水道料金の値上げ|理由と自治体の改定例、いつから上がるか、施設の水道代の抑え方

水道料金の値上げ|理由と自治体の改定例、いつから上がるか、施設の水道代の抑え方

水道料金の値上げは、使う水の量が減る一方で、古い水道管の更新や物価の上昇で費用が増えているため、全国で続いています。

料金は自治体ごとに条例で決まり、上げる時期も率も地域で違います。この記事では、病院・工場・宿泊施設などで水道代を管理する方に向けて、値上げの理由と改定例、請求に出る時期、地域差、見通し、施設の水道代の抑え方を、国と自治体の資料から整理します。

この記事でわかること

  • 料金は原価に合わせて条例で決まる:水道法は、料金を「適正な原価」に照らして公正妥当に定めるよう求めています。原価には、施設を更新するための資産維持費も入ります。
  • 値上げの理由は収入減と費用増:使われる水の量は2000年をピークに減り、法定耐用年数を超えた水道管は全体の25.4%です(総務省、令和5年度)。全国平均では、料金が原価に届いていません。
  • 2025〜2027年に各地で改定:名古屋市は水道10.0%・下水道11.5%、千葉県営水道は平均18.6%、札幌市は下水道22.6%の改定です。水道と下水道で時期が違う自治体もあります。
  • いつからは「使用分」で決まる:新しい料金は「何月使用分から」「何月検針分から」で切り替わり、2か月ごとの請求では実感が遅れます。
  • 施設は使うほど単価が上がる:多くの料金表は使う量が増えるほど1立方メートルの単価が上がる形で、事業所の改定率を高くした自治体もあります。抑える手は、使用量・口径・水源の3つです。
目次

水道料金の値上げとは|原価に合わせて条例で改定される

水道料金の値上げは、水道を運営する自治体が、かかる費用に合わせて条例の料金表を改めることです。

辞書は水道料金を「水道施設により水を供給する水道事業者に対し、その施設の利用者が支払う料金」と説明しています(ブリタニカ国際大百科事典)。

料金は「適正な原価」に照らして決める

水道料金は、水道法が求める「能率的な経営の下における適正な原価」に照らして、公正妥当な額に定めます。

水道法第14条は、水道事業者に料金などを供給規程に定めるよう求め、料金は「能率的な経営の下における適正な原価に照らし、健全な経営を確保することができる公正妥当なもの」で、定率または定額で明確に定め、特定の者を不当に差別しないものとしています。地方公営企業法第21条も、公営企業の料金は適正な原価を基礎とし、健全な運営を確保できるものでなければならないと定めています。原価をもとに収入の総額を決めるこの考え方は総括原価方式と呼ばれ、辞書は「公共料金の典型的な設定方法」としています(デジタル大辞泉)。

更新の原資「資産維持費」も原価に入る

水道料金の原価には、毎年の運営費のほか、将来の施設の更新に備えて積み立てる資産維持費も入ります。

水道法施行規則第12条は、料金の基礎を、人件費・薬品費・動力費・修繕費・受水費・減価償却費などの営業費用と、支払利息と資産維持費の合計とし、資産維持費を「水道施設の計画的な更新等の原資として内部留保すべき額」と定めています。料金は、おおむね3年から5年の収支が釣り合うように設定します。日本水道協会の水道料金算定要領は、資産維持率を3%標準としています(国土交通省の資料による)。

改定には条例の改正が要る

水道料金を変えるには、議会で条例を改正し、地方公共団体の水道事業は国土交通大臣に届け出ます。

地方自治法第228条は、分担金・使用料・加入金・手数料に関する事項を条例で定めるよう求めており、自治体の水道料金も条例の料金表で定めています。水道法第14条は、地方公共団体が料金を変更したときは国土交通大臣に届け出るよう定めており、国の認可ではなく届出です。水道の整備・管理の行政は、令和6年4月1日に厚生労働省から国土交通省へ移りました(水質・衛生は環境省)。多くの自治体は、収支の見通しをもとに審議会などで検討し、答申を受けて条例改正案を議会に出します。千葉県営水道は、審議会の答申(令和7年10月)、県議会の可決(同年12月)を経て、令和8年4月から新料金にしています。

