応急給水とは|断水したときの給水拠点の種類と探し方、1人1日3Lの目安、給水訓練と施設の備え

応急給水とは|断水したときの給水拠点の種類と探し方、1人1日3Lの目安、給水訓練と施設の備え

応急給水とは、地震などで水道が使えなくなった地域に、水道事業者が飲み水を届けることです。

水を受け取る場所は「応急給水拠点」「給水拠点」「災害時給水ステーション」などと呼ばれ、種類も数も自治体ごとに違います。この記事では、応急給水の方法と拠点の種類、自分の地域の拠点の探し方、1人あたりの量の目安、持っていく容器、給水訓練でやることを、国と水道事業者の公式資料で整理します。後半では、過去の地震で応急給水が足りなくなった理由と、病院・福祉施設・事業所が備えておくことを書きます。

この記事でわかること

  • 応急給水の方法は4つ:給水車で運ぶ、耐震性貯水槽から配る、消火栓などに給水栓を付ける、防災用の井戸からくみ上げる、の4つです。
  • 拠点は浄水場・貯水槽・給水栓・学校など:東京都は都内213か所の災害時給水ステーションを、おおむね半径2kmに1か所の配置で整えています。
  • 最初の3日は1人1日3L:国の指針の設定例は、発災から3日までを1人1日3L、拠点までの距離を概ね1km以内としています。
  • 容器は自分で持っていく:ポリタンクや給水袋、空のペットボトルとリュックサックを用意します。3Lの水は約3kgです。
  • 施設は待つだけでは足りない:避難所などの重要施設につながる水道管路の耐震化率は約39%(2023年度末)で、給水車も数に限りがあります。
目次

応急給水とは|断水した地域に、水道事業者が飲み水を届けること

応急給水は、災害で断水した地域の住民に、水道事業者が飲料水などを届ける取り組みのことです。

日本水道協会が掲載した解説記事(東京都水道局の職員が執筆)は、応急給水を「災害発生により水道が使えなくなった場合でも、住民のみなさまに飲料水等を届けること」と説明しています。市町村や企業団などの水道事業者が、自分の給水区域で行います。大きな災害では、日本水道協会を通じて全国の水道事業者が応援に入ります。

方法は、給水車・貯水槽・消火栓・井戸の4つ

応急給水の方法は、給水車で運ぶ方法と、拠点に置いた設備から配る3つの方法の、合わせて4つに分かれます。

同じ解説記事は、方法を次の4つに分けています。どの方法を使うかは、その地域の設備と被害の状況で水道事業者が決めます。

方法水の出どころ配り方
給水車による運搬給水浄水場・配水池などの給水基地で、車のタンクに水を積む給水車の給水栓や仮設の給水栓から直接配るほか、拠点の仮設水槽や病院の貯水槽へ入れる
耐震性貯水槽水道管とつながり、ふだんは水が入れ替わっている地下の貯水槽災害時は水の出入りを止めて中の水を守り、そこから配る
消火栓など地中の水道管消火栓などに給水栓を付けて配る
防災用井戸小中学校や公園などに整備した井戸の地下水ろ過機と塩素滅菌を通して飲料水として配る

表1 応急給水の4つの方法。日本水道協会が掲載した解説記事「応急給水とは?」(東京都水道局の職員の執筆)から作成

応急給水の4つの経路給水基地浄水場・配水池給水車で運ぶ運搬給水水道管水圧が下がると弁が閉まる耐震性貯水槽中の水を守って配る水道管管が通じている地域消火栓など給水栓を付けて配る地下水学校・公園など防災用井戸ろ過と塩素滅菌拠点で受け取る仮設水槽・病院の貯水槽にも住民は容器を持って拠点へ受け取りに行くどの経路を使うかは、地域の設備と被害の状況で水道事業者が決める

