専用水道とは|対象の判定、確認申請と届出、水質検査・管理の義務まで

専用水道とは|対象の判定、確認申請と届出、水質検査・管理の義務まで

専用水道とは、寄宿舎や病院などの自家用の水道のうち、100人を超える居住者に水を送るか、生活用の水が1日20m³を超えるものです。

専用水道に当たると、設置者は工事の前に都道府県知事や市長の確認を受け、給水を始めたあとも水道事業者とほぼ同じ水質検査と管理を続けることになります。この記事では、自分の施設が当たるかの判定、工事前の確認から給水開始までの手続き、水質検査の頻度と水質検査計画、水道技術管理者・健康診断などの管理の義務、怠ったときの指示と罰則までを、法令と国・自治体の資料をもとに整理します。水道法の区分の全体は水道法の記事で扱っています。

この記事でわかること

  • 対象は100人超か、生活用水が1日20m³超の自家用の水道:水道法3条6項と施行令1条で決まります。水道水だけを使う施設は、導管1,500m・水槽100m³を超える規模でなければ対象外です。
  • 工事の前に「確認」、給水の前に「届出と検査」:設置者は着工前に設計の確認を受け、給水を始める前に水質基準の全項目と施設の検査を行って届け出ます。
  • 水質検査は毎日・月1回・3か月に1回:色・濁り・残留塩素は毎日、一般細菌・大腸菌など9項目は月1回です。毎年度の水質検査計画も要ります。
  • 2026年4月に2つ変わった:水質基準にPFOS・PFOAが入って52項目になり、従事者の健康診断は6か月ごとから1年ごとになりました。
  • 水道技術管理者を1人置く:置かないと1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。業務は第三者委託で外部に任せることもできます。
目次

専用水道とは|100人超か、生活用水が1日20m³を超える自家用の水道

専用水道は、水道事業以外の自家用の水道で、居住者100人超か生活用水1日20m³超のものを指します。

共同通信の用語解説は、専用水道を「特定の人が使う目的でつくられた自家用の水道」とし、社宅や学校、病院、自衛隊施設などを例に挙げています。市町村の水道事業が不特定の人に水を送るのに対し、専用水道は施設の設置者が自分の施設のために持つ水道で、管理の責任も設置者が負います。

水道法の定義

水道法3条6項は、寄宿舎・社宅・療養所などの自家用の水道で、次のどちらかに当たるものを専用水道としています。

1つは「百人を超える者にその居住に必要な水を供給するもの」、もう1つは1日最大給水量が政令の基準を超えるものです。その基準は水道法施行令1条2項が20m³と定めています。どちらか一方に当たれば専用水道です。

「生活用」に数える水

20m³の判定に数えるのは、飲む・炊事・入浴など人の生活に使う水だけです。

施行令1条2項は数える水を「人の飲用その他の国土交通省令で定める目的」に使う水量とし、水道法施行規則1条がその目的を「人の飲用、炊事用、浴用その他人の生活の用」と定めています。工場の製造用や冷却用の水は、同じ井戸からくんでいても20m³には数えません。

全国に8,059か所

国土交通省の集計では、専用水道は2025年3月31日現在で全国に8,059か所あります。

給水人口は約36万人(359,155人)で、同じ時点の給水人口の合計1億2,150万人の約0.3%です。数は2017年度末の8,239か所をピークに少しずつ減っています。都道府県別では千葉県が937か所で最も多く、北海道521か所、神奈川県478か所と続きます。給水人口は居住者の数で、病院の外来者や工場の従業員は入っていません。

専用水道に当たるかの判定|水源・人数・水量・規模の順に見る

判定は、井戸水などの自前の水源を使うかを最初に見て、次に人数と水量、最後に施設の規模を見ます。

下の図は、水道法3条6項・施行令1条の条文を判定の順に並べたものです。どこかで迷ったら、施設の所在地の保健所か市の担当課に確かめます。

専用水道に当たるかの判定井戸水など自前の水源を使うかはい居住者100人超か、生活用水が1日20m³超かはい専用水道いいえ飲用井戸など(水道法の外)いいえ(水道水だけ)導管1,500m超か、水槽100m³超かはい居住者100人超か、生活用水が1日20m³超かはい専用水道いいえいいえ受水槽の有効容量の合計が10m³超かはい簡易専用水道10m³以下なら小規模貯水槽水道。導管は口径25mm以上のものの全長。生活用水は飲用・炊事・入浴などの量

