井戸水の水質検査|飲める基準・検査項目・費用と頼み先、基準を超えたときの対処

井戸水の水質検査|飲める基準・検査項目・費用と頼み先、基準を超えたときの対処

井戸水の水質検査とは、井戸の水が水道水と同じ水質基準に合い、飲んでよいかを、採った水を分析して確かめることです。

専用水道や特定建築物に当たらない井戸には法律の検査義務がかからず、国の要領による指導の対象です。この記事では、井戸の持ち主と事業所の設備担当の方に向けて、飲めるかを決める基準、定期検査の項目と意味、保健所などの頼み先と手数料、採水のしかた、検査の頻度、基準を超えたときの対処を、国の要領と自治体の案内で整理します。施設が受ける水質検査の義務の全体は水質検査の記事で扱っています。

この記事でわかること

  • 飲めるかは水道の水質基準で決まる:水質基準は2026年4月からPFOS・PFOAが加わって52項目です。国の要領は、井戸を使い始める前に全項目の検査を原則としています。
  • 定期検査は毎年1回以上:国の飲用井戸等衛生対策要領は、一般細菌・大腸菌・硝酸態窒素など11の項目に、有機溶剤とPFOS・PFOAを加えて検査するよう求めています。自宅だけで使う井戸は「望ましい」です。
  • 手数料は自治体の実例で6,800〜9,820円:保健所などの窓口で10〜13項目のセットを受け、結果は1〜2週間で届きます。保健所で受けず、国の登録検査機関を案内する都県もあります。
  • 検査した井戸の一部で基準を超えている:令和4年度に都道府県などが集計した飲用井戸の検査では、28,403井戸のうち7,108で基準を超え、一般細菌が最も多い項目でした。
  • 超えたら、まず飲むのをやめて保健所へ:細菌は消毒で下げられますが、硝酸態窒素・ヒ素・PFOS・PFOAは煮沸で除けません。
目次

井戸水の水質検査とは|飲み水の基準に合うかを確かめる検査

井戸水の水質検査は、井戸から採った水を検査機関が分析し、水道の水質基準に合うかを判定するものです。

辞書は水質検査を、水の色・におい・硬度や、有害な化学物質・細菌の有無を調べ、使用目的の基準に合うかを判定することと説明しています(デジタル大辞泉)。井戸水は「井戸からくみ上げた水」で、飲み水に使うなら、物差しは水道法の水質基準になります。

井戸水は水道法の外にある

水道法の水道にも建築物衛生法の特定建築物にも当たらない井戸には、法律の検査義務がかかりません。

水道法が検査を義務づけるのは、市町村などの水道事業、専用水道、簡易専用水道です。国は、これらの法律がかからない井戸を「飲用井戸等」と呼び、昭和62年の通知「飲用井戸等衛生対策要領」で、都道府県・市・特別区が持ち主を指導するよう定めています。要領は法律ではないので罰則はありませんが、自治体の保健所はこの要領にもとづいて相談と検査の案内をしています。

国の要領が持ち主に求めていること

国の要領は、井戸の持ち主に、使い始める前の検査、毎年の定期検査、井戸まわりの点検、汚染が分かったときの連絡を求めています。

要領は、飲み水を配る井戸を2つに分けています。個人住宅・寄宿舎・社宅・共同住宅などに配る「一般飲用井戸」と、官公庁・学校・病院・店舗・工場などの事業所に配る「業務用飲用井戸」です。どちらも、人や家畜がみだりに井戸に近づかないようにし、井筒・ケーシング・ポンプ・ふた・水槽と井戸のまわりを定期的に点検して、清潔に保つことが持ち主の役目です。要領は2025年6月30日に改正され、2026年4月1日から定期検査にPFOS・PFOAが加わりました。

見た目と味では分からない

透明でにおいの無い井戸水でも、細菌や溶けた物質が基準を超えていることがあり、検査をしないと分かりません。

埼玉県は、きれいに見える井戸水にも食中毒や感染症を起こす病原菌が含まれていることがあると注意を呼びかけています。硝酸態窒素・ヒ素・PFOS・PFOAは、色もにおいも付かない物質です。

