給水管の老朽化と更新の目安|漏水の見つけ方と、施設で修理の責任が分かれる境目

給水管の老朽化と更新の目安|漏水の見つけ方と、施設で修理の責任が分かれる境目

給水管とは、道路の下の配水管から分かれて、建物の敷地や建物の中へ水を引き込む管のことです。

給水管は、水道事業者のものではなく、建物の持ち主の財産です。受水槽のある施設では、水道法の「給水装置」は受水槽の入口までで、その先の配管は建物の設備として扱われます。東京都水道局が令和6年度に修理した漏水9,117件のうち約97%は給水管で起きており、老朽化した給水管は漏水と赤水の元になります。取り替える目安は、国の技術資料で材質と継手によって15〜20年から30〜40年と幅があります。この記事では、病院・工場・商業施設などの設備担当の方に向けて、修理の責任の境目、劣化のサイン、漏水の見つけ方、点検の義務、更新の目安、地震への備えを、法令と公的な資料で整理します。

この記事でわかること

  • 給水管は施設の財産:道路の部分を水道局が直すかどうかは、水道事業者ごとに違います。
  • 受水槽のある施設では、水道法の給水装置は受水槽の入口まで:その先の配管は建物の設備です。
  • 年数は3種類あり、混ぜない:税の15年も配水管の40年も、建物の給水管の寿命ではありません。
  • 地震では、水道が戻っても施設の中の配管で水が使えないことがある:井戸を足しても、建物の中の給水管の備えは別に要ります。
目次

給水管とは|配水管から分かれて、建物へ水を引き込む管

給水管は、道路の下を通る配水管から分かれて、建物の蛇口まで水を運ぶ管です。

水道法3条9項は、給水装置を「水道事業者の施設した配水管から分岐して設けられた給水管及びこれに直結する給水用具」と定めています。辞書(共同通信ニュース用語解説)も、給水管を、道路下などに埋設された配水管から住宅やビルなどの建物に水を引き込む配管と説明しています。

配水管道路の下分岐・メーター敷地の入口受水槽水を貯める給水ポンプ各階へ送る建物の中の配管立て管・横引き管蛇口各階の給水栓給水管(水道法の給水装置)受水槽の入口まで建物の給水設備(水道法の給水装置ではない)施設が自ら管理し、直す水道事業者の資産分岐から先はすべて施設の財産。道路の部分の修理だけ水道事業者が受け持つことがある

水道法3条9項、国土交通省の給水装置の解説資料、東京都水道局の案内をもとに作成。受水槽の無い建物では、メーターから蛇口までが給水装置

区間呼び名持ち主主にかかる制度
道路の下の配水管配水管水道事業者水道事業者の施設
配水管の分岐から水道メーターまで給水管(給水装置の一部)施設(修理を水道事業者が受け持つ部分がある)水道法の給水装置
水道メーターから受水槽の入口まで給水管(給水装置の一部)施設水道法の給水装置
受水槽から先の配管(ポンプ・建物の中の配管・蛇口)建物の給水設備の配管施設建築基準法・建築物衛生法など。水道法の給水装置ではない
受水槽の無い建物のメーターから蛇口まで給水管(給水装置の一部)施設水道法の給水装置

水道法3条9項、国土交通省の給水装置の解説資料、東京都水道局の案内をもとに作成

配水管・給水管・給水装置の違い

配水管は水道事業者が道路に通す管、給水管はそこから分かれて建物へ入る管、給水装置は給水管と蛇口などの器具をまとめた呼び名です。

配水管は水道事業者の資産で、地方公営企業法施行規則の別表では、配水管の耐用年数は40年とされています。給水管は、国土交通省の資料で「水道事業者が所有する配水管に取り付けた分水栓から給水栓までの管であり個人の所有物」と説明されています。

受水槽のある施設では、給水装置は受水槽の入口まで

受水槽で水を受ける施設では、水道法の給水装置は配水管から受水槽の注入口までで、その先は含まれません。

国土交通省の解説資料は「ビル等で一旦水道水を受水槽に受けて給水する場合には、配水管から受水槽の注入口までが給水装置であり、受水槽以下はこれにあたらない」としています。東京都水道局も、貯水槽に入るまでの水質は水道局が管理し、貯水槽とそれ以降の水質は設置者が管理すると案内しています。