水道法3条6項・7項、水道法施行令1条・2条、水道法施行規則1条をもとに作成した模式図

井戸水を使う施設

井戸水を少しでも水源に使う施設は、居住者100人超か生活用水20m³超のどちらかで専用水道になります。

水道法3条6項のただし書は、規模の小さいものを専用水道から外していますが、その条件は「他の水道から供給を受ける水のみを水源」とすることです。井戸水だけの施設も、井戸水と水道水を受水槽で混ぜる施設も、この「のみ」に当たらないため、規模に関係なく人数と水量で判定します。千葉県の「専用水道のてびき」も、「自己水源(井戸水)又は浄水混合」の施設を同じように扱っています。

水道水だけでも規模が大きい施設

水道水だけを使う施設でも、配管や水槽が大きく、100人超か20m³超なら専用水道です。

施行令1条1項は、ただし書で外す規模を「口径二十五ミリメートル以上の導管の全長 千五百メートル」「水槽の有効容量の合計 百立方メートル」と定めています。どちらも以下なら対象外で、どちらかを超えれば専用水道です。大きな団地や工場の敷地内に長い配管を持つ施設が当たります。千葉県は、専用水道から水を受ける水道も専用水道に当たるとしています。

居住者のいない病院・工場

外来者や通勤の従業員は「居住」に当たらないため、居住者が100人に届かない病院や工場は生活用水の量で判定します。

病院は入院患者、工場は社員寮の居住者を数えます。居住者が100人に届かなくても、食堂・浴室・手洗いなどで生活用水が1日20m³を超えれば専用水道です。人数の目安を独自に示した資料もネット上にありますが、法令にそうした数字はありません。迷う施設は、生活用と製造用の水量を分けて見積もり、保健所に確かめます。

簡易専用水道・飲用井戸との違い

水道水だけを受水槽にためる施設は簡易専用水道、専用水道の規模に届かない井戸は水道法の外です。

区分水源規模の基準主な義務
専用水道井戸水など自前の水源を含む、または水道水だけで規模が大きいもの居住者100人超、または生活用水1日20m³超工事前の確認、給水開始前の検査、定期の水質検査、水道技術管理者など
簡易専用水道水道水だけ受水槽の有効容量の合計10m³超年1回の清掃と、登録検査機関による年1回の検査
小規模貯水槽水道水道水だけ受水槽10m³以下水道事業者の供給規程・自治体の条例による
飲用井戸など井戸水専用水道の規模に届かないもの国の要領と自治体の条例による

水道法3条6項・7項、施行令1条・2条、千葉県「専用水道のてびき」をもとに作成

簡易専用水道の判定と年1回の検査は簡易専用水道の記事、井戸水を飲み水にするときの条件は地下水の記事で扱っています。

専用水道の届出と手続き|工事前の確認から給水開始まで

専用水道の手続きは、着工前の設計の確認、給水開始前の届出と検査、開始後の変更などの届出の3段です。

下の図は、法律で決まっている手続きと、自治体が運用で求めている期限を分けて並べたものです。

工事前の確認から給水開始までの流れ原水の水質検査井戸は掘削のあと確認申請自治体は着工30日前まで確認の通知受理から30日以内(法33条)布設工事確認の通知を受けてから給水開始前の検査全項目+残留塩素・施設検査給水開始の届出法13条(34条で準用)給水開始開始後の義務水質検査・届出・管理法律の期限は「受理から30日以内に通知」だけ。着工30日前の申請や、届出の日数は自治体の運用申請先は、市と特別区の区域は市長・区長、町村の区域は都道府県(保健所)

