工業用水とは|上水道との違い、料金の仕組み、飲めない理由まで

工業用水とは|上水道との違い、料金の仕組み、飲めない理由まで

工業用水とは、工場が製品をつくる過程で使う水のうち、飲み水と水力発電用を除いたものです。

この記事では、工業用水の定義、水源、上水道との違い、料金の仕組みと自治体の料金表、飲めない理由、工業用水道の今の課題を、国と自治体の公式資料で整理します。最後に、工場の水を工業用水道・上水道・井戸水のどれでまかなうかの考え方を書きます。

この記事でわかること

  • 分かれ目は「飲める水として配るか」:法律は、飲用に適する水として配る水を工業用水から外しています。上水道は飲める水を配る仕組みです。
  • 料金の全国平均は1m³あたり23.00円:国土交通省がまとめた2023年度の工業用水道の平均です。約8割の事業が、使わなくても契約した量の分を払う「責任水量制」です。
  • そのままでは飲めない:経済産業省は、工業用水道の処理は沈殿が主体で、塩素処理までは行わないのが通例だと説明しています。
  • 工業用水道は曲がり角にある:管路の約半分が法定耐用年数を超え、埼玉県は2025年に32年ぶりの値上げをし、東京都は2023年に事業をやめました。
  • 工場の水は用途で分けて考える:工程の大量の水と、社員の飲み水やトイレの水では、向く水源が違います。
目次

工業用水とは|工場が生産に使う、飲み水以外の水

工業用水は、製造業や電気・ガス・熱供給業が、冷却や洗浄、原料などに使う水で、飲用と水力発電用は含みません。

辞典では、デジタル大辞泉が「工業の生産過程で使用される水」とし、冷却・ボイラー・洗浄を例に挙げています。

法律の定義は、飲み水と水力発電用を除いた水

工業用水道事業法は、工業用水を「工業の用に供する水」とし、飲用に適する水として配るものと水力発電用を除いています。

条文は「工業の用に供する水(水力発電の用に供するもの及び人の飲用に適する水として供給するものを除く。)」です。同じ工場の中の水でも、社員が飲む水として配られる水は工業用水に入りません。

「工業」は製造業と電気・ガス・熱供給業を指す

工業用水道事業法のいう「工業」は、製造業、電気供給業、ガス供給業、熱供給業の4つです。

製造業には物品の加工修理業も含まれます。経済産業省は、工業用水の業種別の使用割合を、パルプ・紙・紙加工品製造業24%、化学工業21%、鉄鋼業15%としています(2023年経済構造実態調査)。

工業用水と工業用水道は別の言葉

工業用水は水そのもの、工業用水道は工業用水を管で工場へ配る施設と、その事業を指す言葉です。

工業用水道事業法は、工業用水道を「導管により工業用水を供給する施設」の総体としています。工場が使う水には、工業用水道から受ける水のほか、川から取る水、自前の井戸の水、上水道から受ける水、工場の中で回して使う水もあります。

用途は冷却が8割近くを占める

使う水の量で見ると、工業用水の用途は冷却と温度調整が約8割を占めます。

内閣府経済社会総合研究所がまとめた2012年の工業統計(従業者30人以上の事業所)を割り算すると、次のとおりです。用途別の新しい全国値は見つかりませんでした。

用途何に使うか淡水使用量に占める割合(2012年)
冷却・温調用水設備や製品を冷やす、温度をそろえる約78.5%
製品処理・洗浄用水製品を処理する、洗う約15.9%
ボイラー用水蒸気をつくる約1.3%
原料用水製品の原料として入れる約0.6%
その他上記以外約3.7%

内閣府経済社会総合研究所の表(工業統計2012年・製造業計・従業者30人以上)の用途別淡水使用量をもとに、当社で割合を計算

改訂新版 世界大百科事典は、冷却水は回収率が高いので新しく補給する水としてはそれほど多くなく、実質的に消費する水は製品処理と洗浄がもっとも多いと説明しています。

工業用水はどこから来るか|水源と使う業種

工業用水の水源は、工業用水道、川の水、地下水、上水道、工場の中で回して使う回収水です。

国土交通省「令和7年版 日本の水資源の現況」は、新しく取り入れる水(淡水補給量)と、繰り返し使う水(回収水)を分けて数えています。

新しく取る水は年約98億m³、川の水が7割・地下水が3割

2022年の工業用水の淡水補給量は約98億m³で、川の水が約71%、地下水が約29%でした。

国土交通省の集計でいう工業用水は法律の定義より広く、上水道から工場へ配られた水の量も含みます。全国の水の使用量は約770億m³で、農業用水が約528億m³、生活用水と工業用水を合わせた都市用水が約242億m³です。経済産業省は、取水量で見て日本の水需要の16%を工業用水が占めるとしています。