井戸水は飲めるか|決めるのは52項目の水質基準

井戸水が飲めるかの物差しは水道法の水質基準52項目で、国の要領も、使う前に基準に合うことを確かめるよう求めています。

水質基準は水道法4条にもとづく「水質基準に関する省令」で定められ、水道水が満たすべき基準です。国の要領は、井戸を使い始める前に水道法に準じた検査をして、この基準に合うことを確かめるよう求めています。

水質基準と、井戸水で超えやすい項目

井戸水で基準を超えやすいのは、一般細菌・大腸菌などの細菌と、硝酸態窒素・ヒ素・ふっ素です。

一般細菌は1mLの検水で集落数100以下、大腸菌は検出されないこと、硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素は10mg/L以下、ヒ素は0.01mg/L以下が基準です。大腸菌は人や動物のふん便による汚れの目印で、硝酸態窒素は肥料や家畜の排せつ物、生活排水がしみ込んで増えます。環境省は、ヒ素とふっ素は主に地層に由来するとしています。

検査した飲用井戸の7,108で基準を超えた

令和4年度の都道府県などの集計では、一般項目を検査した28,403井戸のうち7,108で基準を超えました。

集計対象基準を超えた数多かった項目
飲用井戸等の水質検査(令和4年度、都道府県などの報告の集計)一般項目を検査した井戸28,403(延べの数を含む可能性がある)7,108一般細菌3,322、大腸菌1,162、硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素545
茨城県の井戸水の検査(令和6年度)4,341件1,552件(35.8%)一般細菌22.5%、色度7.1%、硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素6.2%
環境省の地下水の概況調査(令和6年度)2,721本の井戸153本(5.6%)硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素2.5%、砒素2.0%、ふっ素1.1%
環境省のPFOS・PFOAの調査(令和6年度)地下水2,320地点496地点が指針値を超えた測定地点は都道府県などが地域の事情で選んでいる

国土交通省「貯水槽水道及び飲用井戸等に係る衛生管理状況について」、茨城県の井戸水の水質状況、環境省「令和6年度地下水質測定結果」をもとに作成。集計ごとに対象と単位(井戸数・検査件数・調査した本数・測定地点数)が違い、全国の井戸の割合ではない

飲用井戸の集計は井戸の持ち主が受けた検査の結果で、地下水の概況調査は環境基準の項目を調べる国の調査なので、数字の重みが違います。環境省は、概況調査が数年かけて地域を回る方式で、年度ごとに調べる井戸が違うと断っています。どの集計でも、検査した井戸の一部で基準を超えた項目が見つかっています。

PFOS・PFOAが2026年4月から基準に

PFOS・PFOAは、2026年4月1日から水道の水質基準になり、2つを合わせて1Lあたり50ng以下が基準です。

環境省の2025年6月30日の通知で、水質基準の表に新たにPFOS及びPFOA(0.00005mg/L以下)が加わり、51項目が52項目になりました。自治体の案内ページには「51項目」のままのものも残っています。国の要領の定期検査にも同じ日からPFOS・PFOAが加わり、周辺で汚染が見つかっている地域では、持ち主が検査する項目に入ります。

井戸水の検査項目|定期は11項目+地域で必要な項目

井戸水の定期検査は、一般細菌・大腸菌・硝酸態窒素など11項目に、有機溶剤とPFOS・PFOAなど地域で必要な項目を足して行います。

国の要領は項目の数を書いておらず、項目名を並べて「周辺の水質検査結果から必要となる事項」を加えるとしています。そのため、保健所などが受ける検査のセットは自治体で違います。

定期検査の項目と、それぞれでわかること

定期検査の11項目は、細菌の汚れ、肥料や排水のしみ込み、水の濁りや色を見るための項目です。

項目基準値わかること
一般細菌1mLの検水で集落数100以下水が汚れているほど多く出る細菌の総数
大腸菌検出されないこと人や動物のふん便で汚れていないか
亜硝酸態窒素0.04mg/L以下肥料や汚水から入る窒素
硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素10mg/L以下肥料や汚水から入る窒素の合計
塩化物イオン200mg/L以下海水や生活排水の影響
有機物(全有機炭素の量)3mg/L以下水の汚れの全体量
pH値5.8以上8.6以下酸性・アルカリ性の度合い
味異常でないこと汚染や海水の影響
臭気異常でないことかび臭や化学物質
色度5度以下黄褐色の色づき(地質や鉄)
濁度2度以下粘土・微生物・金属による濁り
トリクロロエチレン・テトラクロロエチレンそれぞれ0.01mg/L以下工場などの排水由来の有機溶剤
PFOS及びPFOA合わせて0.00005mg/L以下有機フッ素化合物の2物質