水道法13条・32条・33条・48条の2、千葉県「専用水道のてびき」、相模原市・名古屋市の案内をもとに作成

工事の前に確認を受ける

専用水道の工事を始める前に、設計が施設基準に合うことについて都道府県知事の確認を受けます。

水道法32条は、専用水道の布設工事をしようとする者に、着工前の確認を義務づけています。知事は申請を受理してから30日以内に、適合する・しない・判断できないのいずれかを書面で通知します(水道法33条6項)。この30日は役所が通知するまでの期限です。千葉県・相模原市・名古屋市は、確認の通知を着工前に受け取れるよう、着工の30日前までに申請するよう求めています。

申請書と工事設計書

申請書には工事設計書と、給水人数・給水区域・施設の図面などの書類を添えます。

書類主な中身根拠
申請書申請者の住所・氏名(法人は名称と代表者)、水道事務所の所在地水道法33条2項
工事設計書1日最大・平均給水量、水源の種別と取水地点、水源の水量と水質試験の結果、施設の概要・位置・規模・構造、浄水方法、着工と完了の予定日水道法33条4項
添付書類給水を受ける人数、給水区域の図面、施設の位置の地図、水源と浄水場の周辺の地図、主要な施設の構造図、導管の配置図施行規則53条
手数料群馬県は無料、堺市・高知市は「なし」各自治体の案内

水道法33条、水道法施行規則53条、群馬県・堺市・高知市の案内をもとに作成。手数料は自治体ごとに確かめる

水質試験の結果は、水質が最も悪くなる時期のものを出します(施行規則3条を54条で準用)。井戸水を使う施設は、掘削のあとに原水の水質検査を済ませてから申請することになります。

確認が要る工事

確認が要るのは新設のほか、給水量・水源・浄水方法の変更や、浄水池・消毒設備などの増設・大きな改造です。

水道法3条10項と施行令3条は、確認の対象を「水道施設の新設」と、1日最大給水量・水源の種別・取水地点・浄水方法の変更に係る工事、沈でん池・ろ過池・浄水池・消毒設備・配水池の新設・増設・大規模の改造としています。井戸を1本足して取水地点が変わる工事や、ろ過の方式を変える工事も対象です。井戸を掘るときに別にかかる届出は井戸工事の記事で扱っています。

給水開始前の届出と検査

工事が終わったら、給水を始める前に知事へ届け出て、水質検査と施設検査を行います。

水道法13条(34条で準用)が求める水質検査は、水質基準の全項目と残留塩素で、施設検査は浄水・消毒の能力、流量、圧力、耐力、汚染、漏水を見ます。検査の記録は5年間保存します。千葉県は、配管の末端など水が滞りやすい蛇口で採水するよう求めています。館林市のように、届出のあと市が立入検査をしてから使用開始とする自治体もあります。

給水を始めた後の届出

申請書の記載事項が変わったときは速やかに届け出ます。承継・休止・廃止の届出は自治体の要領や細則で決まっています。

水道法33条3項は、申請書の記載事項が変わったときの届出を求めています。水道技術管理者の変更や業務の委託も届出の対象です。名古屋市は水道技術管理者の設置と廃止の届出を10日以内、千葉県は設置者が代わったときの承継届や、工事を伴わずに居住者や水量が増えて専用水道になったときの届出を求めています。水道法に廃止の届出の条文は見当たらず、廃止届は自治体ごとの様式です。

申請先は市なら市長

申請先は、町村の区域は都道府県(保健所)、市と特別区の区域は市長・区長です。

水道法48条の2は、市と特別区の区域では、確認や給水開始前の届出、改善の指示、立入検査の「都道府県知事」を「市長」「区長」と読み替えています。保健所を持たない市も含まれ、館林市は市の地球環境課が窓口です。審査の日数は、群馬県と館林市が30日、松山市が20日を標準処理期間としています。