水道料金が改定されるまでの流れ収支の見通し経営戦略・更新計画審議会など検討・答申条例の改正議会の議決国へ届出国土交通大臣利用者へ周知お知らせ・料金表新しい料金使用分・検針分から料金は水道法第14条の「適正な原価」に照らして決め、地方自治法第228条により条例で定める国への手続きは認可ではなく届出(地方公共団体が経営する水道事業の場合)下水道使用料は下水道法第20条に基づく別の条例で、時期と率が水道と別に決まる

水道法、地方自治法、下水道法と、千葉県営水道・名古屋市の改定の手順をもとに作成

水道料金と下水道使用料は別の料金

水道料金と下水道使用料は、根拠の法律も会計も別で、改定の時期と率も別々に決まります。

下水道使用料は、下水道法第20条に基づいて下水道の管理者が条例で定め、「能率的な管理の下における適正な原価をこえないもの」とされています。札幌市のように下水道使用料だけを改定する自治体も、小山市のように下水道を先に、水道を1年後に改定する自治体もあります。どちらの改定かを分けて確かめます。

水道料金が値上げされる理由|収入が減り、費用が増える

水道料金が値上げされる理由は、料金の収入が減る一方で、施設の更新と運営の費用が増えているからです。

水道事業は、国の資料が「原則水道料金で運営(独立採算制)」と書くとおり、料金の収入で費用をまかなう仕組みです(地方公営企業法第17条の2)。

項目数字出典
料金の対象になる水の量(有収水量)2000年がピーク。2065年にはピークより約4割減る推計国土交通省「水道の現状」
水の量で増減する費用収益的支出の5%程度同上
法定耐用年数を超えた水道管(経年化率)25.4%(196,022km/773,235km)総務省、令和5年度
1年に更新した水道管の割合(更新率)0.61%同上
料金回収率(法適用の水道事業)97.8%(供給単価173.68円÷給水原価177.56円)同上
下水道の経費回収率95.9%同上
50年を超えた下水道管約8%→10年後に約20%→20年後に約42%国土交通省、令和5年度末

表1 水道料金・下水道使用料が上がる理由の数字。国土交通省・総務省の資料から作成

使う水の量は2000年をピークに減っている

料金の対象になる水の量は2000年をピークに減り、2065年にはピークより約4割少なくなると推計されています。

国土交通省の資料は、人口の減少と節水型の機器の普及で有収水量が減り、料金収入も減ると説明しています。座間市は改定の理由に「節水機器の普及等により水道料金収入が減少」を挙げ、富山市は平成30年度から営業費用が給水収益を上回る状態だとしています。

費用の大半は水の量で減らない

水道の費用の大半は施設と管の費用で、使われる水が減っても費用は小さくしか減りません。

国土交通省の資料は、水道事業を「設備投資に係る費用の割合が大部分を占める典型的な装置産業」とし、水量に伴って増減する純粋な変動費は収益的支出の5%程度だとしています。水の量が減ると、同じ費用を少ない水量で割ることになり、1立方メートルあたりの原価が上がります。

水道管の4本に1本が耐用年数を超えている

総務省の令和5年度の集計(全国平均)では、法定耐用年数を超えた水道管が全体の25.4%あります。

同じ集計で、1年に更新した管の割合(更新率)は0.61%で、最も高い東京都・神奈川県でも1.1%です。経年化率が最も高いのは大阪府の36.3%でした。給水管の老朽化と施設側の更新の目安は、給水管の老朽化と更新の目安で説明しています。下水道管も、50年を超えた管は令和5年度末で約8%ですが、10年後に約20%、20年後に約42%へ増える見込みです(国土交通省)。令和7年1月の埼玉県八潮市の道路陥没を受けた全国特別重点調査では、令和8年2月末時点で対策が必要な下水道管が748km見つかっています。