環境省「水質基準項目と基準値(52項目)」と、四日市市上下水道局「水質基準項目について」(日本水道協会の解説による)をもとに作成

色度と濁度は、鉄が多い井戸で高く出やすい項目です。鉄は0.3mg/L以下、マンガンは0.05mg/L以下が基準で、福岡市は推奨する定期検査に硬度と鉄を入れています。

有機溶剤とPFOS・PFOAは、地域で選ぶ

有機溶剤とPFOS・PFOAは、近くで汚染が見つかっている地域では欠かせず、どこで調べられるかを先に確かめます。

国の要領は、都道府県などが地域の検査結果から「定期的に検査を行うことが望ましい項目」を決めて知らせるよう求めています。東京都練馬区は、区内でテトラクロロエチレンなどによる地下水の汚染が分かっていると案内しています。一方で、千葉市の環境保健研究所は井戸水のPFOS・PFOAを原則として専用水道などに限り、柏市の保健所は扱っていません。

使い始める前は、全項目

新しく掘った井戸や、使っていなかった井戸を飲み水に使い始める前は、水質基準の全項目の検査が原則です。

国の要領の留意事項は、給水を始める前に水質基準の全項目を検査し、消毒しているなら消毒副生成物も調べるよう求めています。千葉県は、塩素消毒をしていない場合は消毒副生成物と臭気物質を省けると案内しています。埼玉県の保健所は全項目の検査を受けておらず、国の登録を受けた民間の検査機関に問い合わせるよう案内しています。

自治体のセットは10〜13項目

保健所などが受ける井戸水の検査は、柏市の10項目から埼玉県・福岡市の13項目まで、自治体ごとに中身が違います。

埼玉県の13項目は、国の要領の11項目に、水質基準の項目ではない残留塩素とアンモニア態窒素を足したものです。福岡市の推奨する13項目は、11項目に硬度と鉄を足しています。千葉市は、井戸水では「味」を検査していません。申し込む前に、自治体のセットに自分の調べたい項目が入っているかを確かめます。

井戸水の検査はどこに頼むか|保健所・自治体の機関・登録検査機関

井戸水の検査は、保健所などの地方公共団体の機関か、国土交通大臣・環境大臣の登録を受けた検査機関に頼みます。

国の要領は、持ち主が検査を頼む先を、水道法20条3項の地方公共団体の機関か、国の登録を受けた者と定めています。どこが受けているかは自治体で違うので、まず住んでいる地域の保健所の案内を見ます。

窓口は自治体で4つの型がある

井戸水の検査の窓口は、保健所、衛生研究所などの機関、区役所の衛生課、登録検査機関の紹介だけ、の4つの型に分かれます。

埼玉県・神奈川県・柏市・大阪府は保健所で受け、千葉市は環境保健研究所が、福岡市は各区役所の衛生課が受けます。千葉県・東京都練馬区・静岡市は保健所で検査を受けず、国の登録検査機関の一覧を案内しています。

手数料と、結果が出るまでの日数

自治体の窓口の手数料は、10〜13項目のセットで6,800〜9,820円、結果が出るまでは1〜2週間です。

自治体窓口検査手数料結果まで
柏市保健所(衛生検査課)基本10項目6,800円受付から1週間
福岡市各区役所の衛生課細菌検査(一般細菌・大腸菌)と理化学検査1,470円+5,770円記載なし
千葉市環境保健研究所必須11項目9,730円受付からおおむね9日
埼玉県保健所13項目9,740円受付の翌週の水曜日以降
神奈川県(平塚保健福祉事務所)保健福祉事務所一般項目9,820円依頼から2週間
千葉県・東京都練馬区・静岡市保健所では受けず、登録検査機関を案内各機関による各機関による各機関による