受水槽から先で水を送るポンプの点検と交換は、給水ポンプの点検と交換の目安で解説しています。

井戸水の配管を、水道の給水管に直接つないではいけない

水道の給水管は、井戸水などほかの水の配管に直接つなぐことが、水道法施行令で禁じられています。

水道法施行令6条1項6号は、給水装置の構造と材質の基準として「当該給水装置以外の水管その他の設備に直接連結されていないこと」を定めています。井戸水を施設で使う場合は、受水槽のように水道の給水装置と切り離した場所で水を受け、そこから建物へ送ります。

給水管は誰のものか|修理の範囲は水道事業者ごとに違う

給水管は施設(設置者)の財産で、漏れたときに水道局が直してくれる範囲は、水道事業者ごとに決め方が違います。

水道事業者配水管から水道メーターまで(道路側)水道メーターから蛇口まで
東京都原則として水道局が修理。ただし、メータ口径50mm以上の場合と公営施設は、道路境界から1mを超える部分を修理しない。建物の中の配管も修理しないお客さまの負担
大阪市水道管の修繕は無料(故意または過失による破損を除く)指定給水装置工事事業者に依頼(有料)
名古屋市道路部分の漏水は上下水道局が無料で修理敷地内は原則として所有者の負担
横浜市水道局お客さまサービスセンターに問い合わせる(費用の扱いは案内に書かれていない)お客さまが水道工事店に依頼して修繕

各水道事業者の漏水修理の案内をもとに作成(2026年10月確認)。川崎市のように、老朽給水管の対策として配水管の分岐部から道路境界の先2mまでを公費で直す事業者もある

給水管は施設(設置者)の財産

配水管から分かれた先の給水管は、建物の持ち主の財産で、設置と維持管理も持ち主が行います。

東京都水道局は、配水管の分岐部から蛇口までの水道設備を「お客さまの財産」とし、設置と維持管理もお客さまが行うと案内しています。名古屋市上下水道局も、水道メーター以外の給水装置はお客さまの財産としています。

道路の部分を水道局が直すかは事業者ごと。大口径は例外

道路の下の給水管は、東京都・大阪市・名古屋市では水道局が直しますが、東京都は口径の大きい施設に例外があります。

東京都水道局は、メータの口径が50mm以上の場合、道路境界から1mを超える部分を修理しません。メーター口径が50mm以上の施設では、敷地に入った部分の修理は施設の負担です。口径は検針票などで確かめられます。

大阪市と名古屋市は道路部分を無料で直すと案内していますが、横浜市の案内に費用の記載は無く、扱いは事業者で違います。受け持ちの水道事業者の案内で確かめます。

受水槽から先と建物の中の配管は、施設が直す

受水槽から先の配管と、建物の中の配管の漏水は、施設が自分で業者に頼んで直します。

東京都水道局は、建物の中の配管の漏水を、水道局の修理の対象外にしています。受水槽から先は水道法の給水装置でもありません。名古屋市上下水道局は、漏水したときの料金の差し引きについても、ビルやマンションの受水槽以降の水漏れを対象外の例に挙げています。

給水管の材質と、劣化のしかた

給水管の劣化のしかたは材質と継手で大きく違い、使われていた材質は建物が建った時期でおおよそ決まります。

国土技術政策総合研究所(国総研)のマニュアルは、給水管の劣化の程度は「配管の種類、配管・継手の材質、修繕履歴等によって異なるため、周期にはかなりの幅があります」としています。

材質(継手)使われた時期劣化のしかた取替の目安(国総研)
水道用亜鉛めっき鋼管昭和45年過ぎまで数年でめっきが劣化し、鉄の腐食で赤水。錆こぶで管が細くなり出水不良未更生は15〜20年。更生した管は更生から10〜15年
硬質塩ビライニング鋼管(防食継手なし)昭和50年頃から継手の管端で鉄が露出して腐食し、赤水20〜25年
同(管端コアを使用)昭和50年代半ばから管端の腐食を抑える25〜30年
同(管端防食継手を使用)平成元年頃から管端の腐食を抑える30〜40年
鉛製給水管近代水道の創設期から1980年代後半まで漏水事故率が高い水道事業者が解消を進めている