日本水道協会が掲載した解説記事「応急給水とは?」をもとに当社で作成

拠点給水と運搬給水

拠点に住民が水をもらいに行く形を拠点給水、給水車が水を運んで届ける形を運搬給水と呼び分けます。

運搬給水では、給水車から直接配るよりも、拠点に置いた仮設水槽へ入れるほうが給水車の稼働率を上げられる、と同じ解説記事は書いています。給水車の容量や、病院へ先に向かう順番は給水車の記事(容量と来る順番、施設の受水槽への給水)で説明しています。

給水車に水を積む基地は、住民の給水所ではない

給水車に水を補給するための施設は、住民が直接水をもらう場所とは限りません。

東京都水道局の拠点の一覧は、「運搬給水拠点(車両への水の補給施設)」を「個人に対する応急給水を行う施設ではありません」と明記しています。地図に水道施設が載っていても、住民向けの給水拠点かどうかは一覧の区分で確かめてください。

応急給水拠点とは|断水したときに水を受け取りに行く場所

応急給水拠点は、断水したときに住民が容器を持って水を受け取りに行く、水道事業者が決めた場所です。

呼び名は自治体ごとに違い、東京都は「災害時給水ステーション(給水拠点)」、横浜市は「災害時給水所」、さいたま市は「応急給水場所」と呼んでいます。中身は、水を蓄える施設と、水道管から水を取り出す設備に大きく分かれます。

浄水場・配水池は、量の多い拠点

浄水場や配水池は大量の水を蓄えている施設で、その一部が住民向けの拠点や、給水車の補給基地に使われます。

住民向けの拠点か補給基地かは、自治体の一覧の区分で確かめます。横浜市の場合、配水池23か所を災害時給水所にしていて、市民が1週間に必要とする量に当たる約19万立方メートルの飲料水を確保できるとしています。配水池では水道局の職員が仮設の蛇口を設置し、給水車への補給にも使います。

耐震性貯水槽・地下給水タンクは、水道管の途中の貯水槽

耐震性貯水槽は、公園や学校の地下に埋めた貯水槽で、地震で水圧が下がると弁が閉まり、中の飲み水を守る仕組みです。

横浜市の「災害用地下給水タンク」は、配水管の一部として水道水が流れている地下式の貯水槽で、水圧が下がると流入と流出の弁が閉まり、飲料水がたまる構造です。東京都の応急給水槽には1,500立方メートル槽と100立方メートル槽があり、岡山市は公園に100立方メートルの耐震性緊急貯水槽を置いています。ふだんから水が入れ替わっているので、中の水が古くなりにくいのが特徴です。

応急給水栓・緊急給水栓は、水道管から水を取り出す設備

応急給水栓や緊急給水栓は、学校や避難所の近くの水道管に付けておく、災害時に蛇口を取り付けて水を出すための設備です。

横浜市の場合は、緊急給水栓が358か所、耐震給水栓が63か所(2025年度末時点)あります。神戸市は「災害時臨時給水栓」を地域の住民が開ける仕組みにしていて、資材の保管と日ごろの管理も住民が担います。東京都の都市整備局の資料は、避難所の応急給水栓を口径50mmとし、水道管から分かれる部分に止水栓を付けるとしています。水道管の水が通っていることが前提なので、管が壊れた地域では使えません。

学校・避難所と、災害用の井戸

小中学校や公園を拠点にしている自治体があり、地域によっては井戸も拠点に入っています。

岡山市は、主な給水場所を市立小中学校とし、受水槽や応急給水栓がない場所では仮設の給水タンクや給水車を使うとしています。さいたま市は、非常災害用井戸23か所を応急給水場所に入れています。東京都では、避難所などで区市町が給水所を開くこともあります。

