BCP策定とは、地震や感染症などで事業が中断したときに、どの業務を、いつまでに、どのレベルまで戻すかを先に決めて、計画として文書にしておく作業です。内閣府の事業継続ガイドラインでは、方針の策定から見直し・改善までの6つの段階で進めます。防災計画が人命と設備を守る計画であるのに対し、BCPは限られた資源で事業を続けるための計画です。
手順そのものは公開されていて、ひな型も出回っています。それでも、書き上がったBCPを読み返すと、水の項目だけが一行で終わっていることが少なくありません。備蓄水を何本、と書いてそれきりになる。この記事では、手順の6段階のどこで水が抜け落ちるのかを、公的資料の記述をたどって特定します。
この記事でわかること
- 手順は6段階:内閣府のガイドラインは、方針の策定・分析・戦略・計画・訓練・見直しの順で進めるよう定めています。
- 水が抜けるのは第2段階:重要な資源の洗い出しで、水は「ライフライン」の一語に畳み込まれ、電気と同じ箱に入ります。
- 見積りは用途で分ける:飲用・衛生・業務用を別々に数えないと、断水時に何を諦めるかを決められません。
BCP策定とは何をする作業か
BCP策定とは、事業が止まったときにどの業務をいつまでにどこまで戻すかを先に決めて、文書にしておく作業です。
BCPはBusiness Continuity Planの略で、日本語では事業継続計画と訳します。国の基準になっているのは内閣府の「事業継続ガイドライン」(令和5年3月改定)で、公的機関の手引きや自治体の補助制度も、おおむねこの文書を土台にしています。
防災計画とBCPは、発想が違う
防災計画は人命と建物を守る計画、BCPは限られた資源で事業を続ける計画です。守る対象が違います。
ガイドラインは両者の違いを、中心的な発想とアプローチが異なるものとして整理しています。危機的な事象が起きると使える経営資源に制限が生じる、という前提に立ち、優先すべき業務を絞り込んで、どの業務をいつまでにどのレベルまで回復させるかを経営判断として決める。この絞り込みが、防災計画には無い部分です。防災活動の延長としてBCMを捉えると効果を発揮できないおそれがある、とも書かれています。
帝国データバンクが2025年5月に全国26,389社へ実施した調査(有効回答10,645社)では、BCPを策定済みと答えた企業は20.4%でした。大企業は38.7%、中小企業は17.1%です。同じ調査で、事業の継続が困難になると想定するリスクとして「インフラの寸断」を挙げた企業は39.0%(複数回答)でした。止まると困るという認識はあるが、計画にはなっていない、という状態が数字に出ています。
BCPで決めるのは「どの業務を、いつまでに」
BCPの中身は、優先して続ける重要業務と、その目標復旧時間、目標復旧レベルの3つに集約されます。
目標復旧時間は、いつまでに戻すか。目標復旧レベルは、どこまで戻すかです。ガイドラインは、この2つを単なる目標ではなく、講じた対策によって達成可能なものでなければならないと釘を刺しています。対外的にも説明する数字なので、一種の公約として扱われるという書き方です。つまり「3日で全面復旧」と書いた時点で、3日で全面復旧できる手当てを用意する責任が発生します。
Q. BCPと防災計画は何が違うのですか
A. 防災計画は人命と設備を守るための計画で、BCPは被害を受けた状態で事業を続けるための計画です。防災計画が「守る」ことを目的にするのに対し、BCPは使える資源が減った前提で、どの業務を優先して動かすかを決めます。両方が必要で、片方がもう片方を兼ねることはできません。
BCPの策定手順は6つの段階に分かれる
内閣府の事業継続ガイドラインでは、方針の策定から見直し・改善まで、6つの段階を順に回します。
計画を作って終わりではなく、平常時から回し続ける活動として設計されています。この活動全体を事業継続マネジメント(BCM)と呼び、BCPはその中で作られる文書の1つという位置づけです。
出典:内閣府「事業継続ガイドライン」(令和5年3月)の全体プロセスをもとに作成
第1段階:基本方針を経営者が決める
最初に決めるのは、自社が誰に対して何を果たすのかという基本方針で、これは経営者の仕事です。