この施設の井戸水は、専用水道として使えるか

当社は、施設の水の使用量と敷地の条件から、深井戸の地下水を飲み水として使えるかと、専用水道の手続きにどれくらいかかるかを判定します。確認申請などの手続きは当社が代行し、井戸の掘削と原水の水質検査も当社の負担で行います。ご相談の段階で費用は発生しません。

導入できるか診断する

ご相談の段階で費用は発生しません。

専用水道の水質検査|毎日・月1回・3か月に1回

専用水道の設置者は、水道法20条と施行規則15条により、毎日・毎月・3か月ごとの定期の水質検査と臨時の検査を行います。

年1回の「法定検査」は簡易専用水道の制度で、専用水道は設置者が自ら水質検査を行います。

毎日の検査

色・濁り・残留塩素の3つは、施行規則15条により、1日1回以上検査して記録を残します。

施行規則15条1項1号は「一日一回以上行う色及び濁り並びに消毒の残留効果に関する検査」を求めています。大阪府は、毎日の検査は異常があったときだけ報告すればよいとしています。残留塩素の測り方は残留塩素の記事で扱っています。

定期の検査と減らし方

月1回の9項目は減らせず、3か月に1回の項目は条件を満たせば年1回や3年に1回に減らせます。

頻度項目減らせる条件
1日1回以上色、濁り、残留塩素減らせない
おおむね月1回以上一般細菌、大腸菌、塩化物イオン、有機物(TOC)、pH、味、臭気、色度、濁度塩化物イオン・TOC・pH・味・臭気・色度・濁度は、連続計測と記録があれば3か月に1回
おおむね3か月に1回以上上の2行以外の基準項目(PFOS・PFOAなど一部は別の定め)原水の水質が大きく変わるおそれが少なく、過去3年に水源・取水地点・浄水方法を変えていない場合、過去3年の結果がすべて基準値の1/5以下なら年1回、1/10以下なら3年に1回
省略一部の項目過去の結果が基準値の1/2を超えたことがなく、原水や周辺の地下水の状況から明らかに必要がない場合

水道法施行規則15条1項をもとに作成。項目の分け方は水質基準に関する省令の表の項番号による

大阪府は、検査を省略した項目も、おおむね3年に1回は検査して変化がないことを確かめるよう求めています。

原水の検査

井戸水などの原水も、水質が最も悪くなる時期に年1回以上、ほぼ全項目を検査するよう自治体が求めています。

相模原市・千葉県・大阪府は、地下水を水源とする専用水道に、消毒副生成物などを除く全項目の原水検査を年1回求めています。法令の条文ではなく、自治体の手引きや通知による求めです。被圧地下水を使う施設について、千葉県の手引きは3年に1回、井戸の内部を撮影してケーシングやストレーナーの状態を点検するよう求めています。

水質検査計画

毎事業年度が始まる前に、検査の項目・場所・回数と理由を書いた水質検査計画を作ります。

施行規則15条6項は水道事業者に水質検査計画を求め、施行規則54条がこれを専用水道に準用しています。計画には、検査する項目と採水の場所・回数・理由、省略する項目とその理由、臨時の検査、委託の内容などを書きます。大阪府と相模原市は、年度が始まる前に計画を提出するよう求めています。

PFOS・PFOAの検査

2026年4月からPFOS・PFOAが水質基準に入り、専用水道の設置者にも検査と基準を守る義務がかかりました。

施行規則は簡易水道事業についてPFOS・PFOAの検査をおおむね3か月に1回とし、結果によって6か月・1年・3年に1回まで減らせるとしています。大阪府と柏市は、専用水道にもこの頻度を求めています。国土交通省と環境省の2025年12月の資料では、専用水道の設置者8,056のうち、2020年4月から2025年8月末までにPFOS・PFOAの検査実績があったのは4,353でした。8,056はこの調査の数で、箇所数の統計(8,059)とは集計の時点が違います。

検査の費用の例

大阪府の保健所の料金では、水質基準の全52項目が231,200円、平常12項目が16,900円です。

同じ料金表で、PFOS・PFOAは1検体40,400円です。登録水質検査機関の料金は機関ごとに違うため、見積もりで確かめます。検査の項目の中身は水質検査の記事で扱っています。