拠点の数と種類は、自治体ごとに違う

拠点の数・種類・呼び名は自治体ごとにまったく違うので、全国共通の数や配置はありません。

自治体呼び名拠点の数と内訳拠点までの距離の目安
東京都災害時給水ステーション(給水拠点)都内213か所(浄水場・給水所・応急給水槽など。2025年11月1日現在の一覧)おおむね半径2kmに1か所
横浜市災害時給水所配水池23か所・災害用地下給水タンク134基・緊急給水栓358か所・耐震給水栓63か所地下給水タンクは配水池と合わせ、おおむね半径1km圏内
さいたま市応急給水場所111か所(災害用貯水タンク68・非常災害用井戸23・浄水場と配水場20)記載なし
神戸市災害時給水拠点貯水機能のある拠点62か所と、災害時臨時給水栓記載なし

表2 自治体ごとの応急給水拠点の例。東京都水道局・横浜市水道局・さいたま市水道局・神戸市水道局の公式ページ(2026年11月1日確認)から作成

断水したときどこへ行くか|自分の給水拠点の探し方

自分の給水拠点は、住んでいる市区町村の水道局のページにある拠点の一覧と地図で、ふだんのうちに確かめておきます。

断水してからでは、ページが重くなったり、停電で調べられなかったりします。川崎市上下水道局は「調べておこう、応急給水拠点」というページで、事前に拠点を確かめるよう呼びかけています。

水道局の一覧と地図で、家と職場の近くを確かめる

拠点は、市区町村の水道局(上下水道局)の「応急給水」「災害時給水」のページで、一覧と地図にまとめられています。

東京都・横浜市・さいたま市・川崎市・千葉県企業局などは、区や市ごとの拠点の一覧を出しています。家の近くだけでなく、職場や学校の近くの拠点も見ておくと、昼間に被災したときに困りません。工事などで一時的に使えない拠点を載せている自治体もあり、さいたま市や東京都は使用を止めている拠点の一覧も出しています。

距離の目安は1〜2km

拠点までの距離の目安は、国の指針の設定例が概ね1km以内、東京都の配置がおおむね半径2km以内です。

国の「水道の耐震化計画等策定指針」(2015年6月)は、発災から3日までの拠点までの距離を概ね1km以内としています。横浜市は配水池と地下給水タンクで、おおむね半径1km圏内に1か所の配置です。水を持って歩く道のりなので、地図で道順まで見ておきます。

開く時期と開く人は、拠点で違う

拠点がいつ、誰の手で開くかは、拠点の種類と自治体で違い、全国で決まった日数はありません。

東京都は、浄水場や給水所などの水道施設を夜間・休日でも開設できる体制にしていて、避難所などの給水所は区市町が開設します。横浜市の地下給水タンクは、発災後おおむね3日間、地域の住民が仮設の蛇口を取り付けて給水し、横浜市管工事協同組合が開設を補助します。川崎市は、学校や公園の貯水槽を職員か地域の組織などが開き、協力する自主防災組織に格納庫の鍵を渡しています。開いたかどうかは、東京都の場合、水道局のホームページやアプリ、掲示、広報車などで知らせます。

拠点の目印

拠点には標識やのぼりなどの目印があるので、近くを通るときに場所と目印を見ておきます。

横浜市は地下給水タンクのある場所に標識を設け、給水の準備が整った配水池は「のぼり」で知らせるとしています。神戸市は災害時給水拠点のシンボルマークを決めています。

応急給水の量の目安|発災から3日までは1人1日3L

応急給水で受け取れる量の目安は、国の指針の設定例で、発災から3日までが1人1日3Lです。

東京都も、成人が1日に必要な飲み水の量である3Lを目安にしています。さいたま市も、拠点に蓄えた水の量を1人1日3Lで計算しています。

国の指針の設定例は、日がたつほど量が増える

国の指針は、水道の復旧が進むにつれて、1人あたりの量を増やし、拠点までの距離を縮める段階を例として示しています。

発災からの日数1人1日の量拠点までの距離主な使い道
3日まで3L概ね1km以内命をつなぐ飲み水
7日まで20〜30L概ね250m以内飲み水と洗面など(30Lは水洗トイレを含む)
14日まで被災前の量(約250L)概ね10m以内ほぼふだんの生活