ガイドラインは、経営方針や事業戦略に照らして、取引先や社会一般からの要求を整理することから始めるとよい、としています。あわせて、BCMの対象とする事業の種類や事業所の範囲もここで決めます。範囲を決めずに次へ進むと、分析の対象が膨らんで手が止まります。
第2段階:事業影響度分析で重要業務と目標復旧時間を決める
第2段階では、事業が止まったときの影響を時系列で測り、重要業務と目標復旧時間を決めます。
この作業を事業影響度分析(Business Impact Analysis、BIA)と呼びます。特徴は、影響の評価を「その原因に関わらず」行う点です。顧客や取引先にとって重要なのは事業が止まるかどうかであって、止まった原因ではないから、というのが理由です。
重要業務が決まったら、その業務に不可欠な資源を洗い出します。そして洗い出した資源のうち、確保できるまでの時間を早めない限り復旧を早められないものを「ボトルネック」として把握する、と定められています。脚注では、復旧時間が一番長いクリティカルパスを把握してそれを改善すると考えてもよい、と補足されています。ここが、この記事の本題につながる場所です。
第3・4段階:戦略を決めて、計画の形に落とす
第3段階で目標を達成する手段を選び、第4段階でそれを緊急時の体制と手順の形に書き下ろします。
第3段階では、重要な製品やサービスの供給をどう続けるか、本社が被災したらどうするか、情報システムをどう維持するか、資金をどう確保するかを検討します。第2段階で出した目標復旧時間が実現できるかどうかは、ここで初めて検証されます。実現できないとわかれば、目標を下げるか、対策に投資するかの判断に戻ります。第4段階では、緊急時の体制と対応手順、事前対策の実施計画、教育・訓練の実施計画、見直しの実施計画を文書にします。
第5・6段階:訓練で回して、見直す
第5段階で事前対策と教育・訓練を実施し、第6段階で計画の抜けを見つけて直します。
書いた計画が本当に動くかどうかは、動かしてみるまでわかりません。第6段階の見直しは、第1段階の方針へ戻ることもあれば、分析からやり直すこともあります。ガイドラインの図でも、見直しから方針へ戻る実線とは別に、分析以降へ直接つながる破線が引かれています。
Q. 目標復旧時間はどうやって決めればよいですか
A. 取引先や利用者が許容できる停止時間の限界を先に把握し、それを上回らない範囲で置きます。ただしこの段階では実現性が未検証なので「案」にとどめ、第3段階で対策の実施可能性を検討したうえで経営判断として確定させます。インフラや調達先の復旧時期をいくつか仮定して検討する方法も示されています。
水の項目は、手順のどこで抜けるのか
抜けるのは第2段階です。重要な資源の洗い出しで、水が電気と同じ「ライフライン」の一語に畳み込まれます。
断水したときに施設で何が止まるのかは、災害時の水源確保のページで業種別に整理しています。ここでは、なぜその検討が計画に載らないままになるのかを見ます。
「ライフライン」の一語に、電気と水道が同居している
ガイドラインが挙げる重要な資源の例に、水は単独では出てきません。ライフラインという一語の中にあります。
該当する脚注では、重要な要素の例として、キーパーソン、事務所・工場等の拠点、工程、機械、金型、工具、梱包、原料・部品、サービス、ライフライン、物流、データ、システム、資金が並んでいます。14項目のうち、水に相当するのは「ライフライン」の1語だけです。
ライフラインを1つの箱として扱うと、その中で復旧が一番遅いものが見えなくなります。ボトルネックの定義は復旧時間が一番長いものでしたから、本来なら箱を開けて、電気・ガス・水道・通信を別々に並べ、一番遅いものを取り出す必要があります。洗い出しの例示に単独で載っていない資源は、そのまま素通りしやすい。これが1つ目の穴です。
電気の復旧を目安にすると、水は必ず足りなくなる
電気と水道では復旧の速さが桁違いです。電気の感覚で日数を見積もると、水だけが先に尽きます。
過去の震災で、2つのライフラインがどれだけ違う戻り方をしたかを並べます。
| 災害 | 電気 | 水道 |
|---|---|---|
| 阪神・淡路大震災 | 6日でほぼ全世帯が復旧 | 50%の復旧に約1週間、90%の復旧に約4週間 |