工業用水道が最大の水源

工場が外から取り入れる淡水の水源のうち、いちばん多いのは工業用水道です。

2015年の淡水補給量のうち約43%(1日約1,125万m³)が工業用水道から供給されていました。新しい年の水源別の全国値は見つかりませんでした。経済産業省が工業用水道事業法に基づく報告からまとめた数字では、2025年3月31日現在、工業用水道の事業者は146、事業数は231、給水能力は1日2,079万5千m³、給水先は5,624です。

使った水の8割近くを回して使っている

工場は、一度使った水を冷却などに繰り返し使っており、回収率は全業種平均で77.9%でした。

これは2015年の値です。国土交通省によると、2016年以降は工業統計調査の簡素化で毎年の回収水の統計が廃止され、5年に1度の経済センサスでの統計になりました。業種で差が大きく、化学工業と鉄鋼業は80〜90%程度、パルプ・紙・紙加工品製造業は40%程度です。

工業用水道は、地下水のくみ過ぎを止めるために広がった

工業用水道は、工場が地下水をくみ過ぎて地盤が沈んだ地域で、地下水に代わる水源として整備されてきました。

川崎市は、地下水の過剰なくみ上げで地盤沈下や取水不能が起きたことを受け、1937年に全国初の公営の工業用水道として給水を始めました。東京都も工業用水法による地下水の規制にあわせて工業用水道を整備し、1964年に江東地区、1971年に城北地区で給水を始めています。東京都の低地では、地盤沈下が累積で最大4.5mに達していました。

工業用水と上水道の違い|法律・処理・水質・料金

工業用水と上水道の分かれ目は、飲用に適する水として配るかどうかで、処理、水質、料金、所管がそこから変わります。

水道法は、水道を「水を人の飲用に適する水として供給する施設の総体」としています。水道法に工業用水道を名指しで外す条文はなく、2つの法律の定義で分かれます。

項目工業用水(工業用水道)上水道(水道)
法律工業用水道事業法水道法
国の所管経済産業省(自治体は届出、それ以外は許可)国土交通省(水道事業は認可。2024年4月に厚生労働省から移管)
処理沈殿が主体。塩素処理までは行わないのが通例(経済産業省)飲用に適するよう浄水し、消毒する
水質国の一律の基準はなく、事業者ごとの条例・規程で決める水道法の水質基準を満たす
飲めるかそのままでは飲めない飲める
料金(全国平均。計算の仕方が違う)1m³あたり23.00円(2023年度・基本料金の平均)供給単価1m³あたり173.90円(2023年度)
契約の形契約水量を決める責任水量制が約8割使った量に応じた従量料金が基本

工業用水道事業法・水道法、経済産業省「工業用水の概要」、国土交通省「令和7年版 日本の水資源の現況」、大阪府の資料が引く令和5年度水道統計をもとに作成。料金の2つの数字は計算の仕方が違う

川・ダムの水原水上水道(水道法)沈殿土砂を沈めるろ過濁りを取る塩素消毒菌を抑える飲める水家庭・施設・工場の飲み水工業用水道(工業用水道事業法)沈殿主にここまでろ過・消毒は行わないのが通例工場の工程の水冷却・洗浄・ボイラー(飲めない)処理の中身は事業者ごとに違う。食品・飲料に使う場合は、工場側で飲料水の基準に合うよう処理する

経済産業省「工業用水の概要」、横浜市・新潟県・群馬県の案内をもとに作成した模式図

分かれ目は「飲用に適する水として配るか」

同じ川の水を原水にしても、飲める水に仕上げて配れば上水道、飲用にしない前提で配れば工業用水です。

岐阜県は、工業用水の水源は上水道と同じ飛騨川で、塩素消毒をしないので直接は飲めないと案内しています。水道の区分の詳しい話は水道法の記事で扱っています。

処理は沈殿が主体で、塩素消毒をしない

工業用水道の浄水処理は、土砂を沈める処理が中心で、塩素消毒までは通例しません。

経済産業省は、工業用水道でいう浄水処理は土砂などの沈殿処理が主体で、塩素処理まで行わないのが通例だと書いています。横浜市は、薬品処理やろ過をせず、原水を沈でん処理するだけだと説明しています。