表3 応急給水量の目標設定例。厚生労働省健康局水道課「水道の耐震化計画等策定指針」(2015年6月、国土交通省掲載)の表3から作成。指針はこの表を「一例」としている

指針は、この表を一例とし、水道事業者は極力早く復旧に努めるとしています。内閣官房と国土交通省の「災害時地下水利用ガイドライン」は、自治体の例として、3日間までは3L、10日目までは20L、21日目までは100L、28日目までにほぼ通常の生活、という段階を載せています。どの段階まで進むかは、被害と復旧の速さで変わります。断水がどのくらい続くかの目安は断水はいつまで続くのか(原因別の日数)にまとめています。

3Lは飲む水で、トイレや洗い物の分は入らない

最初の3日の3Lは、命をつなぐための飲み水の量で、トイレや手洗い、洗い物に使う水は入っていません。

指針の注は、20Lを飲料・洗面などの量とし、水洗トイレを1日1〜2回見込む場合を30Lとしています。最初の数日は、トイレや洗い物の水を応急給水だけでまかなうのは難しいと考え、別に用意しておきます。

家庭と職場の備蓄は3日分、できれば1週間

拠点が開くまでのつなぎとして、飲み水を1人1日3Lで最低3日分、できれば1週間分たくわえておきます。

首相官邸の防災のページは、飲料水を3日分(1人1日3Lが目安)とし、大規模災害では1週間分の備蓄が望ましいとしています。職場では、従業員と来客の人数で同じ計算をします。施設の水の量の見積もり方はBCPの策定手順と水の項目で説明しています。

給水所に持っていくもの|容器と運び方

応急給水では、水を入れる清潔な容器を、受け取る人が自分で持っていきます。

東京都は「水を入れる清潔な容器」、神戸市はペットボトルやポリ容器、川崎市はポリタンクやペットボトル、岡山市は飲料水用のポリタンク、ペットボトルの空容器、ポリバケツなどを挙げています。

ポリタンク・給水袋・ペットボトル

容器は、ふたが閉まり、自分で運べる重さに収まる大きさのものを選びます。

水は1Lでおよそ1kgあるので、容器の大きさがそのまま運ぶ重さになります。家族の人数分を一度に運ぶより、運べる量に分けるほうが安全です。給水袋や給水タンクの容量の例は給水車の記事で整理しています。

背負える容器とリュックサック

水は重いので、両手が空く背負える容器や、ペットボトルを入れたリュックサックが運びやすい方法です。

東京都水道局は、3L(3kg)の水は重いので、背負えるタイプの給水袋や、空のペットボトルとリュックサックなどを用意するよう案内しています。家族の分をまとめて運ぶなら、何往復するかも考えておきます。

拠点の水がなくなることもある

拠点に蓄えた水や仮設タンクの水は限りがあり、配っている途中でなくなることもあります。

岡山市は、小中学校の受水槽や仮設タンクを使った応急給水で水が出なくなったときは、タンクの水がなくなったと考えられるので水道局へ連絡するよう、注意事項で案内しています。災害救護所と総合病院から緊急の要請があれば優先して給水するともしているので、拠点の水はいつも住民だけに回るわけではありません。

給水訓練とは|拠点を開く練習と、水を運ぶ体験

給水訓練は、災害時に拠点を開いて水を配る手順を、水道局と地域の住民、病院などが前もって試しておく訓練です。

地域の住民が拠点を開く仕組みの自治体では、訓練をしていないと、いざというときに鍵や器具の場所が分かりません。

地域の訓練でやること

地域の給水訓練では、拠点の器具を組み立てて水を出し、給水袋で水を運ぶ重さを体験します。

川崎市上下水道局は、次の内容の応急給水訓練を、自主防災組織・避難所運営会議・町内会・自治会などの地域の防災訓練に合わせて実施しています。費用はかからず、申し込みは団体の代表から水道局へ連絡します。