物価・電気代・金利と耐震化の費用

近年の改定では、物価や電気代の上昇、金利の上昇、地震に備えた耐震化の費用も理由に挙げられています。

名古屋市は改定の理由を「老朽化に伴う改築・更新需要の増加」「使用水量の減少に伴う料金収入の減少」「物価高騰などによる経営環境の悪化」の3つとしています。札幌市は下水道の維持管理費が直近10年で33%増えたこと、千葉市は金利と人件費の上昇を挙げています。静岡市は能登半島地震の経験を踏まえ、2025年からの15年間を耐震化の集中投資期間とし、すべての使用者の料金を上げました。

全国平均で料金が原価に届いていない

法適用の水道事業の全国平均では、1立方メートルあたりの料金(173.68円)が原価(177.56円)を下回っています。

料金回収率は97.8%で、料金の収入で原価をまかなえていない状態です(総務省、令和5年度)。国土交通省も「水道料金の平均は近年わずかに上昇傾向にあるが、原価割れの状況を改善するには至っていない」としています。下水道も、使用料で汚水処理費をまかなう割合(経費回収率)は全国で95.9%です。

水道料金を値上げした・する自治体|2025〜2027年の改定例

水道料金・下水道使用料の値上げは、政令指定都市を含む全国の自治体で、2025年から2027年にかけて続いています。

2024年度は延べ170以上の自治体が引き上げ

2024年度に上下水道料金を引き上げた自治体は、全国で延べ170以上と報じられています。

日本経済新聞(2025年2月22日)によると、前年度より約3割増え、ここ10年で最多でした。その後の2025年度・2026年度の全国の件数は、国の公表資料では確かめられませんでした。下の表は、自治体が公式に発表している改定の一部です。

主な自治体の改定

主な自治体の改定は、平均の改定率で10%前後から30%台まで幅があります。

自治体対象平均改定率時期
名古屋市水道・下水道水道10.0%、下水道11.5%令和7年10月分から
千葉県営水道水道18.6%令和8年4月1日以降の使用分から
神奈川県営水道水道現行比16%→19%→22%の3段階2024年10月・2025年10月・2026年10月
札幌市下水道22.6%令和8年10月から
千葉市下水道13.6%令和8年4月使用分から
静岡市水道・下水道一般家庭の水道8.4%、事業所の水道23.9%(例示の使用量)2026年6月使用分から
川口市水道・下水道水道26.74%、下水道27.16%令和8年4月1日から
松本市水道20.11%令和8年4月1日から(6月検針分から適用)
座間市水道(一般用)18.78%令和8年4月1日から
横須賀市水道・下水道水道料金・下水道使用料の平均で10.4%、続いて6.1%の2段階令和8年10月・令和10年4月
小山市下水道/水道下水道32.5%/水道25%令和8年10月分から/令和9年10月分から
蕨市水道9.59%令和8年4月1日から

表2 水道料金・下水道使用料の主な改定例。各自治体・水道局の公式ページから作成(2026年10月29日確認)。静岡市の率は口径20mm・2か月40m³と口径40mm・2か月1,000m³の例

水道と下水道で時期と率が違う

同じ自治体でも、水道と下水道は別の条例なので、改定の時期と率が違うことがあります。

小山市は下水道を令和8年10月分から、水道を令和9年10月分から改定します。札幌市は約30年据え置いた下水道使用料だけを改定しました。

段階的に上げる自治体

何年かに分けて段階的に料金を上げ、請求額が数年続けて上がる自治体もあります。

神奈川県営水道は、2024年10月に現行比16%、2025年10月に19%、2026年10月に22%と3段階で上げました。横須賀市は、負担が急に増えないよう令和8年10月に平均10.4%、令和10年4月に平均6.1%の2段階で改定するとしています。請求額は1回目の改定のあとも上がり続けます。