各自治体の案内ページに載っていた手数料と日数(2026年10月27日に確認した時点)。相場や平均ではなく実例。手数料は改定されることがある

埼玉県の9,740円は、理化学11項目と細菌2項目の合計です。柏市は項目ごとの手数料も示しており、一般細菌と大腸菌がそれぞれ1,800円、pHが700円です。自治体の窓口は、その市や県に住む人、その地域に事業所がある法人に限ることがあります。

国の登録検査機関に頼む場合

全項目やPFOS・PFOAなど、自治体の窓口で受けない検査は、国の登録を受けた水質検査機関に頼みます。

国土交通大臣・環境大臣の登録を受けた水質検査機関は、環境省が公開する2026年10月1日時点の登録簿に載る機関を当社が数えると、約190です。登録は3年ごとに更新しないと効力を失い、定められた方法で検査し、精度を管理することが決まっています。料金と日程、採水の容器は機関ごとに違うので、千葉県はそれぞれの機関に問い合わせるよう案内しています。

PFOS・PFOAは、それだけで58,000円の例がある

PFOS・PFOAの検査は、さいたま市の保健所の令和8年度の料金で58,000円です。

表の10〜13項目のセット(6,800〜9,820円)の6倍以上です。全項目の料金は、今回確かめた自治体の窓口には載っていないので、各機関で確かめます。使い始める前の全項目と、地域で必要なPFOS・PFOAの検査は、毎年の定期検査とは別に予算を見ておきます。

井戸水の検査の流れと採水のしかた

井戸水の検査は、窓口を確かめて予約し、専用の容器に当日採った水を出し、自治体の窓口の例では1〜2週間後に結果書を受け取ります。

井戸水の検査の流れ1窓口を確かめる保健所・自治体の機関2予約して専用の容器を受け取る3当日に採水5〜10分流してから4その日のうちに窓口へ提出5結果書を受け取る1〜2週間千葉市は空き瓶やペットボトルの水を受け付けない。平塚は汲み置きを認めない全項目やPFOS・PFOAは自治体の窓口で受けないことがあり、国の登録検査機関に頼む

埼玉県・千葉市・神奈川県平塚保健福祉事務所・柏市の案内をもとに作成。日数と手順は窓口で違う

予約して、専用の容器を受け取る

埼玉県・千葉市・神奈川県・柏市の窓口は、予約か事前の相談をして、検査の前に専用の容器を受け取る必要があります。

埼玉県の保健所は、受付が原則として毎月第2・第4月曜の9時から10時までで、専用の容器を渡すので事前に相談するよう案内しています。千葉市は、指定の容器以外の空き瓶やペットボトルでは正確な結果が出ないとして受け付けていません。神奈川県の平塚保健福祉事務所は、ポリ瓶3本とガラス瓶1本の計4本を貸し出します。

採水は当日、5〜10分流してから

柏市と平塚の案内では、採水は提出する日の当日に、手と蛇口を洗ってから5〜10分ほど水を流し、たまった水を捨ててから行います。

柏市は検査当日の朝に採水するよう案内し、手指と蛇口を洗って5〜10分ほど水を流すとしています。平塚保健福祉事務所は、汲み置きをせず当日に採水し、採る前に5分ほど流すよう求めています。柏市と平塚は当日の採水を求めているので、採った水はその日のうちに出します。

結果は1〜2週間で届く

検査の結果書は、自治体の窓口では受付から1〜2週間で受け取れ、全項目の検査はもっと日数がかかります。

柏市は受付から1週間、千葉市は一般的な井戸水でおおむね9日、平塚保健福祉事務所は2週間です。千葉市は、水道法の全項目などの検査は約16日後としています。

井戸水の検査の頻度|年1回と、臨時に検査するとき

井戸水の定期検査は毎年1回以上が国の目安で、水の様子が変わったときは、その時点で臨時に検査します。

毎年1回以上(自宅専用は「望ましい」)

国の要領は、業務用の井戸と、社宅や共同住宅などに配る井戸に、毎年1回以上の定期検査を求めています。

持ち主が自分の住まいだけに使う井戸は、毎年1回以上行うことが「望ましい」と書き分けられています。埼玉県・千葉県・福岡市・大阪府は、どれも年1回以上の検査を呼びかけています。一度基準に合っても、周辺の汚染や井戸の傷みで水質は変わります。