主体訓練の中身出典
川崎市(地域の訓練)模擬給水と給水袋の重さの体験、器具の取り出しと組み立て、水質の確認、最寄りの拠点の地図の確認、災害のパネル展示川崎市上下水道局「応急給水訓練の実施のお願い」
神戸市(地域が開く給水栓)普段からの給水訓練を通じて、地域が主導で臨時給水栓を開設する神戸市水道局「災害時の応急給水」
京都市(病院・事業者との合同訓練)浄水場での補給、応急給水前の簡易水質検査、病院への進入方法の確認京都市上下水道局「上下水道局における防災の取組」

表4 給水訓練の中身の例。各市の公式ページ(2026年11月1日確認)から作成

地域の住民が拠点を開く仕組み

拠点の中には、水道局の職員を待たずに、地域の住民が開けるようにしてあるものがあります。

神戸市は、貯水機能のある拠点の一部で防災福祉コミュニティなどに鍵を渡し、地域が主導で開設できるようにしています。川崎市は、貯水槽の開設に協力する自主防災組織などに格納庫の鍵を渡し、開設の体験は貯水槽の近くの組織向けに行っています。横浜市の地下給水タンクも、地域の住民が仮設の蛇口を付ける仕組みです。

病院・事業者と水道局の合同訓練

病院への給水は、給水車の進入路や受水槽の位置で手間が変わるので、病院と水道局が一緒に訓練する例があります。

京都市上下水道局は、病院・民間事業者・水道局の3者の合同訓練を2022年度から行っていて、2024年11月13日の京都医療センターで5つ目の病院になりました。大量の水が要る病院に備え、大型のタンクローリーを持つ民間事業者3社と協定を結んでいます。2024年10月の日本水道協会関西地方支部の訓練には、2府4県の27事業体、約100名が参加しました。

応急給水が足りなくなる理由|過去の地震と水道の耐震化

大きな地震では断水する範囲が広く、給水車も拠点の水も足りなくなるので、応急給水だけで施設の水をまかなうのは難しくなります。

2026年の熊本の地震では、最大約10万8千戸が断水

2026年7月28日の熊本の地震(令和8年熊本地震)では、4県15自治体で最大約108,100戸が断水しました。

内閣府の8月9日の被害状況は、避難所・医療機関に加え、福祉施設などの重要施設の給水ニーズを把握し、優先度を踏まえて応急給水をしていると報告しています。熊本県内の透析施設94か所のうち、最大13か所が透析を行えないと報告し、給水の支援で4か所が透析を再開しました。

能登半島地震では、給水車が延べ6,816台

2024年1月の能登半島地震では、石川県で最大約11万戸が断水し、全国の水道事業者が給水車で応援しました。

日本水道協会の資料によると、応援の給水車は5月末までに延べ6,816台で、過去最多の規模でした。2026年2月には、静岡県伊東市で寒波により宅内の給水管が壊れて最大4,000世帯が断水し、給水車3台と簡易給水槽で対応した例もあります(静岡市の報道資料)。地震でなくても、応急給水が必要になる断水は起きます。

配水池の耐震化は約67%、重要施設につながる管路は約39%

国土交通省の緊急点検では、2023年度末時点の配水池の耐震化率が約67%、浄水施設が約43%にとどまっています。

2024年11月1日に公表されたこの点検で、避難所などの重要施設に接続する管路等の耐震化率は、水道管路が約39%でした。給水区域と下水道の処理区域の両方に入る重要施設のうち、つながる水道と下水道の管路等の両方が耐震化されている施設の割合は約15%です。拠点や病院につながる管が壊れると、拠点に水を送れなくなり、給水車で運ぶしかなくなります。

国は上下水道耐震化計画で、重要施設から守る

国土交通省は2024年9月、全国の水道事業者などに、上下水道耐震化計画を2025年1月末までに作るよう求めました。

2024年9月24日の通知の相手は、全ての水道事業者等と下水道管理者です。計画の期間は原則2025年度から5年程度で、浄水場や配水池などの「急所施設」と、避難所などの重要施設に接続する管路の耐震化を進めます。重要施設の例として、災害拠点病院、避難所、警察・消防・県や市の庁舎などの防災拠点が挙がっています。耐震化には年数がかかるので、それまでの間は応急給水と施設の自前の備えでつなぐことになります。