県の用水の値上げが市町の料金に響く

市や町が県から水を買っている地域では、県の用水の値上げが、市町の水道料金の値上げにつながります。

蕨市は、水道水の約65%を占める埼玉県の水道用水が令和8年4月に21.0%値上げされることなどを理由に、平均9.59%の改定をしました。千葉市も、下水道の改定理由に千葉県への維持管理負担金の引上げを挙げています。

水道料金の値上げはいつから請求に出るか|使用分と検針の月で決まる

新しい水道料金がいつから請求に出るかは、自治体が決めた「何月使用分から」「何月検針分から」で決まります。

「何月使用分から」で決まり、境目は日割り

改定日をまたぐ検針期間の計算は自治体が決めており、千葉県営水道は新旧の料金の日割り、名古屋市は半分ずつで計算します。

千葉県営水道は令和8年4月1日以降の使用分から新料金とし、3月31日までと4月1日以降を含む期間は新旧の料金の日割りで計算します。名古屋市は令和7年10月分からとし、偶数月に検針する地区は10月検針分、奇数月に検針する地区は11月検針分から新料金になり、10月検針分は旧料金と新料金を半分ずつ使って計算しました。松本市は令和8年4月1日の改定を6月検針分から適用しています。

2か月ごとの請求では実感が遅れる

2か月ごとに検針・請求する地域では、新しい料金が請求に出るのは改定日より後の検針の月になります。

千葉県営水道は、モデルケースを1か月分で示しつつ、実際の請求は2か月分だと断っています。静岡市は2026年6月使用分からの改定で、奇数月に検針する地区は8月の支払い分から、偶数月に検針する地区は9月の支払い分から新料金です。

自分の自治体の改定を確かめる方法

自分の地域の改定は、上下水道局の「料金改定」のページ、検針票のお知らせ、審議会の答申の3つで確かめられます。

料金改定のページには、時期と率、新しい料金表が載っています。

水道料金が高い地域・安い地域|最高と最低で約8倍

水道料金は地域で大きく違い、家庭用で月20立方メートル使う場合、最も高い事業者と安い事業者で約8倍の差があります。

全国平均は月3,368円(20m³)

家庭用で1か月に20立方メートル使った場合の水道料金は、全国平均で3,368円です。

日本水道協会「水道料金表」(令和6年4月1日現在)をもとにした国土交通省の資料の数字で、平成26年度の3,202円から少しずつ上がっています。下水道使用料の全国平均は20立方メートルで2,966円です(下水道統計 令和4年度版)。年度が1年ずれますが、水道と下水道を合わせると月6,300円台が目安になります。

高い事業者・安い事業者

水道料金が最も高いのは北海道夕張市の6,966円、最も安いのは兵庫県赤穂市の869円です(家庭用20m³/月)。

区分1位2位3位
高い事業者夕張市(北海道)6,966円羅臼町(北海道)6,950円由仁町(北海道)6,939円
安い事業者赤穂市(兵庫県)869円富士河口湖町(山梨県)1,140円長泉町(静岡県)1,150円

表3 水道料金が高い事業者・安い事業者(家庭用・月20m³)。日本水道協会「水道料金表」(令和6年4月1日現在)をもとにした国土交通省の資料から作成

同じ資料(家庭用・月20m³、令和6年4月1日現在)の都道府県の平均では、青森県の4,549円が最も高く、神奈川県の2,262円が最も低くなっています。

小さい事業体ほど高い

給水人口が少ない事業体ほど水道料金は高く、同じ資料で1.5万人未満の平均は3,685円、都と政令指定都市は2,673円です。

人口が少ないと、1立方メートルあたりの原価が上がります。総務省の令和5年度の集計では、給水原価は給水人口0.5万人未満の事業体で274.94円、50万人以上で170.28円と、約1.6倍の差があります。