水質は事業者ごとの規程で決まる

工業用水の水質には国の一律の基準がなく、各事業者が条例や規程で目標の値を決めています。

例えば川崎市は、濁度10度以下、pH5.8〜8.6、硬度120mg/L以下などを示しています。業界の目安として、日本工業用水協会が1971年に定めた標準値(濁度20度以下、pH6.5〜8.0、全硬度120mg/L以下、鉄0.3mg/L以下、マンガン0.2mg/L以下など)がありますが、協会自身が「一応の標準値」としています。

単価は上水道が高いが、平均どうしでは比べられない

平均の単価は上水道のほうが高いものの、2つの平均は計算の仕方が違うため、倍率では比べられません。

工業用水道の全国平均23.00円(2023年度)は基本料金を施設能力で重みづけした平均で、上水道の供給単価173.90円(2023年度)は料金収入を使われた水量で割った値です。工業用水道は契約水量で払い、上水道は使った量で払うので、実際にどちらが安いかは使う量で逆転します。比べるときは、自分の工場の量で両方の料金を計算します(宮城県の例は次の章)。

工業用水の料金|責任水量制と自治体の料金表

工業用水の料金は、契約した水量に単価を掛けて決まり、全国平均は1m³あたり23.00円(2023年度)です。

単価は事業ごとに違い、同じ県の中でも地区で倍以上の差があります。

全国平均は1m³あたり23.00円

国土交通省「令和7年版 日本の水資源の現況」は、2023年度の工業用水道の全国平均料金を1m³あたり23.00円としています。

これは各事業の基本料金を施設能力で重みづけした平均です。

同じ資料によると、工業用水道事業の費用のうち減価償却費の割合は、近年は約45%で推移しています。管やダムなど施設の費用が大きく、使う量が減っても費用はあまり減らない作りです。

使わなくても契約した水量の分を払う

経済産業省によると、工業用水道の事業の約8割は、実際に使った量にかかわらず契約した水量で料金を計算する「責任水量制」です。

経済産業省の説明会資料は、責任水量制を「実際の使用水量にかかわらず、事業者(管理者)が承認した水量(契約水量)から料金を計算する料金体系」としています。千葉県の条例も、基本水量の全部または一部を使わなかった場合も使ったものとみなして料金を払うと定めています。

契約を超えた分には、基本料金の2倍以上がかかる

契約水量を超えて使った分には超過料金がかかり、下の表の事業者では基本料金の単価の2倍以上でした。

千葉県は条例で超過料金の単価を基本料金の単価の2倍とし、愛知県企業庁、大阪市、沖縄県の料金表も2倍です。横浜市と川崎市は2倍を超えます。

事業者基本料金(1m³)超過料金(1m³)時点・税
横浜市25.1円(ほかに基本使用料金4.0円)87.3円2026年10月19日の掲載・税抜
川崎市37円40銭(ほかに使用料金5円10銭)112円20銭2025年4月1日更新の掲載・1.10を掛ける
愛知県企業庁29.5〜32円(地区で違う)59〜64円2020年7月6日更新の掲載・消費税は別
千葉県企業局19.5〜53.0円(7地区)基本の2倍令和8年6月1日現在・税抜
埼玉県企業局30.48円(改定前22.53円)60.96円令和7年5月検針分から・税抜
大阪市(運営は民間の運営権者)35円70円令和4年4月から・110/100を掛ける
新潟県(上越)21円30銭42円60銭2023年6月16日更新の掲載・税抜
群馬県(渋川)12円(ほかに使用料金4円)32円令和7年4月から・外税
群馬県(東毛)33円(ほかに使用料金4円)74円令和7年4月から・外税
北九州市19.5円(契約1日300m³以上)・34円(同未満)(ほかに基本使用料金4円)47円2014年4月から二部料金制・税抜

各事業者の公式ページと資料(2026年10月19日に確認)をもとに作成。時点の欄は適用日か、適用日の記載が無いものはページの更新日。料金の区分と名前は事業者ごとに違う。全国平均の23.00円とは計算の仕方が違う