断水したとき、この施設が自前の水で動けるか

当社は、施設の水の使用量と受水槽、敷地の条件から、深井戸の地下水を施設の水源に足せるかと、断水したときに受水槽へ水を入れ続けられるかを判定します。導入できない施設には、その旨をはっきりお伝えします。

導入できるか診断する

ご相談の段階で費用は発生しません。

病院・福祉施設・事業所の応急給水への備え

病院・福祉施設・事業所は、給水車を受け入れる準備と、給水を待たずに使える水源の両方を用意しておきます。

断水したときの動き(住民と施設)住民備蓄でつなぐ1人1日3L開いたか確かめる水道局の発信容器を持って行く給水袋・リュック施設備蓄と受水槽でつなぐ残りの量を確かめる給水車を受ける受水槽の位置・進入路自前の水源井戸・浄水・電源・水質確認給水車が来るまでの日数は決まっていない。井戸・浄水設備・非常用電源・水質の確認がそろえば、給水を待たずに受水槽へ水を入れられる

図2 断水したときの動き(当社の整理)。水道の耐震化計画等策定指針、東京都水道局の案内、大都市水道局大規模災害対策検討会の提言をもとに当社で作成

重要施設でも、給水を待つ前提にしない

病院や福祉施設は応急給水で優先されますが、給水車が来るまでの日数は決まっておらず、量も足りないことがあります。

国の指針は、病院・避難所・福祉施設・防災拠点などを重要給水施設に選び、配水する管路が直るまで、運搬給水や耐震性貯水槽などで給水するとしています。ただ、能登や熊本のように断水が広い範囲に及ぶと、給水車は多くの施設を回らなければなりません。病院の1日の水の使用量は多く、給水車1台で運べる量には限りがあります。

受水槽を給水の受け口にする

施設で給水車の水を受けるには、受水槽まで水を入れる道筋を前もって用意し、水道局に伝えておきます。

備えること中身根拠
受水槽の位置と容量を伝える災害時に最低限必要な1日の使用水量、受水槽の位置と容量、給水車の進入ルート、連絡先を水道局の調査に答えておく大都市水道局大規模災害対策検討会の提言
加圧式の給水車で入れてもらう加圧式は医療機関や入所型の福祉施設の受水槽への補水が基本同検討会の資料
ホースと給水車専用の入水管受水槽が給水車の停車位置から遠い病院には、ホースの備えと給水車専用の入水管の設置を提案同検討会の提言
自前の水源と電源を持つ医療機関に受水槽の容量の確保、井戸の水源と自家発電設備の設置を呼びかけている同検討会の提言
給水訓練に加わる進入路や受水槽への入れ方を水道局と確かめる京都市上下水道局の合同訓練

表5 施設が応急給水を受けるための備え(当社の整理)。大都市水道局大規模災害対策検討会の提言と資料、京都市上下水道局の公式ページをもとに作成

避難所の応急給水栓

避難所になる建物では、敷地の水道管に応急給水栓を付けて、拠点として水を出せるようにしている例があります。

東京都の都市整備局の資料は、避難所の応急給水栓について、口径50mmで給水管から分岐し、止水栓を設けるとし、避難所では分岐からメーターまで耐震性のある材料を勧めています。施設が地域の避難所や拠点を兼ねるかどうかは、市区町村の防災の担当課に確かめてください。

自前の水源としての井戸と、飲用の条件

施設の井戸は、給水車を待たずに使える水源になりますが、そのまま飲めるとは限らず、飲み水にするには条件があります。

内閣官房と国土交通省の「災害時地下水利用ガイドライン」(2025年3月、同年12月改訂)は、民間の井戸を災害時の代替水源として使う取り組みを進めるものです。使い道は基本的に生活用水で、水質などの条件がそろえば飲用も差し支えないとしています。井戸があっても、停電でポンプが止まる、地震で濁る、といった弱点があります。地域に井戸を開く登録や協定は防災井戸の記事(災害時協力井戸の登録と協定)、井戸の水を飲み水にする条件は地下水を飲料水にできる条件で説明しています。