同じ県の中でも差がある

同じ都道府県の中でも、最も高い事業体と安い事業体の差は全国平均で2.4倍あります(総務省、令和5年度)。

差が最も大きいのは兵庫県で、最も安い869円と最も高い4,743円の間に5.5倍の差があります。複数の地域に施設を持つ法人は、施設ごとに単価を確かめます。

下水道使用料の差

下水道使用料も地域で差があり、20立方メートルで最も高いのは北海道三笠市の5,583円です(下水道統計 令和4年度版)。

都道府県の平均では長野県の3,854円が最も高く、沖縄県の1,495円が最も低くなっています。施設の水の費用は上下水道を合わせて見ます。

水道料金はこの先も上がるのか|96%の事業体で値上げが必要という推計

水道料金は、民間の推計で2046年度までに全国の96%の事業体で値上げが必要とされ、この先も上がる見込みです。

2046年度までの推計

2046年度までに水道料金の値上げが必要な事業体は全体の96%で、値上げ率は平均48%という推計があります。

EY Japanと水の安全保障戦略機構が2024年4月に発表した推計で、全国の水道事業体を対象に、人口の減少と施設の更新費用を織り込んで将来の料金を試算したもので、2021年度の決算を基準にしています。前回の調査より、値上げが必要な事業体の割合は2ポイント、値上げ率は5%増えました。

一度で終わらない改定

自治体の改定は一度で終わらず、段階的な改定や、数年後の再改定を予定している例があります。

神奈川県営水道と横須賀市は段階的に上げます。札幌市は令和8年10月の改定のあとも、令和12年度(2030年度)以降の収支見通しは非常に厳しいとして、使用料の改定の必要性や時期を見極めるとしています。静岡市は15年間を耐震化の集中投資期間に位置づけています。

国は3〜5年ごとの見直しを求めている

総務省は、自治体の水道・下水道事業に、経営戦略を3年から5年ごとに見直し、必要なら料金改定を検討するよう求めています。

総務省の通知(令和4年1月)は、人口減少を加味した料金収入と物価上昇を反映した費用で収支を見直し、「料金改定、広域化、民間活用・効率化、事業廃止等」を検討するよう求めています。水道法第22条の4も、水道事業者に、施設の更新費用を含む収支の見通しを作って公表するよう努めることを求めています。

施設・事業所の水道代はどう上がるか|使うほど単価が上がる

施設・事業所の水道代は、使う量が多いほど1立方メートルの単価が上がる料金表のため、同じ改定でも上がる額が大きくなります。

使うほど1m³の単価が上がる逓増制

多くの水道料金は、使う量の段階ごとに単価が上がる「逓増型」の料金表です。

東京都23区の水道料金表(表示は平成17年1月1日から適用)では、1か月の従量料金が、11〜20立方メートルの段階で1立方メートル128円、1,001立方メートル以上の段階で404円(いずれも税抜)と約3.2倍です。札幌市の家事用も、11〜20立方メートルの220円から1,001立方メートル以上の412.50円(税込)まで上がります。使用量の多い施設では、水道代の大半が高い段階の単価で計算されます。工業用水の料金の仕組みは、工業用水とはで説明しています。

口径で基本料金が決まる

基本料金は水道メーターの口径で決まり、口径が大きい施設ほど基本料金も大きくなります。

東京都23区の1か月の基本料金(税抜)は、口径13mmで860円、40mmで6,865円、100mmで94,568円です。千葉県営水道の改定では、すべての口径で基本料金が上がりました。

大口の改定率の例

事業所の改定率が家庭より高い例もあり、静岡市は口径40mmの事業所の例で水道料金が23.9%上がります。

例条件改定前→改定後改定率
千葉県営水道・工場等口径75mm・月450m³(1か月・税込)221,110円→260,440円17.8%
千葉県営水道・ホテル等口径100mm・月1,945m³(1か月・税込)978,180円→1,145,320円17.1%
静岡市・一般家庭口径20mm・2か月40m³(水道料金・税込)5,214円→5,650円8.4%
静岡市・事業所等口径40mm・2か月1,000m³(水道料金・税込)198,000円→245,400円23.9%

表4 施設・事業所の水道料金の改定例。千葉県営水道「水道料金の改定について」と静岡市の公式ページから作成

静岡市は、少量使用の一般家庭の改定率を低めに、中量から大量に使う事業所の改定率を高めに設定したと説明しています。千葉県営水道の従量料金は、最も少ない段階の57円が67円に、501立方メートルを超える段階の441円が514円に上がりました(税抜)。