国土技術政策総合研究所のマンション改修の技術資料、国土交通省・厚生労働省の給水装置と水道維持管理の資料をもとに作成

亜鉛めっき鋼管:赤水と錆こぶ

亜鉛めっき鋼管は、めっきが数年で傷み、内側の鉄が錆びて赤水と出水不良を起こしやすい管です。

国土交通省の資料は、亜鉛めっき鋼管について「使用後数年経過すると亜鉛メッキ層は劣化し、素地の鉄の腐食により赤水発生に至るのが一般的であった」と説明しています。錆が管の内側に瘤のように盛り上がると、管が細くなり、水の出が悪くなります。業界団体の資料によると、亜鉛めっき鋼管は平成2年に国の水道施設設計指針の新設用の管材から外されました。

ライニング鋼管:継手の管端から腐食する

塩ビやポリエチレンで内側を覆ったライニング鋼管も、継手の部分で管の端の鉄が露出すると、そこから錆びます。

国土交通省の資料は「継手管端部で鉄が露出し、腐食して赤水を生じる事例は後を絶たない」と書いています。国総研のマニュアルでは、昭和50年代半ばから管端コア、平成元年頃から管端防食継手が使われるようになり、取替の目安も防食継手なしの20〜25年から、防食継手ありの30〜40年まで延びています。

鉛製給水管:全国に約192万件残る

鉛製給水管は、近代水道の創設期から1980年代後半まで全国で使われ、令和5年度の時点でまだ約192万件残っています。

国土交通省によると、鉛製給水管の残りは延長約3,300km、件数約192万件で、減り方は鈍っています。厚生労働省の水道維持管理指針は、鉛製給水管は漏水事故率が高いと説明しています。国土交通省は令和8年1月30日に解消の対応方針を出し、年15万件の解消と、令和10年度末までに全ての水道事業者が解消の計画を作ることを目標にしています。敷地の中の鉛管の扱いは、受け持ちの水道事業者に確かめます。

築年数から、使われている材質の見当をつける

建物が建った年と大きな改修の年から材質の見当はつきますが、最後は竣工図と工事の記録で確かめます。

国総研の資料の年代で見ると、昭和40年代半ばまでの建物は亜鉛めっき鋼管、昭和50年代は防食継手の無いライニング鋼管、平成に入ってからの建物は管端防食継手を使ったライニング鋼管の可能性があります。ただし、途中で一部だけ取り替えた建物では、材質の違う管が混在していることがあります。図面と工事の記録から、系統ごとに材質と施工の年を書き出しておくと、更新の順番を決めやすくなります。

給水管の老朽化のサイン|赤水・出水不良・水量の増加

給水管の老朽化は、赤水や濁り、水の出の悪さ、使っていないのに増える水量の3つに表れます。

赤水・濁りが出る

朝いちばんに赤い水や濁った水が出るのは、管の内側が錆びているサインです。

厚生労働省の水道維持管理指針は、赤水について「給水管に滞留している朝一番の水は飲用外に使用する」としたうえで、管の内面腐食が原因なので布設替えが必要で、条件によっては管更生工事なども有効としています。赤水が続くときは、水質の検査と管の調査を頼みます。施設の水の検査は、水質検査の項目と頻度で整理しています。

水の出が悪くなる

同じ蛇口で水の勢いが以前より弱くなったら、錆で管の内側が狭くなっている可能性があります。

同じ指針は、亜鉛めっき鋼管などは経年で管内に錆が出ると管の中が狭くなって出水不良を起こし、その抜本的な対策は管の布設替えだとしています。点検で見る蛇口を決めておき、水の勢いを定期に比べます。

使っていないのに水量が増える

水道の使用量が、使い方を変えていないのに増えたときは、どこかで漏水している疑いがあります。

検針ごとの使用量を前年の同じ月と比べ、説明のつかない増加が続く場合は、次の節の方法で漏水を確かめます。地中や壁の中の漏水は目に見えないので、使用量が手がかりになります。

給水管の漏水を見つける方法と、漏れた分の水道料金

漏水は水道メーターと受水槽のポンプの動きで見つけられ、漏れた分の料金が減額されるかは事業者で扱いが違います。

漏水の約97%は給水管で起きている(東京都)

東京都水道局が令和6年度に修理した漏水9,117件のうち、約97%が給水管で起きていました。

東京都水道局の「東京の漏水防止」(令和7年度版)は、漏水の大部分が給水管や配水管の経年劣化による亀裂や腐食だとしています。この数字は水道局が修理した区間の内訳で、水道局が修理しない建物の中の配管の漏水は入っていません。厚生労働省の水道維持管理指針も、道路の漏水の約90%は給水管から起きていると書いています。