当社の地下水飲料化でできること

当社(株式会社豊)は、施設の深井戸の地下水を浄水して受水槽へ送る地下水飲料化システムの代理店です。

このシステムは上場企業が事業として運営していて、2025年4月現在、全国66地点で稼働しています。深さ約100mの深井戸からくみ上げ、除鉄・除マンガン、活性炭、膜ろ過、軟水器を井戸の水質に合わせて組み合わせて浄水し、水質の基準を満たした水だけを受水槽へ入れます。水質と設備の稼働状況は遠方監視装置で24時間監視し、水道と地下水の二元給水にします。断水や停電のときにも使うには、ポンプと浄水設備の非常用電源と、水質の確認が要ります。当社は代理店として、導入のご相談から運用中の窓口までを担当します。仕組みは地下水飲料化システムの仕組み(浄水設備と受水槽への給水)、地下水を使う考え方は地下水の活用にまとめています。

給水車を待たずに、受水槽へ水を入れ続けられるか

当社は、施設の水道の使用量と受水槽の状況から、深井戸の地下水を浄水して施設の水源に加えられるかを判定します。当てはまらない施設には、その旨をはっきりお伝えします。

導入できるか診断する

ご相談の段階で費用は発生しません。

応急給水についてのよくある質問

応急給水は、拠点が開いたことを水道局の発信で確かめ、容器を持って受け取りに行くのが基本です。

Q. 給水拠点が開いたかどうかは、どうすれば分かりますか

A. 水道局の発信で確かめます。東京都水道局は、開設の状況を水道局のホームページや東京都水道局アプリ、各庁舎の掲示物、拡声器付きの広報車、ビラで知らせ、ラジオや区市町の広報も確かめるよう案内しています。停電に備えて、ラジオと、拠点の場所を書いた紙の地図を用意しておくと安心です。

Q. 応急給水拠点は、断水してすぐに開きますか

A. 拠点と被害の状況で違います。東京都は浄水場や給水所を夜間・休日でも開設できる体制にしていますが、避難所などの給水所は区市町が開きます。横浜市の地下給水タンクは、地域の住民が仮設の蛇口を取り付けて給水する仕組みです。開くまでの間は、家庭や職場の備蓄でつなぎます。

Q. 応急給水拠点には、どのくらいの水が蓄えられていますか

A. 自治体によって違います。東京都水道局は、水道施設や公園の下の貯水施設全体で、1人1日3Lで計算すると都民約1,400万人の約3週間分以上の飲料水を確保しているとしています。横浜市は、配水池で市民が1週間に必要とする量に当たる約19万立方メートルを確保できるとしています。

Q. 会社や施設の井戸を、応急給水に使えますか

A. 使える場合がありますが、条件があります。国の災害時地下水利用ガイドラインは、民間の井戸を災害時の代替水源とし、使い道は基本的に生活用水で、水質などの条件がそろえば飲用も差し支えないとしています。地域に開くなら、自治体の災害用井戸の登録や協定の制度を確かめてください。

Q. 給水訓練には、誰でも参加できますか

A. 自治体によって形が違います。川崎市は、自主防災組織や町内会・自治会などの地域の防災訓練に合わせて応急給水訓練を行い、費用はかかりません。申し込みは団体の代表から水道局へ連絡します。個人で参加したいときは、住んでいる地域の自主防災組織や水道局の案内を確かめてください。

参考情報

国と自治体の資料は2026年11月1日に確認しました(国の指針、ガイドライン、過去の地震の資料、首相官邸、大都市水道局の提言は、当社の既存記事のために2026年10月に確認したもの)。

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