| 令和6年能登半島地震 | 復旧まで約1ヶ月 | 最大16市町 約11万戸。解消まで約5ヶ月 |
出典:日本透析医学会「災害時透析医療における課題」第2章、石川県公表資料
理由は単純で、電気は架空の設備が多く、水道は地中の配管だからです。道路が寸断され、地面の下の管が広い範囲で壊れると、復旧は月単位になります。しかも水道管の側にも余力がありません。国土交通省の集計では、令和6年度末時点で基幹管路の耐震適合率は全国44.6%、浄水施設の耐震化率は46.7%、配水池の耐震化率は65.9%です。半分近い基幹管路が、耐震性を確認できていない状態にあります。
自治体の応急給水は、1人1日3リットルから始まる
発災から3日間の応急給水の目標は、1人1日3リットルです。飲む水の量であって、業務に使う水ではありません。
国土交通省の「水道の耐震化計画等策定指針」は、応急給水の目標水量を日数の経過に応じて段階的に設定する例を示しています。発災から3日までが1人1日3リットルで用途は飲料等、7日で20〜30リットル、被災前の給水量(約250リットル)に戻るのは14日目です。運搬距離の目標も、3日までは概ね1km以内、7日で概ね250m以内と、住民が水をもらいに行く前提で書かれています。
そして同じ資料に、次の一文があります。災害拠点病院・透析病院などの重要施設に対して応急給水を行う場合には、必要水量を別途加算して設定する。裏を返せば、加算されていなければ、自施設のぶんは計画に入っていません。これが2つ目の穴です。BCPに「断水時は自治体の応急給水を受ける」と書いてある施設は多いのですが、自治体側の計画に自施設ぶんが積まれているかを確認した記録は、ほとんど見かけません。
水の必要量をどう見積もるか
用途を飲用・衛生・業務用の3つに分けて、それぞれ1日あたり何リットル要るかを別々に数えます。
飲用・衛生・業務用に分けて数える
3つを合算した数字だけ書くと、断水時にどれを諦めるかが決められません。用途ごとに分けて持ちます。
分ける目的は、優先順位をつけられる形にすることです。飲用は代替が効きませんが、衛生用水は仮設トイレや汚水処理で一部を置き換えられます。業務用水は、止めれば事業が止まる部分と、待てる部分に分かれます。合算した1つの数字では、この判断ができません。
| 用途 | 何に使うか | 数え方 | 代替の効き方 |
|---|---|---|---|
| 飲用 | 飲み水・調理 | 在館者数 × 1日3リットル | 備蓄で置き換えられるが、量がかさむ |
| 衛生 | トイレ・手洗い・清掃 | 在館者数 × 1日20〜30リットル | 仮設トイレなどで一部を置き換えられる |
| 業務用 | 医療・厨房・洗浄・冷却・製造 | 設備ごとの実測値を積み上げる | 代替が効かない。止まれば事業が止まる |
飲用・衛生の目安は国土交通省「水道の耐震化計画等策定指針」の応急給水目標による
この表を作るのと同時に、もう1つ確認しておくことがあります。所在地の自治体に、応急給水計画へ自施設ぶんの必要水量が加算されているかどうかを問い合わせることです。加算されていれば計画の前提として使えますし、されていなければ、その量は自前で用意する数字になります。見積りの前提が変わるので、計算を始める前に確かめます。
業務用水は、施設の種類で桁が変わる
業務用水は施設によって桁が違います。血液透析は患者1人1回あたり約120リットルを使います。
日本透析医学会の資料は、透析医療が災害に特に脆弱な治療である理由の1つとして、この水量を挙げています。週3回の治療が1〜2日おきに必要で、止めれば患者の生命に関わる。応急給水の初動である1人1日3リットルは、透析1回ぶんの40分の1にも届きません。厨房、滅菌、洗浄、冷却も同じ構造で、飲用の数字とは別の桁で積み上がります。施設ごとの内訳は病院・大学病院での水の使われ方で整理しています。
受水槽にあるのは、タンク1杯ぶんだけ
受水槽は貯水設備ではなく通過する水槽です。断水したときに使えるのは、そのとき入っていた1杯ぶんです。
受水槽の容量は、その施設の1日使用量の半日から1日分程度で設計されるのが一般的です。断水すれば補充は止まりますから、そこから先は減る一方になります。応急給水が本格化するまでの数日を、タンク1杯でしのぐ計算になります。