メーターのパイロットで確かめる

水を全部止めた状態で水道メーターのパイロット(小さな回転盤)が回っていれば、メーターから先で漏水している疑いがあります。

東京都水道局は、水道を使っていない状態でパイロットが回転していれば、メーターから蛇口までのどこかで漏水している疑いがあると案内しています。受水槽に水が入る間も回転するので、受水槽が満ちて給水が止まっている時間に見ます。

受水槽のポンプが度々動く、夜間に増える

受水槽のある施設では、水を使っていないのにポンプが度々動くことが、建物の中の漏水のサインです。

東京都水道局は、貯水槽のある建物に「水を使っていないのに、ポンプのモーターが度々動いていませんか」と注意を呼びかけ、夜間は水道の使用が少ないため水圧が上がって漏水量が増えると説明しています。同じ案内では、口径20mmの蛇口から1mmほどの糸状の水が1か月漏れると、約6m³、料金にして約1,800円(1か月の使用水量24m³の場合・税抜き)になるとしています。ポンプの動き方の点検は、給水ポンプの点検と交換の目安で解説しています。

漏れた分の料金は減額されるか:事業者で扱いが違う

漏水で増えた水道料金が減額されるかどうかは水道事業者ごとに決まっていて、受水槽から先の漏水を対象外にしている事業者もあります。

水道事業者減額の条件減らす量対象外の例
大阪市水道メーター以降の宅地内の漏水で、修繕が完了していること。修繕の証明が要る漏水量の50%。原則1か月分(最大2か月)漏水を知りながら修繕を怠った場合、故意・重大な過失、不正な工事による漏水
名古屋市上下水道局または市の指定業者が修理し、証明書を出したとき料金の一部を差し引くトイレでの水漏れ、ビルやマンションの受水槽以降での水漏れなど
東京都事情によっては減額できる場合がある条件は公開されていない計量した水量の料金は払うのが原則

大阪市水道局、名古屋市上下水道局、東京都水道局の案内をもとに作成(2026年10月確認)

東京都水道局は、漏水があっても水道メーターで計量した水量の料金は支払う必要があるとしたうえで、事情によっては減額できる場合もあると案内しています。受水槽から先の漏水は減額の対象外になる場合があるので、見つけたら早く直すことが料金を抑える近道です。

給水管の点検は法律で決まっているか|一律の義務は無く、3つの場合に定期点検がかかる

給水管の点検は、すべての建物に一律の法定義務があるわけではなく、建物の種類と給水の方式で3つの場合に定期点検がかかります。

場合根拠点検の中身給水管の扱い
特定行政庁が指定した建築設備、国・自治体の建物建築基準法12条3項・4項、平成20年国土交通省告示第285号給水設備の定期の検査・点検検査項目に「配管の腐食及び漏水の状況」(目視)
特定建築物(延べ3,000m²以上の事務所・店舗・旅館など。学校教育法1条の学校などは8,000m²以上)建築物衛生法4条、厚生労働省の技術上の基準給水の管理飲料水の配管の損傷・さび・腐食・水漏れを定期に点検
簡易専用水道(受水槽の有効容量10m³超)水道法34条の2、同法施行規則55条・56条水槽の掃除と点検、毎年1回以上の検査条文に「給水管」の語は無く、水槽と水質が中心

建築基準法、同法施行令、平成20年国土交通省告示第285号、建築物衛生法、同法施行令、厚生労働省「空気調和設備等の維持管理及び清掃等に係る技術上の基準」、水道法、同法施行規則をもとに作成

建築基準法12条の定期検査:特定行政庁が指定した建物

建築基準法の定期検査で給水設備が対象になるのは、特定行政庁が指定した場合と、国・自治体の建物の場合です。

建築基準法12条3項は、政令で定める建築設備と、特定行政庁が指定する建築設備に、損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含む定期の検査を求めています。政令(施行令16条3項)が全国一律に定めているのは昇降機と防火設備だけで、給水設備は特定行政庁が指定したときに対象になります。国・都道府県・建築主事を置く市町村の建物は、同じ条の4項で建築設備の定期の点検が義務になっています。

検査の基準を決めた平成20年国土交通省告示第285号の別表第四は、給水設備の項目に「配管の腐食及び漏水の状況」を置き、目視で確かめて、配管に腐食か漏水があれば是正が要ると判定するよう定めています。指定の有無は、特定行政庁の定期報告の案内で確かめます。