基本料金の比重を上げる改定

最近の改定には、使う量に関係なくかかる基本料金の比重を上げる形も見られます。

富山市は料金全体に占める基本料金の割合を16.2%から27.1%に上げ、川口市は基本料金に含まれていた1か月10立方メートルの基本水量をなくしました。松本市は基本料金にあたる準備料金だけを上げています。基本料金の比重が上がると、使う量を減らしても水道代が下がりにくくなります。

この施設の水道代は、地下水でどこまで下げられるか

当社は、過去1年の検針票の使用量と従量単価から、施設の水を地下水に置き換えられる割合と、1年あたりに下がる額の見当をお出しします。当てはまらない施設には、その旨をはっきりお伝えします。

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施設の水道代を抑える方法|使用量・契約・水源の3つ

施設の水道代を抑える方法は、使う量を減らす、口径と契約を見直す、地下水を水源に加えるの3つです。

方法下がるもの残るもの・注意
使用量を減らす水道の従量料金(高い段階の単価の分から減る)基本料金は残る。改定で基本料金の比重が上がると効きが小さくなる
口径と契約を見直す基本料金最大の使用量に足りる口径が要る。変更は水道事業者への申込みと給水装置の工事を伴う
地下水を水源に加える置き換えた分の水道の従量料金基本料金と下水道使用料は残る。水質の管理と、地域の地下水の規制を確かめる

表5 施設の水道代を抑える方法の比較

使用量を減らす(漏水と使い方)

使用量を減らすと、逓増制の料金表では高い段階の単価の分から水道代が減ります。

検針票で月ごとの使用量を並べ、稼働と合わない増え方や、夜間・休日のメーターの動きがあれば漏水を疑います。冷却塔、厨房、トイレ、散水など、水を多く使う設備ごとに使い方を見直します。

工場では、冷却水や洗浄の水を回して使うと、新しく取る水と排水の両方が減ります。電気・蒸気・圧縮空気を含めた工場の費用の見直し方は、工場のユーティリティコストとは|電気・蒸気・水・圧縮空気の内訳と原価での扱い、水の費用の下げ方で説明しています。

口径と契約を見直す

基本料金は口径で決まるため、実際の使用量に対して口径が大きすぎれば、見直す余地があります。

口径は、施設で同時に使う水の最大量に足りることが前提です。変更には水道事業者への申込みと給水装置の工事が必要になるため、使用量の実績を持って水道事業者と設備業者に相談します。

地下水を水源に加える

敷地の地下水をくみ上げて浄水し、施設の水の一部を地下水に置き換えると、その分の水道の従量料金がかからなくなります。

東京財団の研究報告は、日本水道協会のアンケート(給水人口10万人以上の事業者)で、地下水を水源とする専用水道(地下水利用専用水道)が2002年の88件から2017年の1,934件に増えたとし、静岡県の病院が導入で年約500万円の経費を減らした例を挙げています。寄宿舎や療養所などで100人を超える人に居住に必要な水を供給する施設や、飲用などの1日最大給水量が20立方メートルを超える施設は、水道法の専用水道に当たり(水道法第3条第6項、施行令第1条)、確認の申請や水質検査などの義務がかかります。詳しくは専用水道とはと地下水を飲料水にできる条件で説明しています。井戸を掘る工事の費用は井戸工事の種類と費用の目安にまとめました。

地下水でも下水道使用料はかかる

井戸水に切り替えても、公共下水道に流す分には下水道使用料がこれまでどおりかかります。

神戸市は、事業所で水道水と井戸水を併用する場合、両方の使用水量を合わせて下水道の使用水量とし、井戸水の量を測る私設メーターの設置を求めています(費用は使用者の負担)。静岡市も、業務用は原則メーターを付け、水道水と井戸水を合算して算定するとしています。地下水で下がるのは水道の従量料金で、下水道使用料は変わらない前提で試算します。熊本県の指針のように、地下水の採取量に応じた協力金を涵養の取り組みの一つに挙げる地域もあるため、地域の地下水の決まりもあわせて確かめます。