横軸は断水の継続日数。手当ての種類ごとに、どこまで届くかを示したもの
BCPに書く代替水源は4つ|どれを選ぶか
代替水源は備蓄・給水協定・災害用井戸・地下水の飲料化の4つで、賄える日数と用途が違います。
4つは排他ではありません。組み合わせて、断水の初期から長期までを切れ目なく埋めるのが基本の考え方です。
| 手段 | 賄える長さ | 使える用途 | 準備にかかる時間 |
|---|---|---|---|
| 備蓄 | 数日 | 飲用が中心 | すぐ。ただし置き場所と入替えが要る |
| 給水車・給水協定 | 運搬できる量が上限 | 飲用・衛生 | 協定の締結期間 |
| 災害用井戸(既設) | 断水の長さに左右されない | 原則は生活用水。飲用は水質次第 | 登録の手続き |
| 地下水の飲料化 | 断水の長さに左右されない | 飲用・衛生・業務用 | 給水開始まで最短9ヶ月 |
用途の区分は内閣官房水循環政策本部事務局・国土交通省「災害時地下水利用ガイドライン」(令和7年3月)による
表の下2つは、断水が長引いても供給量が落ちないという点で上2つと性格が違います。一方で、準備に時間がかかります。この違いが、後半で触れる「工期から逆算する」という話につながります。災害時に周辺住民へ水を分ける取り組みについては、災害時の地域への給水で扱っています。
備蓄と給水協定で、どこまで届くか
備蓄は数日、給水協定は運搬量が上限です。どちらも月単位の断水を単独では埋められません。
備蓄の壁は保管場所と入替えです。在館者500人の施設が飲用だけを3日分持つと、3リットル×500人×3日で4,500リットル。2リットルのペットボトルで2,250本になります。衛生用水まで含めれば桁が1つ上がります。給水協定は、協定を結んでいても給水車の台数と道路の状況に縛られます。能登半島地震のように道路が寸断されると、協定があっても届きません。
災害用井戸は、原則として生活用水の水源
国のガイドラインは災害用井戸の用途を生活用水と定めています。飲用は水質の条件が整った場合に限られます。
内閣官房水循環政策本部事務局と国土交通省が令和7年3月にまとめた「災害時地下水利用ガイドライン」は、自治体が民間の既設井戸を災害用井戸として登録する取り組みを後押しする文書です。そこで登録する井戸の使用目的は、主に生活用水、つまり飲用以外の洗濯・風呂・掃除・トイレ等とされています。飲用については、必要に応じ、水質等の条件が確保される場合には差し支えない、という書き方です。
この線引きは実務でも同じです。井戸があること自体は、飲める水があることを意味しません。BCPに「敷地内に井戸があるので断水しても大丈夫」と書く前に、その井戸の水が何に使えるのかを確かめる必要があります。
飲用まで賄うなら、浄水処理と専用水道の話になる
井戸水を飲用にするには浄水処理が要り、水道法上は専用水道として扱われます。設置者は施設側です。
飲用まで賄う地下水の飲料化は、深井戸から汲み上げた水を浄水処理し、水道法の水質基準を満たしたうえで施設へ供給する仕組みです。井戸は不透水層を2〜3層掘り下げた深さ約100m前後(地質により異なります)で、地表の汚染の影響を受けにくく、水温も年間を通じて安定しています。処理には、除鉄・除マンガン濾過、活性炭濾過、膜ろ過、軟水器などを水質に応じて組み合わせます。仕組みと水質基準の詳細は地下水飲料化の仕組みと水質で説明しています。
制度面で押さえておくことが2つあります。1つは、この供給水が水道法に定める専用水道にあたり、その設置者は導入する施設側になることです。水道技術管理者の選任と、色・濁り・残留塩素濃度を確認する毎日の検査は、施設側が行います。もう1つは、水道の契約を解約しないことです。設備の点検時や異常時のバックアップとして、水道局との契約は従来どおり継続します。当社のサービスでは、井戸水での置換率を50〜90%とし、残りは水道水で賄う二元給水の形にしています。水質と設備の稼働状況は遠方監視装置で24時間連続監視し、異常が発生した場合は水道が自動でバックアップします。
導入できる施設の条件は、上水道の使用量・設置スペース・事業の継続性・管理の体制の4つです。詳しくは導入できる4つの条件と契約から給水開始までの流れをご覧ください。