ビル管法の特定建築物:管の損傷・さび・腐食・水漏れを定期に点検

建築物衛生法(ビル管法)の特定建築物は、飲料水の配管の損傷・さび・腐食・水漏れを定期に点検することが基準で決まっています。

ビル管法4条は、特定建築物の所有者などに、建築物環境衛生管理基準に従って維持管理することを求めています。厚生労働省が定めた技術上の基準は、飲料水系統の配管について「管の損傷、さび、腐食及び水漏れの有無を定期に点検し、必要に応じ、補修等を行うこと」とし、赤水対策の防錆剤は布設替えまでの応急対策に限るとしています。

特定建築物に当たるのは、延べ面積3,000m²以上の興行場、百貨店、店舗、事務所、旅館など(学校教育法1条の学校などは8,000m²以上)で、施行令の用途に病院と工場は入っていません。特定建築物でない建物でも、多数の人が使う建物の所有者は、同じ基準に従って維持管理するよう努めなければならないとされています。

簡易専用水道の検査は、水槽と水質が中心

受水槽の有効容量が10m³を超える簡易専用水道は、毎年1回以上の検査が義務ですが、中心は水槽と水質で、給水管は条文に出てきません。

水道法34条の2と同法施行規則55条・56条は、水槽の掃除と点検、水に異常があるときの検査、毎年1回以上の定期の検査を定めています。この検査を受けていても、建物の中の給水管の腐食や漏水を点検したことにはならないので、配管は別に計画を立てて見ます。

施設の水の止まり方を、水源から見直す

受水槽に入る水を水道以外からも確保できるかどうかは、上水道の使用量と受水槽の状況から判定できます。地下水を施設の水源に加える仕組みは地下水飲料化システムのページで紹介しています。

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給水管の更新の目安|年数は材質で決まり、更生は延命にとどまる

給水管を更新する時期は、材質と継手で決まる周期を目安に、配管の調査・診断の結果で決めます。

年数は3つある:税・国交省・水道事業者の年数を混ぜない

給水管について出てくる年数は、税の15年、国土交通省のマンション向けの周期、配水管の40年の3つで、比べる数字ではありません。

1つ目は、減価償却資産の耐用年数等に関する省令で、建物附属設備の「給排水又は衛生設備及びガス設備」が15年とされている年数です。減価償却の計算に使う年数で、15年で使えなくなるという意味ではありません。

2つ目は、国土交通省の長期修繕計画作成ガイドライン(令和6年6月改定)の記載例です。マンションの給水管について、更生工事は19〜23年、取替は30〜40年、更生をしない場合の取替は28〜32年としています。マンションの修繕計画のための参考の周期です。

3つ目は、地方公営企業法施行規則で配水管の耐用年数とされている40年で、水道事業者が持つ道路の管の数字です。税の15年も配水管の40年も、建物の給水管の寿命ではありません。更新の目安にするのは、国土交通省と国総研の周期です。

更生工事と更新(取替)工事の違い

更生工事は管を残したまま内側の錆を落として樹脂で覆う工事で、更新工事は管そのものを新しく取り替える工事です。

国土交通省の資料は、更生工事を、布設したままの管の錆を除去して通水量を確保し、管の内面に樹脂系の塗料などを塗って「機能の回復と延命を図るもの」と説明しています。同じ資料は、更生は取替より費用を抑えられる救済的な方法である一方、管と継手に強度がある場合にしか施工できず、暫定的な「配管の延命対策」として認識する必要があるとしています。

国総研のマニュアルは、屋外の給水管は内部だけでなく外部の腐食が進んでいることがあるため原則として取替とし、共用の給水管はバルブなどを含めて取り替えるとしています。同じ資料は、設備工事では取替を「更新工事」と呼んでいると説明しています。

更新の時期は、調査・診断で決める

更新の時期は、年数だけで決めず、配管の劣化の調査・診断の結果を見て決めます。

長期修繕計画作成ガイドラインも、修繕周期はマンションの仕様や立地条件などで設定し、見直しの際は劣化の調査・診断の結果に基づいて設定する必要があるとしています。赤水、出水不良、漏水の記録がある系統から順に調査を頼み、残っている管の厚さや継手の腐食の状態を見て、更生で足りるか、取替が要るかを判断します。