専用水道の基準|水質基準52項目と施設基準

専用水道の水は水道水と同じ52項目の水質基準を満たし、施設は水道法5条の施設基準に合わせます。

水質基準

水質基準は、2026年4月1日にPFOS・PFOAが加わって52項目になりました。

水質基準に関する省令の改正(令和7年環境省令第19号)で、表の20番目に「PFOS及びPFOA」が入り、基準値は合計で0.00005mg/L(50ng/L)以下です。水質基準は水道事業の水だけでなく、専用水道を含む「水道により供給される水」すべてにかかります。

施設基準とクリプトスポリジウム対策

施設基準は水道法5条が定め、確認の審査でも、給水開始前の施設検査でも、この基準に合うかが見られます。

井戸水を使う施設では、国のクリプトスポリジウム等対策指針が、原水の状態でリスクを4段階に分けています。地表水が混じらない被圧地下水だけを使い、指標菌が出たことのない施設はレベル1で、国の指針は年1回の原水検査と3年に1回の井戸内の撮影などの点検を示しています。地表水以外の水(地下水など)を原水とし、指標菌が出たことがある施設はレベル3で、指針は濁度0.1度以下に保つろ過か紫外線処理を示しています。環境省の資料では、2024年3月末時点で、汚染のおそれがあるのに対策を検討中の専用水道が237施設ありました。

残留塩素0.1mg/L

蛇口の水の遊離残留塩素が0.1mg/L以上になるよう、設置者が塩素消毒を続けます。

施行規則17条は、給水栓の水の遊離残留塩素を0.1mg/L(結合残留塩素は0.4mg/L)以上と定め、病原生物に汚染されるおそれがある場合は0.2mg/L(同1.5mg/L)以上としています。浄水場やポンプ室を清潔にし、鍵や柵で人が立ち入れないようにすることも同じ条文の義務です。

専用水道の管理|水道技術管理者・健康診断・衛生上の措置

専用水道の設置者は、水道技術管理者を置き、従事者の健康診断、衛生上の措置、施設の維持修繕を続けます。

水道技術管理者

水道技術管理者は1人置き、設置者本人がなることもできます。資格は学歴と実務年数などで決まります。

水道法19条1項は「水道技術管理者一人を置かなければならない」とし、ただし書で設置者が自らなることも認めています。職務は、施設基準への適合の検査、給水開始前の検査、水質検査、健康診断、衛生上の措置、給水の緊急停止などの事務と、それに従事する職員の監督です。

区分必要な経験根拠
大学の土木工学科などを卒業実務3年(1日最大給水量1万m³以下の専用水道は1年6か月)施行令7条
高校の土木科などを卒業実務7年(同3年6か月)施行令7条
学歴を問わない実務10年(同5年)施行令7条
登録講習の修了講習の課程を修了施行規則14条
1,000m³以下・消毒以外の浄水が不要・自然流下だけの専用水道資格要件はかからない(置くことは必要)水道法34条2項

水道法19条・34条、水道法施行令7条、水道法施行規則14条をもとに作成

日本水道協会の資格取得講習会は、2026年度で学科と実務研修を合わせて受講料260,000円、実務研修は15日間です。

健康診断は1年ごと

浄水場や配水池で働く人と構内に住む人について、おおむね1年ごとに健康診断を行います。

施行規則16条は、2026年4月1日の改正(令和8年環境省令第7号)で、定期の健康診断を「おおむね六箇月ごと」から「おおむね一年ごと」に改めました。調べるのは、赤痢菌・腸チフス菌など、病原体がし尿に出る感染症です。記録の保存は1年ですが、環境省は次の健康診断の結果が出るまで記録を捨てないよう求めています。