書いたあとに確認すること
計画は書いた時点では未検証です。訓練で回し、工期から逆算し、年に1回数字を直すところまでが第6段階です。
訓練で、実際に水を止めてみる
机上訓練だけでは水の抜けは見つかりません。元栓を閉めて、何分で困るかを実際に測ります。
紙の上では成立している手順が、実際にはどこで詰まるのかが見えます。トイレが何回で使えなくなるか、厨房が何食ぶん作れるか、手洗いをどう代替するか。測った時間はそのまま目標復旧時間の検証材料になります。安全上、給水を止める範囲と時間はあらかじめ限定してください。
手当てには工期がある。年次改訂から逆算する
水源の手当ては書けばすぐ効く対策ではありません。井戸と浄水設備は給水開始まで最短9ヶ月かかります。
ここがBCPの運用サイクルと噛み合いにくいところです。BCPの見直しは年1回で回るのに対して、地下水の飲料化は契約から給水開始まで11の工程を踏み、最短でも9ヶ月かかります。地下水の水質、揚水試験、関係官庁への対応、試運転の状況によっては、さらに数ヶ月延びます。備蓄の積み増しのように、見直しの席で決めてその年度内に完了する対策ではありません。
逆算すると、次の年度から運用に乗せたい場合、予算要求の前に検討を始めておく必要があります。工程の前半にあたる井戸の掘削と水質試験は仮契約で実施でき、そこで水質や水量が確保できない場合は撤退して、その費用を請求しない取り扱いにしています。判断材料を先に取ってから本契約に進める形なので、検討の開始を早めても、抱えるリスクは大きくなりません。
年に1回、使用量の実績と自治体の計画を見直す
見直しで直すのは水量の数字と、自治体の応急給水計画に自施設が積まれているかの2点です。
在館者数も設備も変わりますし、自治体の地域防災計画も改定されます。前年の水道使用量の実績を用途別に割り直し、必要水量の表を更新する。そのうえで、自治体側の応急給水計画に変更がないかを確認する。この2つを毎年やるだけで、水の項目は形骸化しません。
BCP策定についてのよくある質問
Q. BCPに水の必要量はどこまで書けばよいですか
A. 飲用・衛生・業務用の3つに分けて、それぞれ1日あたりの必要量と、何日ぶんをどの手段で賄うかまで書きます。合算した総量だけでは、断水時にどの用途を優先するかを判断できません。業務用水は設備ごとの実測値を積み上げてください。
Q. BCPでは断水が何日続く前提で書けばよいですか
A. 一律の正解はありませんが、実績を踏まえると数日では足りません。阪神・淡路大震災では水道の90%復旧に約4週間、令和6年能登半島地震では断水の解消まで約5ヶ月かかっています。所在地の地域防災計画が想定する復旧日数を確認し、それを下回らない期間で設定してください。
Q. 災害用井戸に登録すれば飲み水も確保できますか
A. 原則として生活用水の確保にとどまります。国のガイドラインは災害用井戸の使用目的を飲用以外の洗濯・風呂・掃除・トイレ等と定めており、飲用は水質等の条件が確保される場合に限るとしています。飲用まで賄うには浄水処理が必要です。
Q. BCPは何年ごとに見直せばよいですか
A. 年1回を目安に見直し、組織や設備が大きく変わったときは都度改訂します。ガイドラインは見直し・改善を6段階の最後に置き、継続的なマネジメント活動として位置づけています。ほかの疑問はよくあるご質問にまとめています。
参考情報
- 内閣府 防災担当「事業継続ガイドライン ─あらゆる危機的事象を乗り越えるための戦略と対応─」(令和5年3月)
- 国土交通省 水管理・国土保全局 水道事業課「水道の耐震化計画等策定指針」(「地震対策マニュアル策定指針」令和8年3月に再掲)
- 国土交通省「水道事業における耐震化の状況」(令和6年度末)
- 内閣官房 水循環政策本部事務局・国土交通省 水管理・国土保全局 水資源部「災害時地下水利用ガイドライン ~災害用井戸・湧水の活用に向けて~」(令和7年3月)
- 帝国データバンク「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2025年)」
- 日本透析医学会「災害時透析医療における課題」第2章 大規模災害と透析医療
