にする形になります。

浄水設備の維持管理と水質の保証は、当社が受け持つ

井戸と浄水設備の維持管理、消耗品の交換、24時間の遠隔監視、水質の保証は当社の側で行い、その費用も当社が負担します。

当社は濁度・pH・残留塩素・稼働状況を遠方監視装置で連続して見ており、浄水設備に異常が出ると給水は自動で水道水に切り替わります。許認可手続きも当社が代行します。仕組みの全体はシステムのページで紹介しています。

受水槽から先の設備は、今までどおり施設の管理

地下水が足されるのは受水槽の手前なので、受水槽・ポンプ・高置水槽・建物内の配管の点検と清掃は施設の管理のまま残ります。

能登半島地震の調査では、33施設の市水の断水は平均約40日、最長120日でした。井水の受水槽が無事だった病院は給水を続けましたが、FRPの高置水槽には穴が開き、井水の高置水槽に切り替えています。水源を足しても、受水槽から先の設備が壊れれば水は届きません。調査の提言は、井水などの代わりの水源を持つことを挙げています。

管理の項目導入前(水道水だけの受水槽式)導入後(地下水を加えた場合)
法律上の区分簡易専用水道(10m³超)か小規模貯水槽水道専用水道など(設置者は導入企業)
水源の水質受水槽に入るまでは水道局地下水の浄水と水質の保証は当社、水道水の分は水道局
毎日の検査法の義務は無い(特定建築物は残留塩素を7日以内ごと)色・濁り・残留塩素を施設が毎日
井戸・浄水設備の維持管理―当社(費用も当社)
受水槽から先の清掃と点検施設施設(変わらない)
行政への手続き施設届出の設置者は施設、手続きの代行は当社

当社の保守・サポートのページ、よくあるご質問、水道法の区分をもとに作成。区分と義務は施設の規模・用途と自治体の判断で変わる

今の管理体制のまま、地下水を水源に加えられるか

当社は、上水道の使用量と受水槽の状況、いまの設備管理の体制から、導入できる施設かどうかと、施設側に残る管理の範囲を判定します。井戸の掘削も浄水設備の維持管理も当社の負担です。

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建物の水道設備についてのよくある質問

Q. マンションの水道設備は、誰が点検しますか

A. 受水槽式なら、受水槽の設置者にあたる管理組合や所有者が点検と清掃を手配します。受水槽の有効容量の合計が10m³を超えれば簡易専用水道として年1回の清掃と法定検査が義務で、10m³以下なら自治体の条例・要綱に従います。直結給水のマンションには受水槽がなく、増圧ポンプがあればその点検が要ります。住戸の中の配管の持ち分は管理規約で確かめます。

Q. 病院やマンションは特定建築物に当たりませんが、何を守ればよいですか

A. 受水槽の容量しだいで水道法か自治体の条例の決まりがかかり、建築物衛生法の管理基準は努力義務として残ります。建築物衛生法4条3項は、特定建築物以外でも多数の人が使う建物の維持管理権原者に、同じ基準に従うよう努めることを求めています。受水槽が10m³を超えれば簡易専用水道として清掃と法定検査が義務になります。

Q. 法定検査を受けないと、どうなりますか

A. 簡易専用水道の設置者が検査を受けないと、水道法の罰則で100万円以下の罰金の対象になります。管理の基準に合わないときは、都道府県知事などの指示を受け、従わなければ給水停止を命じられることがあります。罰則と手続きの詳細は簡易専用水道の記事にまとめています。

Q. 特定建築物でもある簡易専用水道は、法定検査を別に受けますか

A. 自治体によっては、建築物衛生法の立入検査か報告書の提出で、簡易専用水道の検査を受けたとみなします。東京都は、建築物衛生法の適用がある簡易専用水道について、同法の立入検査か「飲料水貯水槽等維持管理状況報告書」の提出をもって検査を実施したとみなすとしています。扱いは自治体で違うので、管轄の保健所に確かめます。

Q. 水道メーターから先で水漏れしたら、誰が直しますか

A. 敷地の給水管と建物内の配管は所有者の財産なので、所有者が直します。給水装置の修理は水道局の指定給水装置工事事業者に頼むのが原則です。道路の下の部分の扱いは水道局ごとに違うので、まず所在地の水道局に連絡します。

参考情報

この記事は、法令、国土交通省・厚生労働省・環境省の資料、各自治体の公式ページをもとに書いています。資料は2026年10月20日に確認した時点のものです。

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