費用は条件で変わる:見積りで比べること

給水管の更新・更生の費用は建物の条件で大きく変わるので、相場の数字ではなく見積りの中身で比べます。

公的な資料に、施設の給水管の工事費の目安は示されていません。複数の業者から見積りを取るときは、次の項目が揃っているかを並べて比べます。

  • 工事の範囲(屋外の埋設管、受水槽から先の立て管、各階の横引き管のどこまでか)
  • 配管の延長と口径
  • 工法(更生か取替か、取替なら新しい管の材質と継手)
  • 工事中の仮設の給水と、断水する系統・時間帯
  • 天井や壁を開ける範囲と、その復旧が含まれているか

水を止められない施設では、止められる時間帯と系統を先に業者へ伝えてから見積りを取ります。

地震で給水管が壊れると、水道が戻っても施設では水が使えない

地震では、道路の水道が復旧しても、敷地や建物の中の給水管が壊れていれば、施設では水が使えないままになります。

道路の水道配水管直すのは水道事業者復旧すると「断水解消」と呼ばれる敷地の給水管分岐からメーター・受水槽まで直すのは施設道路の部分は水道事業者が直すことがある建物の中の配管受水槽から先・各階の蛇口まで直すのは施設壊れていれば、水道が戻っても水は出ない井戸浄化処理して受水槽へ水源を足す井戸が足すのは受水槽に入る水建物の中の配管は別に備える施設で水が使えるのは、3つの層がすべてつながったとき給水管の耐震化と更新は配管の層、井戸は水源の層の備え

国土交通省 上下水道地震対策検討委員会報告書(令和6年9月)、各水道事業者の漏水修理の案内、豊の地下水飲料化システムの仕組みをもとに作成

能登半島地震:宅内配管の復旧が遅れた

2024年の能登半島地震では、配水管が復旧した後も、家庭の宅内配管の復旧が遅れて水が使えない状況が長引きました。

国土交通省の上下水道地震対策検討委員会の報告書(令和6年9月)は、最大約14万戸が断水したこの地震で、水道事業体が管理する配水管が復旧しても、個人が管理する宅内配管の復旧が遅れ、家庭で水が使えない状況が長期化したと書いています。主な原因は工事業者を確保できなかったことで、報告書は、宅内配管が壊れているのに本管の復旧を断水解消と呼んだため誤解が生じた例もあったとしています。

これは家庭の例ですが、報道でも、石川県で2024年3月の時点で、家の前まで水道が戻っても敷地の中の配管が壊れ、敷地の中は行政が直さないため、修理を約2か月待つ家庭が100軒以上あると伝えられています。

病院と小学校で起きたこと

同じ地震では、石川県の病院と小学校でも、水道の水が施設まで届いたのに、施設の中の配管が壊れていて使えない状態が続きました。

石川県の震災の記録には、2024年1〜2月、耐震管で病院まで水を送れるようになったのに、病院の中の配管が壊れていて使えない状態が続いたという、当時の水道事業者の責任者の証言が残っています。国立教育政策研究所の報告書には、石川県の小学校で給水管が損傷し、別の中学校を借りて授業を再開し、自分の学校に戻れたのは約3週間後だった例が記録されています。

病院の断水への備えは病院の水の備えで、断水がどれくらい続くかは断水はいつまで続くかで解説しています。

熊本地震:引込み部の被害の8割は給水管部

2016年の熊本地震では、引込み部の被害2,085件のうち1,715件(82.3%)が給水管の部分でした。

給水工事技術振興財団の報告書は、配水管の分岐部から水道メーターまで(口径50mm以下)の「給水装置引込み部」を調べたもので、建物の中の配管は入っていません。東京都水道局も、東日本大震災で都内で起きた漏水の多くが私道の塩化ビニル製の給水管だったため、私道の給水管のステンレス化を進めていると説明しています。

国の提言:敷地内の給排水設備の耐震化

国の報告書は、病院などの重要施設について、敷地の中の給排水設備の耐震化を施設管理者と連携して進めるよう提言しています。

上下水道地震対策検討委員会の報告書は、重要施設につながる水道管の耐震化とあわせて、敷地内の給排水施設の耐震化や、耐震性貯水槽などの応急給水対策を、施設管理者と連携しながら計画的に進めるべきとしています。水の備え全体は断水に備えるBCP対策と事業継続と水で整理しています。