衛生上の措置と緊急停止

水が人の健康を害するおそれがあると知ったら、直ちに給水を止め、利用者に知らせます。

水道法23条の給水の緊急停止は、34条で専用水道にも準用されます。相模原市は「健康を害するおそれ」を、水質基準に合わないだけでなく、飲めば直ちに生命や身体に危険が生じるおそれがある場合と説明しています。水道法22条の2の維持修繕も準用され、コンクリートの構造物などはおおむね5年に1回以上点検します。受水槽や高置水槽について、千葉県は年1回以上の清掃を求めています。

業務の委託

水道の管理の技術上の業務は、水道法24条の3により外部に委託でき、委託したら知事へ届け出ます。

相模原市によると、私法上の委託では設置者が水道法上の責任を負い、受託者は設置者の指示で業務を行います。第三者委託では、受託者が契約の範囲で設置者に代わって水道法上の責任を負い、届出が要ります。水質検査だけを登録水質検査機関に頼むのは水道法20条3項の委託で、別の扱いです。

記録の保存

水道法13条2項・20条2項で水質検査などの記録は5年、21条2項で健康診断の記録は1年保存します。

水質検査を委託した場合の契約書も、契約の終了から5年保存します(施行規則15条8項)。立入検査では帳簿書類も見られるため、毎日の検査の記録も含めて、すぐ出せる形にしておきます。

義務を怠ったとき|改善指示・給水停止命令と罰則

義務を怠ると、立入検査を経て改善の指示や給水停止命令を受け、違反の内容によっては罰則があります。

行政の立入検査と指示

知事や市長は、専用水道の管理について報告を求め、職員が施設や帳簿を検査できます。

水道法39条2項にもとづく立入検査で、施設が施設基準に合わず、緊急に必要があると認められると、期間を決めた改善の指示を受けます(水道法36条1項)。水道技術管理者が職務を怠り続けると変更の勧告、指示や勧告に従わず給水を続けることが利用者の利益を損なうと認められると給水停止命令です(同36条2項・37条)。大阪市は、立入検査、指示書、市長名の改善指示の順に進めると定めています。

罰則

罰則は、給水の緊急停止の違反が最も重く、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。

違反罰則条文
健康を害するおそれを知っても給水を止めない3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金水道法52条
水道技術管理者を置かない、給水停止命令に従わない1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金水道法53条
確認を受けずに着工、給水開始前の検査・定期の水質検査・健康診断・衛生上の措置をしない100万円以下の罰金水道法54条
委託の届出をしない、報告をしない、立入検査を拒む30万円以下の罰金水道法55条

水道法52条〜56条をもとに作成。法人の業務での違反は、行為者のほかに法人も罰金(56条)

実際に起きた事故

国の資料には、専用水道で配管の誤接続や消毒の不備による事故が載っています。

2021年12月の国の事務連絡によると、地下水を水源とする病院の専用水道で、逆止弁を介してつないでいた空調用水の配管から汚染水が上水の系統に混じり、健康被害が出ました。環境省の資料には、宿泊施設の専用水道で残留塩素が0.05mg/Lまで下がって大腸菌が出た例や、深井戸を水源とする病院の専用水道で塩素の注入設備が故障し、蛇口で残留塩素が検出されなくなった例があります。国土交通省の調査では、水質汚染事故の被害を受けた専用水道は2019〜2023年度で年5〜14か所でした。PFOS・PFOAでは、上の2025年12月の資料で、検査実績のある専用水道のうち暫定目標値を超えたのが59あり、そのうち35が上水道への切替えや井戸の取水停止などで対策を終えていました。

井戸水を導入する施設の専用水道|誰が何を担うか

井戸水を使う施設が専用水道になると、設置者は施設で、手続きや管理の実務は外部に任せられます。

設置者は施設、手続きは委託できる

確認を受け、届出をする設置者は施設を持つ会社や法人で、書類の作成や検査は専門の会社に任せられます。

申請書の名義と、水道法の義務を負うのは設置者です。設計書や図面の作成、原水の水質検査、給水開始前の検査は、設備を扱う会社や登録水質検査機関に実務を任せることができ、管理の業務も第三者委託で外部に任せられます。水質検査を委託する場合、施行規則15条7項は、委託の内容を水質検査計画に書くよう定めています。施設で井戸水を使う設備の全体は井水の記事で扱っています。