少量なら、上水道より高くなる

使う量が少ない工場では、契約水量の下限があるため、工業用水道のほうが上水道より高くつくことがあります。

宮城県企業局の比較では、月100m³しか使わない工場でも、工業用水は基本水量1日100m³(31日で3,100m³)分の料金がかかり、月102,300〜184,140円でした。同じ100m³を上水道で使うと28,545〜47,520円です。月3,000m³使うと上水道は918,445〜1,387,320円になり、工業用水の料金は契約水量の分のまま変わりません。横浜市は基本水量を1日200m³以上とし、原則として減らせないとしています。

責任水量制をやめた自治体もある

北九州市は2014年4月に責任水量制をやめ、使った量に応じた二部料金制に変えました。

二部料金制では、契約水量にかかる基本料金に、使った量に応じた料金が加わります。北九州市は契約水量が1日300m³以上か未満かで基本料金の単価を分けています。料金の仕組みは事業者ごとに違うので、引く前に給水規程で確かめます。

工場の上水道の単価、見直せるかもしれません

工程の水とは別に、社員の飲み水や生活用水に上水道を使っている工場なら、当社はその上水道の分を敷地の地下水に置き換え、置き換えた分の単価を水道局の従量単価より約1割安く設定します。下がるかどうかは無料で試算できます。

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工業用水は飲めるのか|そのまま飲めない理由

工業用水は、消毒をしておらず濁りも残るため、そのままでは飲めません。飲み水には上水道か、飲用に処理した水を使います。

自治体は「そのままでは飲めない」と書く

工業用水道を運営する新潟県、和歌山市、横浜市、岐阜県、沖縄県は、いずれも工業用水は飲めないと案内しています。

新潟県企業局は「工業用水は一般家庭の水道と違い、そのままでは飲むことはできません」としています。和歌山市は「飲み水として利用できないことが水道水との違い」と書いています。

理由は、消毒をせず濁りが残るため

飲めない理由は、塩素消毒をしていないことと、ろ過をしないので濁りが残ることです。

新潟県企業局は理由を「消毒をしていないのと、少し濁っているから」と説明しています。沖縄県企業局は、消毒をしていないので管の中で水が止まると腐敗や臭気が出ることがあると案内しています。

食品や飲料に使うなら、工場側で処理する

食品や飲料の原料に工業用水を使う場合は、工場の側で飲料水の基準に合うよう処理する必要があります。

千葉県企業局は、食品や飲料の製造用水は飲料水の基準に適合させ、関係法令や監督官庁の指導を受けて水処理設備を設けるよう求めています。沖縄県企業局も、利用者側で浄水処理をすれば加工食品の原料に使えるとしています。工場が自分で飲み水をつくって配ると、水道法の規制がかかる場合があります。水質検査の中身は水質検査の記事で扱っています。

社員の飲み水は、別の系統で引く

工場の中では、工程に使う工業用水と、社員の飲み水やトイレ・手洗いの水を、別の配管で分けるのが基本です。

工業用水を飲み水の配管につなぐと、飲めない水が蛇口から出るおそれがあります。千葉県企業局も、食品や飲料の製造用水は工場側で飲料水の基準に合わせるよう求めており、飲み水の系統と工業用水の系統は分けて考えます。

工業用水道の今|老朽化・値上げ・廃止・渇水

工業用水道は、需要が減るなかで管の更新費がかさみ、値上げや事業の廃止に進む地域が出ています。

管路の約半分が法定耐用年数を超えている

経済産業省によると、工業用水道の管路の約50%が法定耐用年数の40年を超え、30年後には70%以上になる見込みです。

更新のための投資は、過去10年の平均で年約500億円だったのに対し、2050年度までは年約1,000億円が要ると試算しています。一方で2022年度の契約水量は1997年度より約13%、実際に配った量は約18%減りました。

埼玉県は32年ぶりに35.3%値上げした

埼玉県企業局は2025年4月、工業用水道の基本料金を32年ぶりに1m³あたり22.53円から30.48円に上げました。

改定率は35.3%で、新しい料金は2025年5月の検針分からです。理由として、契約水量の減少と、施設の老朽化や電気料金、物価高騰による維持管理費の増加を挙げています。千葉県企業局も2023年4月に2地区の料金を改定しました。