井戸を足しても、建物の中の給水管の備えは別に要る

井戸を施設の水源に足しても、井戸の水は受水槽に入ってから今の給水配管を通るので、建物の中の給水管の備えの代わりにはなりません。

豊の地下水飲料化システムは、井戸の水を浄化処理して受水槽へ送り、いまの給水配管のまま施設で使う仕組みです。道路の水道が止まったときに受水槽へ入る水を確保することはできますが、受水槽から先の給水管が地震で壊れれば、井戸があってもその系統では水が出ません。井戸は水源の備え、給水管の耐震化と更新は配管の備えです。地下水を水源に加える仕組みは地下水の活用とBCP対策としての井戸で紹介しています。

自社の施設に地下水の水源を持てるか確かめる

上水道の使用量と設置スペースがわかれば、地下水を施設の水源に加えられるかどうかを判定できます。給水管の更新や耐震化の計画とあわせて、水源の層をどう組むかをご相談いただけます。導入後の保守はサポート体制のページで紹介しています。

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給水管についてのよくある質問

Q. 給水管の寿命は何年ですか

A. 一律の寿命はありません。国総研のマニュアルは、取替の目安を材質と継手で15〜20年から30〜40年としています。税の法定耐用年数の15年は減価償却の年数で、寿命ではありません。実際の時期は、赤水や漏水の記録と配管の調査で判断します。

Q. 敷地内の給水管が漏れたら、修理代は誰が払いますか

A. 原則として施設(所有者)が払います。道路の下の部分は水道局が直す事業者もありますが、東京都水道局はメータ口径50mm以上の場合、道路境界から1mを超える部分を修理しません。テナントとして入っている施設は、建物の所有者と管理会社のどちらが業者を手配し、費用を持つのかを、賃貸借や管理の契約で先に確かめておきます。

Q. 漏水で増えた水道料金は戻りますか

A. 水道事業者によります。大阪市は修繕が済んだ宅地内の漏水について漏水量の50%を原則1か月分減らし、名古屋市はビルやマンションの受水槽以降の漏水を減額の対象外としています。東京都は条件を公開していません。大阪市と名古屋市は減額に修理の証明を求めているので、修理を頼むときに、漏水の場所と修理の日が分かる書類を出してもらいます。

Q. 赤水が出た朝、その水は使ってよいですか

A. 厚生労働省の水道維持管理指針は、給水管に滞留している朝一番の水は飲用以外に使うよう示しています。毎朝続くなら管の内面の腐食を疑います。飲用や調理に使う系統から水質を検査し、配管の調査を頼みます。

Q. 更生工事をすれば、取り替えなくて済みますか

A. 取替を先に延ばせることはありますが、取替が要らなくなるわけではありません。国土交通省の資料は、更生は管と継手に強度が残っている場合にしかできない暫定的な延命策としています。国総研のマニュアルは、屋外の埋設管は外側も腐食していることがあるため原則取替とし、更生した亜鉛めっき鋼管も更生から10〜15年で取り替えるとしています。

参考情報

  • 水道法、同法施行令、同法施行規則
  • 国土交通省 給水装置の解説資料、鉛製給水管の残存状況と「今後の鉛製給水管の解消に向けた対応方針」(令和8年1月30日)
  • 厚生労働省「水道維持管理指針」の給水装置の章
  • 東京都水道局 水道設備の管理・漏水修理の範囲・漏水の早期発見の案内、「東京の漏水防止」(令和7年度版)
  • 大阪市水道局、名古屋市上下水道局、横浜市水道局、川崎市上下水道局 漏水修理と漏水時の料金の案内
  • 減価償却資産の耐用年数等に関する省令(別表第一)、地方公営企業法施行規則
  • 国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン」(令和6年6月改定)
  • 国土技術政策総合研究所 マンションの改修工事の技術資料(給水設備改修工事)
  • 日本水道鋼管協会 水道用亜鉛めっき鋼管についての解説
  • 建築基準法、同法施行令、平成20年国土交通省告示第285号
  • 建築物衛生法、同法施行令、厚生労働省「空気調和設備等の維持管理及び清掃等に係る技術上の基準」
  • 国土交通省 上下水道地震対策検討委員会報告書(令和6年9月)
  • 石川県 能登半島地震の記録、国立教育政策研究所の報告書、東京新聞の報道(2024年3月)
  • 給水工事技術振興財団 熊本地震の給水装置の被害の報告書
  • 共同通信ニュース用語解説「給水管」
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