臨時に検査するとき

水の色・濁り・におい・味がいつもと違うときや、近くで地下水の汚染が見つかったときは、臨時の検査をします。

国の要領は、水に異常を認めたときに、必要な項目を臨時に検査するとしています。東京都の南多摩保健所は、汚染の原因がなくなって井戸の使用を再開するときは、水質検査で安全を確かめるよう案内しています。大雨や地震のあとに井戸水がにごったときも、この臨時の検査に当たります。

消毒しているなら、残留塩素も確かめる

東京都の南多摩保健所は、塩素で消毒している井戸に、蛇口の遊離残留塩素0.1mg/L以上を7日以内ごとに確かめるよう求めています。

東京都の南多摩保健所は、消毒設備のある井戸に、遊離残留塩素0.1mg/L以上(結合残留塩素なら0.4mg/L以上)を7日以内ごとに1回確認するよう案内しています。埼玉県は、飲用するときは必ず消毒設備を付けるよう呼びかけています。残留塩素の測り方は残留塩素の記事で説明しています。

結果が基準を超えたとき|項目ごとの原因と対処

結果が基準を超えたら、まず飲むのをやめて保健所に連絡し、超えた項目に合わせて、消毒・処理・水道への切替えを選びます。

結果を受けたときの判断すべての項目が基準内かはい飲用を続ける年1回以上、定期検査いいえ飲むのをやめて、保健所へ連絡指示を受ける超えた項目は一般細菌・大腸菌消毒と井戸まわりの点検、再検査硝酸態窒素・ヒ素・ふっ素処理するか、水道へ切り替える有機溶剤・PFOS・PFOA周辺の調査。水道への加入を勧められる鉄・マンガン・濁りろ過などの処理で下げる

飲用井戸等衛生対策要領、大阪府茨木保健所・福岡市の案内をもとに作成。対処は保健所の指示が優先

まず飲むのをやめて、保健所へ

国の要領は、水質基準を超える汚染が分かったら、持ち主が保健所などに連絡して指示を受けるよう定めています。

人の健康を害するおそれを知ったときは、直ちに給水をやめて、使っている人に知らせることも求めています。有機溶剤などは基準以下でも検出されれば連絡するよう、国は自治体に指導を求めています。保健所は汚染の原因を調べ、持ち主に水道への加入を勧めます。

超えた項目主な原因次の一手
一般細菌・大腸菌人や動物のふん便などによる汚れ消毒設備を付ける。井戸の構造とまわりを点検し、再検査で確かめる
硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素肥料・家畜の排せつ物・生活排水のしみ込み消毒や煮沸では下がらない。処理するか水道に切り替える
ヒ素・ふっ素主に地層に由来処理するか水道に切り替える。周辺の井戸も調べることがある
トリクロロエチレンなどの有機溶剤主に工場・事業場の排水など保健所が環境部局と汚染の経路を調べる。水道への加入を勧められる
PFOS・PFOA周辺の汚染飲用を控える。自治体が周辺の井戸を調べることがある
鉄・マンガン・色度・濁度地質、配管からの溶け出し赤い水・黒い水の原因。ろ過などの処理で下げる

飲用井戸等衛生対策要領、環境省「令和6年度地下水質測定結果」、四日市市上下水道局「水質基準項目について」をもとに作成。対処は保健所の指示が優先

細菌・大腸菌は、消毒と井戸まわりの点検

一般細菌や大腸菌が超えたときは、消毒で下げられるので、消毒設備と井戸の傷みを見直し、再検査で確かめます。

大腸菌は、人や動物のふん便で水が汚れていないかを示す項目で、適切に消毒されていれば検出されません。福岡市は、そのまま飲むのはなるべく避け、塩素消毒や煮沸をしてから飲むよう案内しています。井筒・ケーシング・ポンプ・井戸のふたと、まわりの汚染源への備えは、国の要領が持ち主に点検を求めている箇所です。