東京都は2023年に工業用水道をやめた

東京都は2023年3月31日に工業用水道事業を廃止し、利用者を上水道へ切り替えました。

供給件数はピークの664件から181件に、基本水量はピークの約18分の1の1日約1.9万m³に減っていました。施設を更新すると約2,300億円かかり、全額を料金に乗せると約8倍の値上げになると都は試算し、地盤沈下を防ぐ目的は果たしたとして廃止を決めました。切り替えた利用者には、料金の差額の補塡と切替工事の支援をしています。

漏水と渇水で、受ける水が減ることがある

工業用水道は、管や取水施設の事故や渇水で、工場が受ける水の量を減らされることがあります。

時期場所何が起きたか
2022年5月〜8月愛知県(明治用水頭首工)取水施設の漏水で西三河工業用水道の受水を通常の50%程度に削減。6月27日に75%程度、8月29日に通常へ
2025年1月30日埼玉県八潮市道路陥没事故を受け、二次災害を防ぐため一部区域の工業用水道を給水停止(受水事業所3者)
2026年1月〜3月徳島県(那賀川)少雨で工業用水の取水制限。1月23日から20%、のち30%。3月10日に第3次40%・第4次50%も決定

愛知県、埼玉県、国土交通省那賀川河川事務所の発表(2026年10月19日に確認)をもとに作成

断水がどのくらい続くかは断水の記事で扱っています。

工場の水をどう選ぶか|工業用水道・上水道・井戸水

工場の水源は、使う量、飲むかどうか、地域の規制、止まったときの備えの4つで選びます。

比べる点工業用水道上水道井戸水(地下水)
単価安い(全国平均23.00円/m³)高い(供給単価173.90円/m³)くみ上げと処理の費用。公的な平均は無い
使える量契約水量の下限がある(横浜市は1日200m³以上)少量から使える井戸の能力と規制の範囲
飲めるかそのままでは飲めない飲める飲用にするには浄水と検査が要る
規制給水区域の中だけ給水区域の中だけ工業用水法の指定地域は許可。自治体の条例
止まるとき漏水・渇水で受水を減らされる断水停電でポンプが止まる。水道とは別の水源になる

国土交通省・経済産業省・各自治体の資料をもとに作成。単価の2つの平均は計算の仕方が違う

工業用水道は、大口で安いが条件がある

工業用水道は単価が安い反面、給水区域の中でしか引けず、契約した量の分は使わなくても払います。

工場が給水区域の外にあれば使えません。契約水量の下限は事業者ごとに違い、横浜市は1日200m³以上、沖縄県は規程で1日100m³、運用で30m³です。

上水道は、少量でも飲めるが単価が高い

上水道は使った量に応じて払い、飲み水にも使えますが、1m³あたりの単価は工業用水道より高くなります。

宮城県企業局の比較表では、仙台市の上水道(口径50mm)の単価は1〜10m³の段階で1m³あたり225.5円、月201m³を超える段階で341円と、使う量が増えるほど上がります。使う量の多い工場ほど、単価の高い段階に入ります。

井戸水は、地域の規制を先に確かめる

井戸で地下水をくむ場合は、まず工業用水法の指定地域か、自治体の条例で規制されていないかを確かめます。

工業用水法の指定地域で地下水を工業に使うには、井戸ごとに知事の許可が要ります。法律が対象にするのは「工業の用に供しよう」とする採取で、飲み水や生活用の井戸には、自治体の条例の規制がかかることがあります。指定地域は、地下水のくみ過ぎで地盤沈下などが起きた地域のうち、工業用水道がすでにあるか1年以内に工事が始まる見込みの地域で、現在10都府県17地域です。井戸を掘る工程と届出はさく井工事の記事で扱っています。

飲み水と工程の水を分けて考える

工場の水は、工程の大量の水と、社員が飲む水や生活の水に分けると、それぞれに合う水源が選べます。

例えば、工程の水は単価の安い工業用水道や回収水で、飲み水は上水道でまかなう分け方があります。上水道の使用量が大きい工場では、その上水道の分を、敷地の地下水を飲み水に処理して置き換える方法もあります。