水道事業者との関係

水道水と井戸水を併用する施設は、自治体の水道事業者の定めにも従います。

京都市は、水道水と地下水を混ぜて使う専用水道に、地下水が使えなくなったときに備える水道水の分として「水道施設維持負担金」(1m³あたり143円、2018年4月から)を設けました。京都市は、配水管への逆流を防ぐ措置と、地下水の使用量を測るメーターも求めています。併用する施設は、所在地の水道事業者にも事前に確かめます。

当社の分担

当社のサービスでは、専用水道の設置者は導入企業で、手続きは当社が代行します。

当社は、井戸の掘削と原水の水質検査を当社の負担で行い、原水が水質基準を満たしたあとに本契約を結びます。専用水道の確認などの手続きは当社が代行し、当社の工程表では手続きに1.5か月ほどを見込んでいます。水道技術管理者の選任と、毎日の検査(色・濁り・残留塩素)は導入企業にお願いしています。浄水処理設備は当社が維持管理し、水道法の水質基準を契約期間を通じて保証します。工程の全体は導入の流れ、水質の保証は地下水のサービスのページで説明しています。

この施設で、専用水道の手続きと管理をどう分けるか

当社は、施設の水の使用量と受水槽、敷地の条件から、地下水を導入できるかを判定し、専用水道の手続き、水質検査、毎日の検査の分担までご説明します。導入できる場合は、水道代が下がるかどうかもあわせてお伝えします。ご相談の段階で費用は発生しません。

導入できるか診断する

ご相談の段階で費用は発生しません。

専用水道についてのよくある質問

水質検査は外部の機関に委託でき、井戸水を混ぜれば専用水道の対象になり、廃止届は自治体の様式で出します。

Q. 専用水道の水質検査は、施設の中で行わなければなりませんか

A. 水道法20条3項は、水質検査のための検査施設を設けるよう求めていますが、地方公共団体の機関か、国土交通大臣・環境大臣の登録を受けた検査機関に委託すれば、検査施設は要りません。委託するときは、検査の項目・時期・回数・料金・採水の方法などを書いた契約書を交わし、契約の終了から5年保存します(施行規則15条8項)。

Q. 水道水と井戸水を混ぜて使う場合も専用水道ですか

A. 混ぜて使う施設は、水道水「のみ」を水源とする条件から外れるため、居住者100人超か生活用水1日20m³超なら専用水道です。受水槽の容量が10m³を超えていても、簡易専用水道にはなりません。京都市のように、混合して使う専用水道に負担金を設けている水道事業者もあります。

Q. 専用水道の健康診断は、誰が何を調べますか

A. 対象は、取水場・浄水場・配水池で働く人と、その構内に住む人です。調べるのは赤痢菌・腸チフス菌・パラチフス菌で、環境省の通知は、必要に応じてO157などの腸管出血性大腸菌やノロウイルスも調べるとしています。2026年4月からは、定期の健康診断を1年ごとにする代わりに、発熱や下痢の確認と、必要なときの臨時の健康診断を勧めています。

Q. 専用水道と簡易専用水道の検査はどう違いますか

A. 専用水道は、設置者が毎日・月1回・3か月に1回などの水質検査を自ら行い、記録を5年残します。簡易専用水道は水質検査の義務がなく、年1回、登録検査機関の検査を受けて、水槽の管理の状況と蛇口の水を見てもらいます。

Q. 専用水道をやめるときは届出が要りますか

A. 水道法には廃止の届出の条文が見当たりませんが、千葉県・館林市・大阪市などは要領や様式で廃止届を求めています。千葉県は、居住者や水量が減って要件を外れたときも廃止届を出すよう求めています。名古屋市は廃止の届出を10日以内としています。

参考情報

この記事は、次の法令と国・自治体の資料をもとに作成しました(2026年10月25日に確認)。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次