当社の仕組み|基本料金は残し、置き換えた分の単価を下げる

当社は、施設の敷地に井戸を掘り、くみ上げた地下水を浄水して飲み水として供給し、使った量に応じた料金をいただきます。

当社の従量料金は、施設がいま水道局に払っている1立方メートルあたりの従量単価より約1割安く設定しています。逓増制の料金表では、水道の使用量が減ると残る分にかかる単価の段階も変わるため、下がる額は料金表に当てはめて計算します。約1割安いのは水の単価で、水道代の総額が1割下がるという意味ではありません。水道の契約は残し、井戸側に異常があれば自動で水道に切り替わる二元給水のため、水道局の基本料金はそのまま残ります。調査・掘削・浄水設備・維持管理の費用は当社が負担し、初期費用は0円です。仕組みと試算の流れは水道コストの削減と地下水の給水の仕組みで説明しています。

地下水を水源に加えたときの水道代の内訳導入前導入後水道局の従量料金使った水の量×段階ごとの単価水道局の基本料金口径で決まる水道局の従量料金置き換えなかった分当社の従量料金置き換えた分・単価は約1割安水道局の基本料金二元給水のため残る一部を地下水へ下水道使用料は別にかかる(井戸水の分もメーターや認定水量で算定)下がるのは、置き換えた分の水道と当社の単価の差。総額がどれだけ下がるかは、置き換えられる割合で決まる

当社の料金の仕組みと、神戸市・静岡市の下水道使用料の算定方法をもとに作成

この施設に、地下水を水源として足せるか

当社は、施設の水の使用量と従量単価、給水の配管と敷地の条件から、地下水を足せるかと、1年あたりに下がる額の見当を判定します。下がらない施設には、その旨をはっきりお伝えします。

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水道料金の値上げについてのよくある質問

Q. 水道料金の値上げに反対したり、断ったりできますか

A. 個別の契約で値上げを断ることはできません。水道料金は自治体の条例で決まり、議会の議決を経て改定されます(地方自治法第228条)。改定の前に審議会で検討し、答申や素案について市民の意見を募る自治体もあるため、意見を出せるのはその段階です。

Q. 水道料金の請求が急に高くなったときは、何を確かめればよいですか

A. 3つを確かめます。1つ目は請求の期間で、2か月ごとの請求は1か月分の約2倍になります。2つ目は改定の適用で、改定日をまたぐ回は新旧の料金が混ざります。3つ目は使用量で、前年同じ月より大きく増えていて、使っていない時間にもメーターが動いていれば漏水を疑い、水道局や指定の工事店に相談します。

Q. 水道料金だけが値上げされた場合、下水道使用料の請求は変わりませんか

A. 下水道使用料の料金表が変わらなければ、下水道の単価は変わりません。ただし下水道使用料は、使った水の量を下水道に流した量とみなして計算する自治体があります(神戸市は水道水・工業用水・井戸水の使用水量の合計)。水道の使い方を見直して使用量を減らすと、水道料金と下水道使用料の両方が下がります。

Q. 井戸水に切り替えれば、下水道使用料はかからなくなりますか

A. かからなくはなりません。井戸水でも、公共下水道に流す分は下水道使用料の対象です。神戸市や静岡市は、事業所に井戸水の量を測るメーターを付けてもらい、水道水と合わせた量で使用料を計算しています。メーターが無い場合は、自治体が決めた認定水量で計算する例もあります(小山市は1人1か月7立方メートル)。

Q. 値上げの前に、施設でやっておくことはありますか

A. 過去1年分の検針票で、月ごとの使用量、口径、上下水道の従量単価を確かめ、新しい料金表に当てはめて改定後の年額を出しておきます。新料金が何月の請求から出るかも確かめます。

参考情報

国と自治体の資料は2026年10月29日に確認しました。

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