当社の地下水飲料化は、上水道の分を地下水に置き換える

当社が扱う地下水飲料化システムは、工場が上水道から受けている水の一部を、敷地の地下水を浄水した飲み水に置き換えます。

工業用水の代わりではなく、飲み水や生活用水に使っている上水道の分が対象です。

工場の水の系統と、当社が置き換える範囲工業用水道契約水量で受ける工程の水冷却・洗浄・ボイラーこの系統はそのまま上水道水道局の従量単価受水槽飲み水・生活用水社員の飲み水・トイレ・手洗い敷地の井戸(当社)地下水を浄水する置き換え(単価は約1割安い)井戸側に異常があれば水道に自動で切替

当社が扱う地下水飲料化システムの考え方を単純化した模式図。置き換えられる割合は給水配管の系統と使用量で変わる

敷地の井戸の水を浄水して、飲み水として配る

当社の仕組みでは、敷地の一角に深井戸を掘り、くみ上げた地下水を浄水して受水槽へ送り、飲み水として使います。

当社は、井戸の水質と使い道に合わせて、除鉄・除マンガン、活性炭、膜ろ過などの処理を組み合わせます。当社の仕組みでは上水道の契約を残すので、井戸側に異常があれば自動で水道に切り替わります。当社が扱う地下水飲料化システムは、2026年10月時点で、製薬工場、食品工場、電機・精密機器の工場を含む全国66地点で稼働しています。

費用は当社負担、置き換えた分の単価は約1割安い

当社は、井戸の掘削も浄水設備も負担し、置き換えた分の水の単価を水道局の従量単価より約1割安く設定します。

総額が1割下がるという意味ではなく、水道局の基本料金は残り、置き換えられる割合で総額は変わります。単価の安い地域や使用量の少ない施設では、下がらないこともあります。飲料水と雑用水で配管が分かれている工場では、雑用水側だけを地下水にする設計もできます。工場での詳しい使い方は工場の導入ページで、水道代の計算は水道コストの削減で説明しています。

断水しても、地下水側は動き続ける

当社の仕組みでは水道とは別の水源を敷地に持つので、水道が断水しても井戸側から受水槽への給水を続けられます。

停電中も給水するには、浄水設備を非常用発電機につないでおくことが前提です。当社は掘削を敷地の一角で行うので、工事中も操業は続けられます。仕組みの全体は地下水飲料化の説明にまとめています。

この工場の上水道、地下水に置き換えられるか

過去1年の上水道の使用量と従量単価から、導入できる工場かどうかと、1年で下がる額の見当を無料でお出しします。井戸の掘削も浄水設備も当社の負担です。

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工業用水についてのよくある質問

Q. 工業用水は、どの工場でも引けますか

A. 引けるのは工業用水道の給水区域の中にある工場で、契約水量の下限を満たす必要があります。横浜市は基本水量を1日200m³以上とし、沖縄県は規程で1日100m³、運用で30m³としています。申し込みの方法と配管の工事は事業者ごとに違うので、所在地の企業局に確かめます。

Q. 工業用水をやめるとき、費用はかかりますか

A. かかる場合があります。経済産業省の資料は、利用者の撤退などで契約水量を減らすときに、その利用者から撤退負担金を取る仕組みを示しています。責任水量制では契約水量の分を払い続けるので、やめる前に給水規程で手続きと負担を確かめます。

Q. 工業用水道は誰が運営していますか

A. 2025年3月31日現在、事業者146のうち144が地方公共団体(企業団を含む)で、株式会社は2社です。大阪市の工業用水道は2022年4月から、国の認可を受けた民間の運営権者が運営しています。

Q. 工業用水道が無い地域の工場は、何を使っていますか

A. 川から取る水、井戸の地下水、上水道です。国土交通省の集計でいう工業用水には、上水道から工場に配られた水も含まれます。東京都は2023年3月に工業用水道をやめ、利用者を上水道へ切り替えました。井戸を使うなら、工業用水法の指定地域か、自治体の条例の規制がかかるかを先に確かめます。

Q. 工業用水と地下水は、どちらが安いですか

A. 同じ計算で比べた公的な数字は見つかりません。工業用水道は全国平均で1m³あたり23.00円ですが、地下水はくみ上げの電気代、処理と検査の費用、井戸の更新費で単価が決まります。工業用水法の指定地域では、地下水を工業に使うには井戸ごとに知事の許可が要ります。

参考情報

この記事は、法令、経済産業省・国土交通省の資料、各自治体の公式ページをもとに書いています。料金は2026年10月19日に確認した時点のものです。

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