硝酸態窒素・ヒ素・ふっ素は、処理か水道へ

硝酸態窒素・ヒ素・ふっ素が超えたときは、消毒では下がらないので、取り除く処理を付けるか水道に切り替えます。

煮沸は細菌への手段で、水に溶けた硝酸態窒素やヒ素を取り除く方法ではありません。大阪府の茨木保健所は、不適になった項目によっては適切な処理で飲用できるが、水道水がある場合は水道水を使うよう案内しています。2025年6月には栃木県が、ヒ素が0.037mg/Lと基準の約3.7倍だった井戸の利用者に、飲用しないよう指導しました。

有機溶剤・PFOS・PFOAは、周辺の調査になる

有機溶剤やPFOS・PFOAが見つかると、自治体が周辺の井戸を調べ、まわりの持ち主にも飲用を控えるよう呼びかけることがあります。

福岡市は2026年2月、PFOS・PFOAが指針値を超えたとの情報を受けて、半径500mの9地点を調べ、1地点が超えたため、利用者に飲用を控えるよう呼びかけました。大阪府は2025年4月、熊取町の汚染で、周辺おおむね半径500mの井戸を飲み水に使わないよう知らせています。岐阜県は2025年7月、周辺の井戸の調査でヒ素が基準の最大約23倍だった件で、結果が出るまで飲用を控えるよう住民に呼びかけました。

鉄・マンガン・濁りは、処理で下げる

鉄やマンガン、色や濁りが超えたときは、井戸水の水質に合わせて、除鉄・除マンガンのろ過などの処理で下げる方法があります。

鉄は赤い水の、マンガンは黒い水の原因になり、においや味にも影響します。井戸水の処理の方法と組み合わせ方は、井水の記事の処理の節で説明しています。

この施設の井戸水を、飲み水に使えるか

当社は、施設の水道の使用量と受水槽の状況から、深井戸の地下水を浄水して施設の水源に加えられるかを判定します。今ある井戸の水質で迷っている段階のご相談もお受けします。

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ご相談の段階で費用は発生しません。

事業所・施設の井戸水検査|区分で項目と頻度が変わる

事業所や施設の井戸水は、業務用飲用井戸・特定建築物・専用水道・食品営業のどれに当たるかで、検査の項目と頻度が変わります。

1つの施設が複数の区分に当たることもあるので、どれに当たるかは所管の保健所で確かめます。

区分当たる井戸検査の項目と頻度根拠
業務用飲用井戸法律の適用を受けない事業所の井戸使い始める前に全項目が原則。その後は毎年1回以上、11項目と有機溶剤・PFOS・PFOAなど飲用井戸等衛生対策要領
特定建築物で飲み水に使う建築物衛生法の特定建築物給水の開始前に全項目。16項目を6か月以内ごと、11項目を毎年、7項目を3年以内ごと。遊離残留塩素は7日以内ごと建築物衛生法施行規則4条
専用水道100人を超える人に居住に必要な水を配る、または飲用などの1日最大給水量が20m³を超える自家用の水道水道法の定期と臨時の水質検査水道法3条6項・施行令1条
自治体の条例の水道埼玉県の自家用水道(50人以上または10世帯以上)、千葉市の小規模専用水道など条例が定める検査各自治体の条例
飲食店などの使用水井戸水を飲用に適する水として使う食品の営業施設年1回以上の水質検査と、殺菌装置の点検食品衛生法施行規則

飲用井戸等衛生対策要領、建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則、水道法、水道法施行令、埼玉県・千葉市の案内、厚生労働省の資料をもとに作成

業務用飲用井戸

学校・病院・店舗・工場などに飲み水を配る井戸で、法律がかからないものは、国の要領の「業務用飲用井戸」です。

業務用飲用井戸は、自宅だけの井戸と違い、毎年1回以上の定期検査を「行うものとする」と書かれています。ただし要領は法令ではなく国の通知による指導なので、法律上の検査義務や罰則とは別のものです。要領は、旅館と公衆浴場の井戸は対象から外しています。

特定建築物で飲み水に使う

特定建築物で地下水を飲み水の水源にすると、水道水だけの建物より検査が増え、有機溶剤など7項目が3年以内ごとに加わります。

建築物衛生法施行規則4条1項4号は、地下水を水源の全部または一部にするとき、給水を始める前に全項目、その後は一般細菌・大腸菌・鉄・pHなど16項目を6か月以内ごと、消毒副生成物など11項目を毎年1回、四塩化炭素・テトラクロロエチレン・トリクロロエチレン・ベンゼンなど7項目を3年以内ごとに検査すると定めています。PFOS・PFOAの扱いは所管の保健所で確かめます。

専用水道と、自治体の条例

100人を超える人に居住に必要な水を配るか、飲用などに1日20m³を超えて使う自家用の水道は、専用水道です。

水量の基準は、飲用などの1日最大給水量です。専用水道になると、国の要領ではなく水道法の水質検査と管理が求められます。手続きと管理の中身は専用水道の記事で説明しています。国の専用水道より小さい規模にも、埼玉県の自家用水道条例や千葉市の小規模水道条例のように、自治体の決まりがかかることがあります。

飲食店など、食品の営業で使う井戸水

井戸水を調理や飲み水に使う飲食店などは、食品衛生法の決まりで、年1回以上の水質検査が必要です。

厚生労働省の資料は、井戸水などを飲用に適する水として使う施設に、定期的な水質検査、殺菌装置の点検、塩素の濃度や色・においの確認を求めています。厚生労働省は、湧き水が原因の食中毒が令和5年と令和6年に患者500人を超える規模で起きたとして、2025年10月に湧き水・井戸水を使う施設の監視指導を徹底するよう通知しました。

施設で井戸水を飲み水にする|当社の仕組み

当社が扱う地下水飲料化システムは、深井戸の地下水を浄水し、水質基準を満たした水だけを受水槽に入れて施設に送る仕組みです。

当社のシステムのページのとおり、井戸の水質に合わせた設備で浄水し、水道の契約を残したまま地下水を足します。地下水を飲み水にする条件の全体は地下水を飲料水にする記事で、災害時の水源としての井戸は防災井戸の記事で、地下水そのものの性質は地下水のページで紹介しています。

この施設に、断水しても使える水源を足せるか

当社は、水道の使用量と受水槽の状況から、深井戸の地下水を施設の水源に加えられるかを判定します。導入できる場合は、水道代が下がるかどうかもあわせてお伝えします。

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井戸水の水質検査についてのよくある質問

井戸水の検査は自治体の窓口でも手数料がかかり、煮沸や検査キットは検査の代わりにならず、合格した後も毎年1回以上続けます。

Q. 井戸水の検査は、保健所で無料でできますか

A. 自治体の窓口でも手数料がかかり、柏市の基本10項目は6,800円、埼玉県の13項目は9,740円です。千葉県・東京都練馬区・静岡市のように、保健所では検査を受けずに国の登録検査機関を案内する自治体もあるので、まず地域の保健所の案内を確かめます。

Q. 煮沸すれば、検査しなくても飲めますか

A. 煮沸は細菌への手段で、水に溶けた硝酸態窒素・ヒ素・PFOS・PFOAを取り除く方法ではありません。福岡市は塩素消毒や煮沸をしてから飲むよう案内していますが、その前提として年1回程度の水質検査を呼びかけています。

Q. 市販の検査キットで、検査の代わりになりますか

A. 国の要領は、持ち主が検査を頼む先を、地方公共団体の機関か、国土交通大臣・環境大臣の登録を受けた検査機関と定めています。自分で測る簡易な方法は目安にとどまり、飲めるかの判断には登録検査機関などの結果書を使います。

Q. 一度基準に合えば、あとは検査しなくてよいですか

A. 国の要領は毎年1回以上の定期検査を求めています。環境省によると、令和2〜6年度に硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の環境基準を超えた井戸があった市区町村は400で、全1,741市区町村の23%です。周辺の土地の使い方や井戸の傷みで水質は変わるので、合格した後も続けて検査します。

Q. 地震や大雨のあとは、検査したほうがよいですか

A. 水の色・濁り・においがいつもと違えば、国の要領の臨時の検査に当たるので、飲む前に検査します。東京都の南多摩保健所は、井戸の使用を止めている間はペットボトルの水や給水車などで代わりの飲み水を確保するよう案内しています。

参考情報

この記事は、次の国・自治体の資料をもとに作成しました(2026年10月27日に確認)。

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